いつから?
彼のストレスを発散し終わると、窓にクラの姿が微かに見えた。
リリーの居場所がもう分かったのかな?早く行かなくっちゃ、リリーが壊れてしまう。
「あの、アミール様。」
彼は、再び不機嫌そうに眉間にシワを寄せ
「アミールだ!」
今は、そんな時間も無駄よね。
「アミール。けして彼らの側から離れないでね。」
「おい!どう言うこと「失礼します。アミール殿下、エマール帝国 第一皇子がお見えですのでお戻りください。」
ジャストタイミングね。でもアクア様がアミールに何の用事かな?まぁ、どちらにしろ ジアンにはアミールの事を頼んでたからこれで行ける。
「チッ!タイミングが悪い。」
ボソッと呟かれた言葉をミーシェとジアンは聞かなかった事にした。
「ミツキ、お前も着いてこい。」
アミールが手を差し出そうとしたとき
「私は、アミールに用事があるのだけど・・ミーシェには聞かれたくないことなんだ。」
あらま!タイミングがこれまたいいことで。まるで、盗聴でもしてたかのようにね。
彼は流し目でミーシェを見ると ウィンクしてきた
うわぁ~~キャラ崩壊でもした!?私たちの前では《俺》だったのに初めに会ったときのように《私》っていってる。ドン引きだわ~
ミーシェは、後ろに下がった
「それなら後でもいいだろう!!今は、ミツキと話をしているのだ!」
彼は、アミールが座っているソファに近づくと彼の手を取り・・捕縛!?
一瞬のことで誰一人警戒していないため、あっさりとアミールはアクア様に押さえ込まれた。ジアンとミーシェが近づこうとするとアクアは
「ミーシェ、行け!」
ミーシェは、驚愕の表情を浮かべながら令嬢らしく略式の礼をすると2階の窓から飛び降りた
「「「はぁ!!」」」
窓から驚きの声が聞こえたが庭を越え直ぐに森へ入りドレスから下に着込んでいた傭兵の服にはや着替えをした。
「クラ、お待たせ。」
「こちらじゃ。ミーシェお嬢様」
先頭を走るクラについて日が落ち始めた森をかけた。
◇◇◇◇◇
金星が夜空に瞬き始めた頃ようやくリリーがいるらしい古びた小さな屋敷に着いた。
「クラ、中の様子を見てきて。」
ミーシェは、小声で彼に言うと
「・・・畏まりました。じゃが、ミーシェ嬢万が一にでも」「分かっているわ、見つかったら戦わずして逃げるわよ。」
「分かっておられるのなら、なにも言いますまい。」
「クラ、気を付けてね。少し嫌な予感がするのよ。」
「ほぅ。ミーシェ嬢の予感は嫌なものほど当たりやすいからの。深入りはせんとさっさと戻って来ることにしようかの」
「そうしてちょうだい。」
クラが、屋敷に入っていくのを見ながら辺りを警戒することにした。
この屋敷 あまり修理はされていないようだけど、馬車や人の出入りは頻繁に有るようね。
建物の構造では2階建てで、1階が食堂を合わせて3部屋。2階は6部屋・・・ほぼ客室かな。
屋敷の回りを一周して戻ると人影がちらついた。
クラ、もう戻ってきたのかな?それにしても速かったわね、私がこの屋敷を一周するのに10分も掛かってないのにね。
気配を消したまま、ゆっくりと近づくと話し声がきこえた。
「たく、何が 『侵入者が森をうろついてる』だ!何処にもいやぁしねじゃないか!」
「声を押さえろ。あの方が仰って居られたんだ。辺りを探すぞ、いいな。」
「チッ。分かったよ探せばいいんだろ!その代わり殺らせろよ。」
「男は良いが女は捕らえろ との仰せだ。」
・・・なっ!何でばれてるの!?それにあの方って、黒幕だよね。
「女なんかが来る分けねぇだろ。」
普通そう思うよね?
「まぁいい。俺は南側を見て回る。お前は西側を」
「分かってるってーの。」
やばい!何処かに隠れなきゃ見つかる。
ミーシェは、咄嗟に木の茂みに隠れ彼らが通り過ぎるのを待った。
彼らが通り過ぎるとミーシェは一度茂みからでて、クラに分かるように印をつけた。そして、また近くの茂みに隠れてクラの帰りを待つことにした。
◆◆◆◆◆
時間は刻々と過ぎ、下弦の月が頂点で輝いていた。
クラ遅いな~。あれから30分以上経っているのに、まだ帰ってこないなんて やっぱりなにかあったのかな・・・。
丁度 月が雲に隠れたとき
『ガサガサ』
葉が揺れる音のした方へ目を凝らすと彼らしき黒い姿が見えた。
ミーシェは、その影の方へ近づいた。
「遅かったね。何か・・・ッ!」
彼の肩を触ろうと手を伸ばした瞬間腕を捕られ拘束された。そして、月が雲から出て男を薄暗く照らした。
えっ!!
「へぇー本当に女が来てたとはな。今日は運が良いぜ。」
男のなめ回すような視線に体が震え始めた。
・・・うそ!クラじゃない。こいつは、さっきの殺し屋!?
「サテと、約束だから連れていくか。」
このままじゃ殺される!
彼がミーシェを抱えようと少し力を抜いた時を見計らい、靴に仕込んである刃で襲いかかった。
「・・おっと。女の癖に危ないものを仕込んでるね~。俺は好きだな~。あんた見たいな強気な女を服従させるのがな。」
男は、ミーシェの傭兵服を脱がし下着姿にすると隠し武器を全て取り外し呟いた。
「げっ!多すぎだろう!?いくつ持ってんだよ」
ミーシェは、その言葉を聞いていなかった。
えっ?脱がすの早くない?あれだけ着込んでいたのに、僅か2・3秒で抵抗している人の服を脱がせるものなの?
「これで逃げられねぇし担いで連れていけるな。」
「レディの服を脱がすなんて最低よ!」
「それなら、レディの癖に刃物類を持っているあんたはどうなんだよ。」
どうって
「ただの護身用の武器よ。何処の家庭でも持たされるわ」
ミーシェを担ぎ歩き出した男は呆れたように溜め息をついてから
「護身用の武器がこんなにある分けねぇだろう。それに、毒を仕組んであるものなんか尚更な。」
ミーシェは逃げる隙を伺っているが、全くもって隙がない。
「用心に越したことはないわ。」
更に男は深い溜め息をついてから
「悲鳴一つあげねぇし、パニクル様子もねぇ。ミーシェルミツキ・モントヴェルトお嬢様。お前、本当に令嬢なのか?」
今度はミーシェが驚いた
何で!私の名が知られているの?
「どうして、私が令嬢だと思うのかな?」
あっさりと答えられた
「お前のことは見張ってたしな。」
今度は、絶句するはめになった。
いったいいつから見張られていたの?この帝国に来てから?それとも王国を出発したときから?いいえ、もっと前かな?
ミーシェの無限ループが始り、静かになった彼女を男は、2階へかけ登り睡眠魔法をかけベッドに寝かした。




