魔物討伐
少し残酷な描写が入ります。
ミーシェが雲隠れしてから5ヶ月が過ぎようとしていた。この日は朝から国を恐怖に落とし入れる話題が上がっていた。
その対応に追われているのがモントヴェルト家である。何故ならモントヴェルト家は、代々光属性を使える者が生まれるからである。
「ヴライアン!お前はミーシェにこの事が知れわたるようにしろ。」
「情報操作は終わっています。外に出れば、誰もが話していますのでじきにミーシェにも伝わるかと。」
いつものように、穏やかな表情は誰一人としていなかった。ヴライアンもミーシェの父であるチェスターも内心ではミーシェの事を心配で今すぐにでも抱きしめたいがそれを我慢しながらその対応に追われていた。
一方ミーシェの母アリーヤも貴族の方々や領民が心配にない様に情報提供と場合によっては避難を呼び掛けていた。
侍女や従者・料理人など家に出入りしている者の家族をモントヴェルト家に招待し安全の確保が出来るようにしていた。
噂は30分もしないうちに国中に広がり今回魔物が現れたと言う街の門だけ開けその1ヶ所以外の要塞門を封鎖した。もともと要塞の門は2重になっており、第一門と第2門の間には平原が広がっている。街と街を塞ぐ門は2・3センチ位の分厚さだが、平原と王都を塞ぐ門は40センチの厚みで2重構造で隙間が全く空いていない様に造られている。
その平原と魔物が出た街の要塞には、対応に当たっているモントヴェルト家の当主と次期当主である チェスターとヴライアンが兵を引き連れ魔物討伐のため目の前にある森林に足を踏み入れた。
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そのころミーシェはと言うと……。
自分で作った新居から出て街に買い物に出掛けていた。
今日はやけに騒がしいわね、何かあったのかな?気になるな……よし聞き耳たてちゃお!
「奥さん聞いたかしら?」
「聞きましたわ、怖いわよね。今まで100年以上も現れていなかった魔物が突然隣街に現れたんですって!。」
「そうそう!さっき私のところにモントヴェルト家のアリーヤ公爵婦人がやってこられて、モントヴェルト家が魔物討伐が国王様からの勅命を承ったそうよ。」
「あら伯爵婦人それは本当ですの?」
「えぇ、そうですわ子爵婦人。」
うそ、物語と違う!?それよりも、それじゃお父様もお兄様も討伐に向かってるってこと!魔物を討伐するには光魔法でしか倒せないはずだけど!お父様達はその事を知っているのかしら?知らないで行っているなら、お父様達が危ない!急いで向かわないと。
私は移動魔法で、平原と魔物が出たと言う街との間に移動した。
目の前には、森林が広がっており人が一人通れるぐらいの道が出来ていた。
もう、向かっているみたいね。私も急いで追い掛けなきゃ!
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ミーシェが森林の中を走っているときチェスターとヴライアン達一行は、森林を無事に抜け魔物が出たと言う街に到着した。
「………これって………………。」
街の光景を見て誰もが絶句した。
街には、血塗れの人間や動物の死体と荒れ果てた田畑。まるで地獄絵図のような感じになっていた。
「……生存者がいるか確認する。単独行動は危険だ。5人で1部隊を形成し生存者がいたならこの場に移動して待機だ。もし、魔物がいた場合は、炎魔法で攻撃し誰かが空に向かい合図を送れ。分かったな?」
「「「は!」」」
「けして、死ぬなよ。生きて街に戻るぞ良いな!」
「「「はい。」」」
「それでは各自行動に移せ!」
兵が散らばってからヴライアンが
「親父、無茶をするなよ。」
「ふん。お前に言われたくない。早く行け!ヴライアン、生きて帰るぞ。」
「あぁ!」
お互いに部隊を率いて真逆の方向へ向かって行った。チェスターは、東側の森の奥にある村へ。ヴライアンは、西側にある村へと行った。
チェスター 一行が東にある村に着くとそこは先程の街よりさらに酷かった。
家も人も動物も全ての物が生と言う物が火に焼かれ灰になっていた。地面には魔物が喰った生き物達の生々しい血だまりと魔物の足跡だけが残っていた。
わずかな希望を賭けて村の中を歩いていると奥の家から物音が聞こえたまるで何かをむさぼり食う様な音が。
チェスターは仲間に目で合図を送り、そっと唯一火の被害からなんを逃れたボロボロの家の中に足を踏み入れると…………………。
奥に動く影があった。警戒を解かずにゆっくりと足を踏み入れて行くと『ギシ』と足元で音が鳴りその影がこちらを向いた。その影はこちらを向き襲い掛かってきた。チェスターが炎魔法で攻撃をすると狼のような鋭い牙をこちらに向けた。
チェスター達はゆっくりと注意をしながら後ずさるが再び魔物は襲い掛かってきた。仲間の一人が防御結界を張りもう一人の仲間が空に向かって炎の球を打ち上げた。前ばかり注意がいっていたせいか気づけば、回りに今まで気配も姿も無かった魔物たちに囲まれていた。
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チェスター達が村へ着いたときヴライアン達も村に着いた。
「こりゃ酷でーわ。街よりもこっちをさきに襲ったみたいだな。」
「……………元は、人だったかも判らないですね。」
「ああ。まるで肉のか溜まりだな。」
と兵と話しながら村を見て回ってると、奥で足の物音がした。
ヴライアンは先程話していた兵に目を向けると その兵も頷いた。
ヴライアンは、音がした家の方へ向かい3人を外で待機させ頷いた兵と共に中へ入った。その家の一番奥から音がしたためゆっくりと扉を開けると……………………。
そこには、黒い影が人の手を貪り喰っていた。
ヴライアン達は声にならない悲鳴を上げた。その時後ろにあった木の枝を兵が後ずさったときに踏み『バキ』と言う音がなった。
ヴライアンは、目の前にいる魔物と眼が合い後ろにいる兵と一緒にゆっくりと後退り無事に外に出られたと安心したのもつかの間。
防御壁で魔物から身を守っている3人の兵がいた。
「チッ!囲まれたか。」
ヴライアンは、共に中へ入った兵に合図を上げさせた。そしてヴライアンは、打開策を考えていたら空に他の部隊からのSOSの合図が上がった。
そちらにヴライアンが気を取られていたら兵の後ろから先程の魔物が現れ防御壁の間がら襲い掛かってきた。ヴライアンは咄嗟に仲間を自分のいた場所へ移動させ、変わりに自分がその兵が立っていたところに入れ替り腕でガードした。
ヴライアンの腕に魔物が噛みついた瞬間辺りに眩しい光が広がった。誰もが目を開けていられず、目を閉じ光が収まったときにはそこにいた魔物が全滅していた。
ヴライアンは、ふと 自分の腕を見るとそこには妹のミーシェから初めて貰ったブレスレットに少し噛み跡が残っていた。
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少し遡ってその頃ミーシェは………。
森林を抜け街に到着していた。
お父様とお兄様達はどこにいるのかしら?
