出会い
西ノ森の一番奥にたどり着いたとき湖に浮かぶ人影を見つけた。
「ミーシェ嬢わしが見てきます。クミト頼んだぞ。」
クミトはクラの言葉に頷いた。
クラは湖に近づき浮かんでいる人に魔力糸でくくりつけ、陸へ引っ張った。
無事に陸に上げ呼吸を確認すると僅ながら息をしていた。
魔物への変化が見られないことを確認し
「ミーシェ嬢。こやつはまだ大丈夫です。」
「そう。良かったわ」
私は胸元で祈るように組んでいた手を離しクラの元に駆け寄った。
「やっぱりこの人だわ。私を呼んだのは」
「ミーシェ嬢。何か見えていたのか?」
「ううん。見えていた訳じゃないの。ただ、ここに行かなきゃと心が叫んでいたの。」
「それはそれは、こやつが呼んだのかも知れませんね。」
ミーシェは、服が汚れるのも厭わずに膝をつき意識を失っている彼の手を握り
「早く目を覚ましてね。」
そのとき、体が暖かいものに包まれる気配がした。ミーシェは急いで手を離すと暖かさが消えた。
今のは何だったのかしら?
クミトが彼を担ぎながら湖を後にしようと歩き出した。
その時真後ろから何かが飛んできた。
クミトは私と彼を抱えながら遠くへ飛び、クラは攻撃を仕掛けてきた魔物に苦戦していた。
「チッ!あのジジイが苦戦するなんて、ちょっとばっかしまずいか。」
ミーシェはいまいち現状が把握出来ていなかった。ただ怖くて、震えていた。
「たっく俺にどうしろと言うんだよ!!ミーシェ嬢。暫くそこから動くなよ。」
ミーシェはコクコクと頷き目の前の彼を抱き抱えながら目をつぶっていた。
爆音が響く度にビクビクしているミーシェの腕の中でいる彼の意識か戻り始めた。
「危ない!逃げろ!」
とクミトの声がしミーシェは目を開けると目の前に黒色の玉が飛んできていた。
ミーシェは、死を覚悟し目を閉じると先程とは違う暖かさに包まれた。
「大丈夫ですか?お嬢さん。それと先程は助けていただいてありがとうございます。」
「い いえ。 わ 私こそ た 助けていただいて あ ありがとう ご ございます。」
「ふう~ありがとうよ坊主。おかげでミーシェ嬢が助かった。」
「いえ。たまたま眼を覚ましただけですので、気にしないで欲しい。」
「目を覚ましたところ悪いがミーシェ嬢を、暫くの間頼んだぞ。」
「分かった。」
ミーシェは彼の腕の中で温もりを感じながら意識を手放した。
ミーシェが意識を手放した事に気づいた彼は
「私のお姫様を見つけた。」
と呟き愛おしそうに見ていた。
クミトとクラが魔物討伐を終えミーシェ嬢の元へ向かった。
「おやおや。ミーシェ嬢はご安心なさって眠ってしまわれましたか。難しい言葉や大人のような行動を取られていても、やはりまだ5歳の子どもですね。」
「まぁ、それが可愛いんだけどな。」
「そうですね。」
「1つ聞いても宜しいか?」
「何でしょうか?」
「このご令嬢のお名前をお聞きしたい。」
クミトとクラの冷たい目線に彼は慌てて
「命の恩人として我が家に招きたいのであって!また会いたいとか……友達に成りたいとか…………そんなんじゃないからな!」
と顔を真っ赤にして反論する彼を見た二人は顔を見合せ
「この方は ミーシェルミツキ お嬢様 です。家名はお教え出来ません。」
「それだけで、十分です。」
この後ミーシェの愛馬スティーブンをクミトが連れ、ミーシェ嬢をクラが抱えた。西ノ森の半分が過ぎたところでミーシェは目を覚ました。
「ミーシェ嬢。お目覚めですか?」
「ぅ………うん。クラ?」
「そうでございます。」
ミーシェはクラの腕から転げ落ちるように降り
「二人とも大丈夫?怪我してない?」
その様子に彼がお腹を抱えながら笑い始めた。
ミーシェは3人だけでは、無かったことに気づき彼のほうへ向いた
「ところで、貴方は誰?何でこの森にいたの?」
「俺は、……ミール。この森に迷い込んでしまった。」
「では、あの死体はミールの護衛のかた?」
「そう。途中で変化しだしたから仲間が食われる前に、僕の手で殺めた。」
「……辛い事を聞いてしまってごめんなさい。私の名前はミーシェルミツキ。彼らはクラとクミト。私の家族よ。」
「そうなのか!?」
「ミール殿。わしらは、ミーシェ嬢の護衛の者です。」
「えぇ~。」
「さてと、そろそろ森を出ますぞ。」
気づけばミーシェとミールは手を繋ぎ話ながら森を抜け出した。
そこには、豪華な馬車そして一人の男性の回りに大勢の護衛と思われる人々が護るように立っていた。その近くにミーシェの家族もいた。
「アミール!!無事だったか!」
「はい。父上。そこに居られるミーシェ嬢とその護衛2名によって助かりました。」
「そうか。それは良かった。」
一方ミーシェは
「お父様!お母様!それにお兄様!までどうしたのですか?」
「アミール王子が西ノ森へ行ったと聞いて、ミーシェに頼もうと思ったら出かけていない。と言われてね。でも、ミーシェが滅多に行かない西ノ森にどうして行ったのかな?」
「何か胸騒ぎがしたのです。そしたらこの森に行かなくてはいけない気がして………」
「でもミーシェが無事で良かったよ。この森は、魔物化することが分かって封印することにしたんだよ。」
ミーシェがチェスター(お父様)と話していると国王陛下が
「チェスター。ミーシェ嬢。そなたらのおかげで、我が息子アミールが生きて帰ってきた。感謝する。」
「いいえ。お気になさらず。」
「私の方こそ王太子殿下に助けていただきました。」
「いいえ。父上。私がミーシェ嬢に助けていただいたのです!あのままでは、魔物に食われていたでしょう!」
「いいえ。私の方が助けられましたわ!魔物の攻撃から私を守って下さったのですから。」
「はっはっは。ソナタたちは仲が良いな。ミーシェ嬢。これからもアミールの事をよろしくな。」
「こちらこそ宜しくお願い致しますわ。
私はアミールの事が好きですもの。」
「ぼ、僕だって!ミーシェ嬢の事が好きだよ!」
初々しい二人を囲む大人たちは、あまりの驚愕に言葉を無くしていた。
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