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ミーシェの涙

エマール帝国の来客を迎い入れた翌日ミーシェは初日から悩まされていた


早朝からミーシェはマヤにドレスアップさせられ馬車に乗り王城へ向かった


はぁ~深夜にわざわざ移転魔法を発動させてまで何事かと思えば、未明に王城へ来るように 書かれていたしね。本当にいいど……。なぜ早朝から呼び出されたのかしら?


ミーシェは王城の裏門へ回るように指示を出し窓から朝焼けを眺めた


扉が開くと彼女は頭を下げて待っている近衛騎士に手を差し出しエスコートしてもらい謁見の間に歩き始めた。騎士は謁見の間につくと


「ここからは、あなた様お一人でお入り下さい」


「えぇ分かっているわ、それとエスコートご苦労様」


さてと、ここまで人が誰一人として居ないのは不自然ね


礼をして下がって行く彼を見送りながら誰も立っていない謁見の間の扉を開けた


「………」


ミーシェは現状を飲み込むのに少し数十秒かかってから


……えっと、これはどうなっているのかしら?でもこの場合令嬢としての行動を取ればいいのよね?


「きゃ~!!不審者よだれか!!!」


結局女性が叫んでいるのに誰一人として来なかった


黒ずくめの男達はミーシェを叫ばすだけ叫ばせてから近づいてきた


ミーシェは、中央で縛られている陛下とアミール王子・宰相である父さんを見てから20数名の黒服を男を一瞥し


はぁ~こんな面倒なことになるなら来なきゃ良かったわ


ミーシェは大人しく男達に捕まり陛下達の近くに座らされた


「あ、貴方達はいったい誰なのです!!」


「下手に行動しなければ、お前達には危害を加えない。俺達の目的はエマール帝国皇帝と第一皇太子の殺害だ」


へぇーあの手紙に書いてあった事は本当だったんだね


「わ、私が叫んでも誰一人来ないのはどうしてなのです!?」


ミーシェは男に睨まれビクッと肩を揺らした


「それは、お前の後ろにいるヤツラに聞け。俺達が来たときも誰一人歩いていなかったしな」


ミーシェは、後ろを振り向き父さんに区間制御したのかと訴えると彼は申し訳なさそうに頷いた


よりにも寄って区間制御とは何をするつもりだったのかな?それよりもどうするかよね。皇帝に何かあれば他国からの反感を買ってしまい戦争よね。かといって、下手に動いて陛下達が殺されたらもともこもない


ミーシェは手に嵌められた魔力止めの紐を見て軽く魔力を流すがやはり魔法は出なかった


確かこのての物なら設定以上の魔力を流せば壊れるはず


ミーシェは小声で


「陛下。一つ飾りを外しても?」


陛下は頷くと父さんに


「ネックレスの方をはずしてやれ」


アミールは意味が分からないのか眉を顰めていた


父さんは彼女に近づくと胸元で光っているトパーズを咥え引きちぎった


ミーシェは流れてくる魔力を抑えコントロールしきると不適に笑い


自分の枷と陛下・アミール・父さんの枷すべてに自分自身の魔力を送り込み紐が切れることを確認した。ミーシェは父さんに視線を送り、この場の事を託した


「……あの……」


ミーシェは男を呼び寄せ屈ませると顎に蹴りを一発かまし倒れた男を無視して扉に向かって走り出した


「このアマ!!」


5人ほどミーシェの方に来たが残りは陛下達に剣先を向けていた。ミーシェは構わず風魔法で男達を蹴散らすとエマール帝国の方々が休んでいる部屋までかけた



彼らの部屋の前は赤黒く汚れていた。ミーシェは声がする方へ急いで向かうと、アスクルが率いる精鋭な護衛。合わせて8人がまだ30人以上いる敵相手に奮闘していた


ミーシェは、後ろから敵を切り裂きながら


「アスクル、皇帝は!?」


敵が動揺しながら切りかかって来るのを避け、上から来る剣を弾きながら殲滅して行く


「お前なぜここにいる!?自国の王達はどうした!」


声を張り上げて叫ぶアスクルに


「父さんに任せてきた!それよりも被害は!?」


ミーシェは次から次へと湧いてくるように出てくる敵を投げ倒し切り上げ、無力化にしつつアスクルと会話は続いた


「部屋に隠れてもらってる。今のところ王国の近衛兵が13人重症の残りの近衛は皇帝を守ってるっ!」


血飛沫が辺りを赤黒く染める中ミーシェだけが青いドレスのままだった。ミーシェが、指笛を吹くとアスクル達は一斉に敵から距離を取り始めた。ミーシェは風魔法で鎌鼬をおこし敵を殲滅させ辺りを血の海に変えた


呆然と静まり返ったところに国王とアミール・父さんが後ろから歩いてきた


「モントヴェルト嬢。いや 王族の守護者大義であった」


ミーシェは片膝をつき頭を垂れ無機質な声で


「いいえ。私は役目を全うしたに過ぎません。また、救出が遅れたこと誠に申し訳ございません」


「その様なことは良い。それよりも帝国の方々は無事か?」


「はい。アスクル様がおっしゃるには、我々の近衛兵が13名重症だそうです。それ以外の皆様はご無事だそうです」


あ……ヤバい無理矢理魔力を抑えたりしたから少しふらつくけど、まぁ大丈夫かな?


