帝国の秘密①
マヤの雷が落ちた後ミーシェは、気晴らしにとまた一人で温室を歩いていた。
様々な草花に薬草類。中央の回りには池があり、短い橋を渡るとお茶が出来るようになっていた。
綺麗なところね。水のせせらぎの音に、外から聞こえる鳥の囀ずり。明日からここで、読書をしようかしら?そうしましょう。
ミーシェは、更に奥へ歩いていった
「・・・うわ!なにこの摩訶不思議な温室は!」
次の扉が開き辛く、魔法で少し隙間を作り入ると・・人形の植物がうねりながら喧嘩?している他の植物へ仲裁?に入っていった。
ミーシェは、興味に引かれこの生物に近づく為一歩一歩近づいていった。
「ミーシェ嬢。それ以上は近づいてはなりません。」
後6歩のところで、誰かに手を引かれ無機的な声で忠告を受けた。
この声は…………誰かしら?
アクア様に似ているけど彼の声じゃないし。攻略対象には、この声の人は居なかったはず。・・じゃ、誰?
恐る恐る振り返ると
皇帝陛下の空のような瞳にその妻の紫のが混ざっていた。髪は、皇帝陛下やアクア様と同じ金色髪。
誰でしょうか?アクア様は金色の髪と紫の瞳。この方も皇族特有の金色の髪が入っているわね。だけど、“わたし”には彼の記憶がないのよね。“私”も勿論会ったことも事前に調べた結果見つからなかったし。この方は誰?
青紫の瞳をした彼に問いかけた
「あの、貴方は誰ですの?」
「後程お話します。これ以上、機密を知っては行けない。この帝国から貴女が出られなくなってしまう。」
彼は、彼女の右手を引いて温室から出ると迷わずに王宮の裏へ歩き出した。
「あ、あの 何処へ向かわれるのですか?私、アミール王子の元へ戻らないと行けませんので・・」
遠回しに手を離せと伝えるも取り合ってもらえずスルーされた。
何なの?彼は侵入者かなにかなの?
「ここから宮内に戻ります。」
「キャッ!」
彼は、言うより早くミーシェを抱え井戸の中に飛び込んだ。そのまま彼は、石を押し込み開いた道を歩き出した。
なっ!なんなのよ。見ず知らずの男にいきなりお姫様抱っこなんて~!って、そんな事よりも!!どうして彼が王宮への隠し通路を知っているのかよね。
一番妥当なのが、アクア様の兄弟か親戚説。
だって、こんなに両陛下に似ているのだからそれが一番可能性として高いわ。
次に可能性が高いのは、暗殺者かな。
暗殺者にしては、どうしてそんなに扱いが丁寧なのかしら?
うぅ~ん。益々分からなくなってきたわね。
「・・何一人で百面相しているのですか?それに 何か勘違いを為さっているようですが、私は暗殺者では有りませんのでご安心を。」
・・うっ。ばれてた
「じゃ、貴方は誰なのですか?」
彼の瞳は綺麗だわ。青と紫のグラデーションが、より一層冷たい印象とともに安心できるわ。
うっとりしながら眺めていると
「アクア様の友人の《アスクル》と申します。これで安心なされたでしょう。」
「家名は無いのかしら?」
彼の足取りに迷いがなく別れ道も気にしないで、歩きながら
「この帝国では、爵位が有る方々のみ家名を名乗るのです。」
この方は、きっと爵位が有るね。身だしなみ、礼儀作法も気品も備わっているしね。ただ、何か隠しているようね。
「こちらの帝国でも同じでしたわね。」
ミーシェは、ふんわりとした空気を消し
「それでは、何故 私の愛称をご存知なのかしら?」
「愛称でしたか。ご無礼をお許しください。」
「気にしていませんわ。」
暫く沈黙が続いたが、すぐにそれは終わり彼 ── アスクル様が一ヶ所壁を押すと・・眩しい光とともに彼の声が聞こえた
「アスクル、またそこから来たのか?」
「アクア様。お客様をお連れいたしました。」
えっ!アクア様の寝室に繋がっていたの??
「客だと!?しかも 隠し通路から??」
「はい。この方です。」
光で見えていなかったのか、彼は驚愕の表情筋を浮かべながら
「ミーシェ!?何故アスクルと一緒にいるんだ?」
ようやく下ろしてもらったミーシェは、事のなり行きを説明すると
「・・・そうか。君はあの扉が見えたんだね。そして、中にいたものも見えたんだね。話をするからそこのソファに座って。」
アクア様に促されるままソファに座るとアスクルが、紅茶を淹れて戻ってきた。
感謝を告げ喉を潤していると、アクア様が話始めた。
「あの温室に有るもう1つの扉は、この国の血を引くものにしか見えないんだよ。」




