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国境線でおもてなし

その日の夜は宿と言うよりも貴族の別邸と言う表現が似合う豪華絢爛であった

ミーシェが泊まる部屋は普段彼女が使っている部屋を二回り小さくした部屋で、やはり前世で暮らしていた部屋より格段に広い。ベッドには天幕がついており部屋は薄ピンク色と可愛い内装をしていた


ミーシェはベッドに令嬢らしくもなくダイブすると


「予定変更って!絶対速度上げて移動してるからでしょう!アスクルめ、要らないことを持ち込んで!!兄さんにばれたらどうしてくれるのよ!!」


防音魔法を張り巡らせた部屋で叫んでいると、僅かに他の魔法が発動された残像を感じ取った


動きやすい軽装に変え幻影魔法まで施してから新月の暗闇を駆け出した


今のは…………転移魔法?それなら魔方陣や標を残すからもっと魔力漏れや残像が残るはず。でも他の移動系魔法ならこれよりも莫大な魔力を使うから大勢の人に知れわたる気がするのだけど?


町を通り越し境界線付近に近づくにつれて何処からか視線を感じた


何なのこの視線!見てくる癖にいっこうに姿形すら見せない。殺気がないから更に薄気味悪いわ!!


国境線の手前でテントを張り野宿している人々がちらほら等間隔を開けて2台の馬車を守るように囲っていたその後ろに小型の馬車が数十台


……………何だろう凄く面倒な予感がする


その予感は的中した


ミーシェを囲うように無数の魔法や短剣が飛んできた。彼女は魔法で全てを防ぎすぐさま飛んできた方角に麻痺薬を塗りつけた短剣を投げ者が落ちる音を聞きながら襲いかかる魔法と白の上下を着ている男達に肉弾戦をしながらため息をついた


いい加減にして!こっちはくたくただと言うのにこんなに大勢で小手調べされたら威力間違ってしまうじゃない!


ミーシェの苛立ちがピークに達する前に『ピー』と言う笛の音で彼らは引き下がり国境線の方を向いて膝を折り頭を垂れていた


ミーシェは彼らと同じ白の上下をと金色の刺繍が入った人物と純白の上下に王族を現す家紋を左胸辺りに金で刺繍され嫌がらせの様に表地が黒裏地が赤のマントを羽織った5日ぶりに見る皇子様が歩いてきた


ミーシェは近づいてくる皇子2人に不適な笑みを浮かべ


「あら?お早いご到着ですわね。アクアジェンニ・ローム・レグルス・エマール様。それに アスクル・ローム・レグルス・エマール様」


「久しぶりだな ミーシェルミツキ・モントヴェルト 公爵令嬢」


「おう!昨夜ぶりだなミーシェ。このお出迎えはどうだった?」


ミーシェは大きくため息を着くと


「私、明日から色々と忙しいのですわ。それなのに此のようなことをやられると、誤って殺ってしまうところでしたわ」


彼女の言葉に苛立ちがピーク間近だったことに気づいたアスクルは顔を引き攣らせながら


「わ、悪かった。それより口調も戻してくれねぇか?」


アクアは不思議そうにミーシェを見ていたので


「えぇ、いいわ」


「ミーシェ、お前明日から忙しいって何かあるのか?」


「……えぇ、学園で試合があるのよ。しかも全学年が最終的に当たるトーナメント戦がね」


それの何が忙しいんだ?と言う風に見てくるアスクルに


「手加減が大変なのよ。学園の子は貴族で占められているのよ!もしも顔とか一生に残る傷とか残して見なさいよ、政略結婚に相手に言いなりの生活が待っているのよ!」


ミーシェは興奮を押さえるはように咳払いをすると


「それでは、本題に移りましょう」


とほほ笑み硬直しているアクアに


「何故こんなに早く来られたのですか?」


ミーシェは事と場合によっては一人暗殺して自室に戻ろうと決めた


その気配を感じ取ったアスクルはアクアの前に立ち残りの者達を退却させた


「た、頼むからそれだけは止めてくれよな!」


ミーシェはキョトンとしながら


「何がですの?」


「お前、この中の誰かを殺ろうと考えただろう!?」 


それだけ顔に出ていたかしら?気を付けなくっちゃね


「ふふ、冗談ですわ」


ミーシェは再びアクアに視線を向けると


「早急にそちらの国とこちらの国との友好条約を時期国王と結びたくてな」


ミーシェはニタリと笑うと


「あら、次期国王はアミール・ケーニッヒ・アルヒアンピール 第1王子とは限りませんわ。お調べだと思いますが、今この国ではモントヴェルト公爵家の私を王座に置こうとしている派閥やファナテクト公爵家の第一子であるサデスト殿を王座にって言う派閥もありますわ。ついでに言うとアミール様の支持率は極端に少ないのよ」


ミーシェは困ったわと言う風に顔を傾けた


ミーシェはアクアに初会に会ったときに感じた探るような視線に苦笑いを浮かべた


「アルヒアン王国の影守りに問う」


ミーシェは表情を引き締め能面のような顔とあのときと同じ真っ赤なドレスで


「本日は特別な日。アクアジェンニ・ローム・レグルス・エマール様の問いにお答え致しましょう」


彼は一歩一歩近づいてくると腰に挿していた剣を抜きミーシェの肩に当てた


「アルヒアン王国の影守りのお主が王座に相応しいと思うものは誰だ?」


ミーシェは静かに息を吸うと少し長くなりますがと前置きをしてから


「私達の影守りは、こうして表舞台に立つことは許されない身。だが、当時の王は我等に側で守って欲しいと言い地位と領地を与えた。これが我等が公爵と言う地位にいる理由です。そして、代々言い伝えられていることは


第一の忠誠は己が信じる主に


第二の忠誠は民や同僚に


第三の忠誠は出会ったらエマール帝国の己が信じる者に


と言い伝えられています」


ミーシェは行ったんそこで言葉を区切り


「我等影守りは、王座に着くことはありません。そして信じる次期王はアミール・ケーニッヒ・アルヒアンピール 第1王子です」


「最後に影守りに聞く」


「何なりと」


「お前がエマール帝国の次期王と信じるものは誰だ?」


ミーシェは背後を太陽が照らす光を浴びながら


「それは貴方の民がいいえ、支える影が決めることですわ」


ミーシェは


「それでは今日の昼頃お迎えに参ります」


と言い残しその場から消えるように宿へ戻った


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