「そうか、それならば──「ミーシェル!?どこか怪我でもしてるのか?」


陛下の声を割ってミーシェに話しかけてきたアミールに咎めるような視線を向けるが、陛下を追い越し私に触ろうとするアミールに


感情が入らないように気を付けながら


「アミール王太子殿下。これ以上お近づきになっては行けません」


陛下から罰を下されるだけでなく、貴方にこの悲惨な現状を見せてしまうことになるら


その意図に気づいたのか陛下はアミール諭し、父さんは彼女が必死に幻影魔法を維持している中に足を踏み入れ惨劇を目の当たりにした


父さんはミーシェの耳元で


「これはお前が殺ったのか?」


と宰相として問いかけてきたので、ミーシェも影として


「はい。これ以上の消耗戦はこちらに不利だと判断し魔法で行いました」


彼は一瞬悲しそうな表情をしたが、もとのなにも読めない顔に戻り


「後の処理はこちらで行う」


と言って宰相はアミールを連れて来た道を戻り、陛下は宰相と同様にミーシェが張っている幻影魔法の中に入りそのまま皇帝の方々がいる部屋へ向かって行った。ミーシェは、その後を着いて行き皇帝の方々がいる部屋にはいると近くで息も絶え絶えに成っている自国兵の側に座り陛下を見上げた


陛下は皇帝の方々にもう一つ奥の部屋へ案内すると


「その者達を助けてやってくれ」


「承知いたしました」


扉がしまると治癒魔方陣を床に書き


「アスクル。そこで見ていないで手伝ってもらえるかしら?」


カーテンのそばからアスクルが出てくると


「そいつら助けられるんのか?」


と言いながらも、魔方陣の中に13人の重症者を運びいれてくれた


「これぐらい出来なきゃやってられないわよ!」


ミーシェは懐から色とりどりの魔法石を彼らの胸元に置いていき治癒魔法を唱えた


彼らの上に置いていた魔法石が、彼女の詠唱に反応するように光始めた。暫くしてその光が薄まっていくに従って重症であった彼らの傷は消えて行った


ミーシェはふらふらの体で彼ら一人一人の脈や魔力量を確認していき安全を確認できた彼女は、陛下のもとへ向かおうと歩き出すが


……あっ!これ不味いやつ顔面強打で済むかしら?


と次に来る衝動に構えていたがいっこうに来ずに温かい腕に抱き上げられていた


「お前無茶しすぎだ!!自分の限界ぐらい見極められないのか!?」


「……アスクル??っつ!??お、下ろして!!こんな格好陛下にお見せ出来ない」


羞恥心てんで力なく暴れる彼女にアスクルは、抱え直し


「お前、このままここにいたら死ぬぞ!!」


「影の仕事なんだから死とは隣り合わせだと言うのに今更何を言ってるの?」


「自暴自棄なってんじゃねぇよ!!確かに俺らの仕事は自国の王族・皇族を護ることだ。だがな自分の身を粗末にしているやつが、他のやつの迷惑になるのは知ってるだろう!!」


怒り出すアスクルの胸に顔を当て、ミーシェは静かに泣き始めた


あぁーいつぶりだろう?誰かに怒られて悲しくて嬉しくてこうして泣いたのは。こっちの世界へ転生してから死なないように、大切な人達を護るようにして生きてきたって言うのにね。温かい家族に隠し事までして、一線引いて良い子ちゃんぶって………結局、私自身の感情を押さえ込んでただけだったんだね


暫くアスクルの胸を借りて今まで蓋をしていた悲しみを流しだしたミーシェは彼に本来の微笑みを浮かべ


「アスクル、本当にありがとう」


心からお礼を言うとアスクルは顔を真っ赤にして明後日の方向を見ながら


「……あっああ。お前絶対その顔を他のヤツラに見せるなよ!!」


と叫び出すアスクルを疑問に思いながらも


「う、うん?」


伝わっていないと思ったのか彼はため息をつくとミーシェの目に手をかざすと温かい魔力が伝わってきた


「アスクル?」


「これで、元通りっとな」


ミーシェは鏡を取り出し顔を見ると泣き腫れているであろう目は、泣いていたことが嘘のように普通だった


「ありがとう」


「おうよ!」


ミーシェはアスクルに下ろしてもらい隣の部屋へ入っていった



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