願書
時間割りが変更になり1・2時間目は全員座学になり3時間目以降は自主練の練習を行う時間になり、割り当てられた訓練場で各自ブローチを交換した先輩方と手合わせを行っていた。一部例外を除いて
もちろんミーシェとヴライアンもその例外だった
事は数分前。
「ミーシェ!」
訓練場へ行こうとしたミーシェとマックスの足を止めさせたのはヴライアンだった
はぁ、兄さんが人前では抱きついてきたりしないのはいいけどこうも毎回来られると余計に鬱陶しく感じるわ~
「お兄様、何ですの?今からマックスと第5訓練場へ参る所でしたのよ」
振り返り兄さんの方を向くと腕には白い鷹が止まっていた。その足には金色の足輪っかつけられていた
真っ白で金の輪を着けているってことは……国王陛下からの手紙付きってこと?それじゃ今から何か殺るのかな
ミーシェは瞬時に兄さんと目配りさせるとマックスの方に向き
「マックス、悪いけど先に行ってくれるかしら?」
マックスもミーシェとヴライアンを見比べてから
「分かりました。先輩に言伝することはありますか?」
「そうね、理由は今話せないけど暫く練習には行けないと伝えておいてくれるかしら?」
「では、ヴライアン先輩お先に失礼します!ミーシェル譲、練習は怠らないでくださいね」
去って行く彼を見送りながら移動魔法を展開させ誰もいない教室へ向かった
カーテンを閉め丁寧に防音魔法まで展開させてから適当な椅子に腰を掛けた
「ミーシェ、学園生活ごっこは楽しいかい?」
「えぇ、学園に通うことで新たな発見が出来ますしとても充実していますわ」
二人の間には熱気と冷気が物理的にも流れぶつかり合った
「ミーシェ、父上と陛下が心配なされていたよ。小さな国家で何時までも君を 遊ばせておいていいのかってね」
「あら!私をここに通わせたのは我が主が通うのでその護衛として共に入学したのよ。それに私は度々 闇の世界で仕事をなしているわ」
お互いに火花を散らし物理的に荒れ狂う炎と水が周囲に被害をもたらさないように打つかっては消えを繰り返した。が、一時を境に険悪ムードは消え去り何事も無かったかのように用件に入った
「ミーシェ、陛下からの手紙が届いたよ。僕の可愛い天使に鷹を使って手紙送るなんて酷すぎるよ!もし可愛い真っ白な肌に傷痕がついたらどうしてくれるんだろうね!」
ミーシェは兄から手紙を受け取ると暫し硬直してから手紙を開けて兄さん渡した
「………」
「………」
「ねぇ、お兄様。これって私達に行けってことかしら?」
ヴライアンは紙を握り潰すと
「あんの馬鹿!何でこんなときに来るんだよ!!確かに外交的な意味では、三ヶ月いないに来ることはあるが何がなんでも早すぎだろう!?あれから3日しか経ってねぇぞ!」
「お兄様。言葉使いが兵にいた頃に戻っておりますわよ」
ヴライアンは咳払いを一つしてから
「ミーシェ、君が行くか?それとも僕が行こうか?」
「ですが、お兄様。この手紙によると皇帝と第一皇子が私を指名し何故か皇后と第二皇子がお兄様を指名しているのですよ?両方が行かなければ、外交に差し支えが出るのでは?」
二人の悩みの種はそれだけではなかった
なにやら向こうから送られてきた手紙には王城にある客室ではなく、モントヴェルト家に泊まると言うと内容が書かれていたらしい
「はぁ~仕方無いね。来られるのは明後日だから急いで支度しよう。ミーシェ今日から少し辛いと思うけど、常に瞬間移動魔法が使えるよう魔力を練っておいてくれるかい?」
「えぇ分かりましたわ。ですが、授業はどうするのですか?」
ヴライアンは人の悪い笑みを浮かべると
「陛下から送られてきた命令文と今読んだ願書。その二つがあるから学園側にある移動魔法に繋げるのさ」
つまり学園長に頼む形ではなく、上からの圧力をかけて命令するってことね
まさか兄さんいつもそうやっていたのかな?そんなわけないよね
「それでは、常に細い魔力線を繋いでリンクしておきますわ」
「そこまでして魔力持つかい?」
ミーシェは目を閉じ身体中にある魔力量を計算しこれらの魔法を使ったときの減る量を引くと………
「まぁ、普段の学園生活には支障は出ませんわ」
これだけ魔力が残ればもし戦闘になっても大抵の魔法は使えるからね
兄さんは視線を下げ
「ごめんよ可愛いミーシェ。僕にもっと魔力があれば、こんな辛いこと変わってあげられたのに…………」
………あっヤバイ!この調子じゃ面倒なスイッチが完全にはいる!
ミーシェは内心慌て、行動は優雅に兄さんに近づき目の前で膝をおり兄さんの両手を握った
「お兄様、そんなことおっしゃらないで!お兄様はいつも私を助けてくださいますわ それにいつも欠かさず剣の稽古や武道まで行っている。凛々しいお兄様が私は大好きなのです!ですので、あまり自分をお責めにならないで!!」
兄さんはゆっくり顔をあげると
「………ミーシェ!」
さっきまでの悲愁漂う表情からほほを赤く染め目を乙女のようにうるわしてミーシェを見つめた
くっ!兄妹と言えども何なんだこの敗北感。兄さんが か弱い女性に見える!!
