妻の尻に敷かれる夫
軽食を食べてから、マヤに支度を手伝ってもらいアミールの礼服に使われている色と同じドレスをきた。
髪を結ってもらいながら
「マヤ、どうだったかしら?」
「大変なことになっていました。」
「大変なことね。暗殺系の事かしら?」
「はい。それとミーシェお嬢様は、皇子様に目をつけられたようです。」
「そう。」
ですよね。そうでなければ、昨夜の出来事は何のための接触か分からないからね。
「さぁ。完成しましたよ。リリーの事は私にお任せください。」
「えぇ。頼んだわ。それと炙り出しをお願いね。」
「分かっております。そろそろアミール王子がお越しになられますよ。」
「えぇ。」
そのとき
『トントン』
マヤが扉の前に行き
「はい。どなた様でしょうか?」
「アミール王子が参りました。」
この声はジアンだね。
マヤは扉を開け
「どうぞお入りください。」
「失礼する。」
入ってきたアミールにカーテシーを行い
「アミール王太子殿下、昨夜はありがとうございました。」
「顔を上げよ。」
「はい。」
ゆっくりと顔をあげると不機嫌なアミールと目があった。
「いいや、構わない。婚約者を助けるのは、俺の役目だからな。それより、そろそろ行くぞ。」
私何かしたかな?怒らせることした覚えが無いのだけど
「えぇ。エスコートお願いしますね。」
しっかりしなくちゃ!昨夜の闇に再び飲まれないように気を付けなくては!
「もちろんだ。・・・・・」
うぅ~行きたくない。だけどアミールの婚約者として行かなければ。
「…えぇ。」
アミール殿下の左腕に右手をのせてミーシェ一行は、謁見室へ向かった。
「ミツキ、あれから寝れたか?」
と小声でアミール殿下が聞いてきた
「えぇ。どうにか寝れましたわ。」
そう!アミールのせいで萌え死にするところだったんだからね!
「……それは、良かった。」
はぁ~それにしても厄介事に巻き込まれ過ぎだと思うのだけど。
「………」
「こちらで、皇帝陛下と皇太子殿下にお会いします。」
と従者の後を歩きながらレッドカーペットの中央で立って待つことになった。
上にはダイアモンドで作られたシャンデリア。前には、5段ほどの段差がありその上に玉座が2つ。その1つ下に玉座が見えるように少し右寄りに椅子が置かれていた。
『皇帝陛下並びに皇后陛下・皇太子殿下のご入場です。』
ファンファーレが鳴り響く中アミールは軽く軽く礼をしミーシェは、膝をついた。
「双方面を上げよ。」
アミールはミーシェに手を伸ばした。ミーシェはその手に右手を置き左手でドレスの裾を持ち立ち上がった。
「ようこそ我がエマール帝国へ。アルヒアン王国第1王子
アミール・ケーニッヒ・アルヒアンピール殿。 その婚約者 ミーシェルミツキ・モントヴェルト 公爵令嬢。 2人を歓迎する。」
「いきなりの視察を受け入れてくださりありがとうございます。様々な事を学び、自国へ持ち帰りたいと思います。短い間ですが、よろしくお願いいたします。」
「じっくりと学ぶがよい。」
「お言葉に甘えさせてもらいます。」
ミーシェは、とても嫌な感覚に陥っていた。
なんなの?このネットリと私に絡み付く魔力は。そうかと思えば、拘束しようと動き出したり。
ミーシェは、この室内全体に意識を広げ魔力の持ち主を探し始めた。
「そう言えば、モントヴェルト嬢はかなり優秀だと聞いたのだが。」
見つけたこんなに薄くされるとわかり辛い!!この狸皇帝め貴方が、私を拘束しようとしてたのね!
「いいえ。そんな事はありませんわ。他の皆様に比べれば、私はまだ日よっ子ですわ。魔力を最小限にすることなど、出来ませんもの。」
狸皇帝が一瞬驚いたが、次の瞬間をニヤリと笑った。それは、新しい玩具を見つけた子どものように。
「そう言えば、息子がモントヴェルト嬢を気に入ったと言っていたな。」
「父上。その様なざれ言を仰らないでください。」
何だろうこの変なやり取りは?それよりもあと1つの魔力は、誰から来てるのかな?
更に集中すると似た様な魔力を見つけた。
この狸どもめ!いい気に成り上がって!………おっと!言葉使いが荒くなってしまったわ。
「モントヴェルト嬢。もし良ければ、この後庭に行きませんか?」
ミーシェは笑みを浮かべ
「光栄ですわ。……しかし、私には婚約者が居ります。勝手に行動するのはどうかと思うのです。ですので、3人で参りましょう。絡まる糸は、早めに解くべきですので。」
「くくくっ~~~。失礼した。あまりにも予想外だったのでね。」
いきなりの笑いだしたアクアジェンニに皇帝陛下と皇后陛下は、笑顔を浮かべ アミールは眉に皺を寄せた。ミーシェは、
ついに本性を出したわね!
「ついに全てを気づかれてしまったか。」
「だから申したでしょう父上。彼女は、絶対に気づくと。」
「ああ。本当に気づかれたとはな。」
「二人とも、あの様な事をすれば誰もが不愉快になりますわ。2度としないように。良いですわね!」
「分かっておる。次やれば、返されそうだからな。」
「二度とやりませんよ母上。」
「それなら良いのですが。モントヴェルト嬢。不愉快にさせてしまいごめんなさいね。この二人には厳しく言って聞かせますので。」
「いいえ。大丈夫ですわ皇后様。」
「なんて優しい子なのでしょう!それに比べ アクアは誰に似たのか。はぁ~母は嘆かわしい。」
泣き出した皇后様に皇帝が焦りながら
「これで、謁見は終了だ。」
妻の尻に敷かれる夫を見た気がした
「なぁサラサ。俺が悪かったからお前の望みを叶えてあげるからな。泣くなよ。」
退出した二人をカーテシーで見送りその場に残っている3人。
「悪かったなミーシェ嬢。」
「いいえ。始めから何か仕掛けてくると思っていましたので。」
アクアジェンニに苦笑いを浮かべ
「それに アミール殿もすまなかった。可笑しな光景を見せてしまった。」
「いいえ。構いませんのでお気になさらず。」
「謝罪の変わりに町を案内してやるよ。」
「では、お言葉に甘えさせてもらいます。ミーシェ嬢どうする?」
「私は、……………」
何だろう?アクアジェンニの様子が気になる。それにアミール も様子がおかしい。宮殿を調べるのは後にした方が良さそうね。
「いいえ。私もお供させてもらいますわ」
「では、軽装に着替え門の前で待ち合わせで良いですか?アクアジェンニ殿。」
「分かった。それと二人とも俺の事はアクアと呼べ。俺も二人の事は アミールとミーシェ と呼ぶからな。」
「あぁ。構わない。」
「私も構いませんわ。」
「じゃあ後でな。」
「ああ。」
「はい。」