ミーシェは精神的には滅多射ちにされた気分だったが、また面倒な事に成らないように笑顔を浮かべ
「さぁ、お兄様早く参りましょう」
兄さんが立ち上がり、手を引かれてミーシェも立ち上がると
「ミーシェ、ありがとう。学園長のところに行ってくるから先に陛下のもとへ行ってくれる?」
……えぇ~私があれを納めなきゃいけない!?正直言って命令した人が喚くって可笑しくない?
「分かりました、では学園側はお願いしますわ」
「あぁ勿論だよ。王家の方は頼んだよ」
「はい」
ミーシェとヴライアンは螺旋階段の前で別れた
ヴライアンは螺旋階段を上がりミーシェは左側にある螺旋階段を下った
迎えの馬車は先頭に止まっていた。外で待機していた従者に兄さんの迎え用の馬車を頼み一度家に帰ってから黒の上下を着。白のブレザーを羽織ると今度は公爵家の白の馬車に乗り込み王城に上がった
門番をしている兵に名を告げると、話が通っていたらしくすんなりと城内に入り馬車をおりると三人の近衛兵が迎えに来ていた
………これって私を逃がさないため?それとも機嫌が悪いことを前提に余計な被害を出さないため?
三人の近衛兵がミーシェの前で膝まつき
「ミーシェルミツキ様。本日は急な陛下からのお呼び出しに馳せ参じてくださり誠にありがとうございます」
「陛下からの急な呼び出しは今に始まったことではありませんわ。それよりも私は、どこへ向かえばよろしいですか?」
三人の近衛兵が立ち上がり
「その前につかぬことをお聞きまして構いませんでしょうか?」
もしかしたらお父様が陛下を黙らす時間が欲しいからってこともあり得そうね
「ええ構わないわ」
「武器などは今所持されているでしょうか?」
陛下に刃物を向けるわけ無いんだけど……
「刃物類は馬車の中に置いていますわ。陛下にお会いするのに武器など身に付けるわけにはいけませんもの」
近衛兵はあかるさまにホッとすると
「そうですか。それではこちらです」
先頭に一人ミーシェを挟んで後ろに二人に挟まれながら移動すると仕事中の従者や侍女・見回り兵士が呆然として立ち尽くしていた
そら唖然とするよこれじゃ連行されているようなもんだからね
噴水のある庭を抜けると王族の敷地に入った。王家の敷地の前には2人の兵と門を潜った向こう側にも2人の兵が立っていた
更に奥へ歩いていくと豪華な扉がありそこには3人の兵が立っていた。彼らはミーシェを見ると
「国王陛下が中でお待ちです。ミーシェルミツキ様のみお入りください。帰りは宰相様がお送りになられます」
ミーシェは後ろへ移動していた3人に礼を述べてから扉の中へ入っていった
ミーシェは入った瞬間から絶句したがどうにかとりなし原因と思われる人に聞いてみた
「…………お父様。これは一体どう言うことですか?」
父さんは笑顔でやりきったように微笑んでいた
「こいつがミーシェに抱きつかんように縛ったから安心していいぞ」
……えっとこの状態で話すの?流石の私でもきついんだけど。でも時間がないし始めよう
ミーシェは執務室の椅子に縛られた陛下を見てから膝をつき
「先程の届けられました願書の件。このミーシェルミツキ・モントヴェルト と 今、手回しをしているためここにはおりませんが ヴライアン・モントヴェルト。この願書を確かに承りました。つきましては、本日から国境まで移動させてもらいます。その際に王城にある瞬間移動魔法陣と私の魔力を常にリンクさせてもらいます。また学園側にある移動魔法陣、モントヴェルト家にある陣とも繋いだ状態にし使用することを許可願います」
「ミーシェルミツキ嬢、この件受けてくれたこと感謝する。常にリンクし使用しても構わないが、魔力はもつのか?」
「ご心配には及びません。それぐらいの魔力ならば戦闘を数回起こされても十分対処可能です」
「………そうか、頼んだぞ」
「はい。畏まりました」
今まで陛下の隣で立っていた父さんが、ミーシェに立つように言うと
「1つ聞きたいことがある」
と父として話しかけてきたがミーシェは格好を崩さず
「何なりと」
「何故ドレスではなく戦闘服なんだ?」
「ただ、毎回呼び出される度に現実逃避をしたくなる出来事が起こりますので前以てこの姿にしておきましたわ。まぁ、今回は必要なかったようですけど」
縛られた陛下を一別してから言うと父さんは、苦笑いして
「さぁ、一度家に戻るか?」
「いいえ、お父様。隣町の宿でお兄様と待ち合わせをしていますのでそちらにお願いしますわ」
父さんはガックリしたと思いきや陛下を睨んでからミーシェをエスコートして、移動魔法を発動させた