無系統魔法で視力アップをし回りをみると5人組の男性が襲われているのが見えた。
あれは……家で雇ってる兵の方々だね。しかもガードするので精一杯みたいね。
私は、急いで彼らのもとに向かいながら光魔法の上級魔法『浄化』を唱え彼らを囲うようにしている魔物に向かって放った。魔物が塵となって消えたのを確認してから
「大丈夫かしら?どこも怪我していないかな?」
一斉にそこにいた5人は私の方を向き驚いた表情をしていた
「………ミーシェお嬢様!?何故このような所に?家出をなされ燐国へ行かれたとお聞きしておりましたが?それより!危ないところを助けていただきありがとうございます。ミーシェお嬢様。」
私は彼らの質問に苦笑いをしながら
「街で噂になってたから、心配できたのよ。それと………私確かに家出はしましたわ。しかし、燐国へは行っておりませんわ。ずっとこの国の街で暮らしていただけですわよ。それよりも、お父様やお兄様は何処におられるのですか?」
「作戦通りなら、当主様は4人の兵を連れて東の村へ。ヴライアン様は、同じく4人の兵を連れて西の村に行かれたかと。」
「そう、ありがとう。貴方達は、この後どうするの?」
「森林の手前で待つように言われてます。」
「そうなのね。それではこれを身に付けていてください。きっと皆さんをお守してくれますよ?」
と言ってお兄様用に作っておいた改造版ブレスレットを渡した。
「お嬢様!このような高価なものを我々には…………」
言葉を被せるように
「お守と言ったわ。貴方達が死んだら私がここへ来た意味が無くなってしまうわ。もし納得が行かないなら、無事に生きて帰れたら私に返してくれたらいいわ。それまでそれを持っていて、魔物は絶対に近づかないからね。」
と言ってると東と西の方から緊急を知らせる魔法が上がり、お兄様の方へ駆け出した後に私が対で作ったブレスレットが熱を持った。
お兄様が危険なのね。
私は『浄化壁』を唱え対のブレスレットを持っているお兄様の方へ魔力を運び発動させた。
西側に眩しい光が広がった。
力乗せすぎちゃった~~まぁいっか?これで西に行かなくても良くなったし、お父様の方へ向かおっと。
180°向きを変え東に向かって走った。
私が東に到着したとき防御壁を交代で張っていたのか中にいる兵の4人もお父様も疲れがみてとれるほど蓄積されていた。
東には、巨大化した魔物がいた。
光の矢で、弱い魔物を消した。巨大な魔物は私に気づくなり襲い掛かってきたが光の障壁でガードした。
遠くでお父様が幽霊でも見たかのようにめを見開き叫んでいた
「何故!何故ミーシェがこの場所に!?それに光魔法を!?」
そんなお父様を放置し、襲いかかってくる魔物に止めを指し塵と成って消えたのを確認してからお父様のもとへ行った。
「お父様、 皆さん怪我とか大丈夫ですか?」
冷静を取り直したお父様は、仕事の時のような話し方で
「……あぁ、彼らは怪我をしていない」
と事務的に答えた
「……お父様。『彼らは 』 怪我をしていないなら 『 お父様』はどうなのですか?」
とわざと『彼らは』と『お父様は』を強調して言うと苦虫を噛んだように
「……いつの間にアリーヤみたいにあげあしをとるようになったんだ?」
「お父様、私の問いに応えてくださいませ!」
お父様は観念したように
「腕を噛まれた……。」
私が疑うようにみると
「背中を引っ掛かれた。それだけだ。」
「はじめから大人しく言ってください!」
「悪かった。」
お父様の謝罪を受入れ治癒魔法を唱えついでに魔力回復の石を渡した。
そしてお父様達を連れてもとの位置へ連れていくとそこには先程兵とお兄様プラス兵4人が追加されていた。全員の無事を確認してから
「お兄様、ちゃんとそのブレスレットを着けておいてくださったのですね」
「ミーシェ!お前のお陰で助かったよ~~本当にありがとう。可愛い妹!本当に寂しかったんだよ~~」
と言って泣いて抱きついてきた。
「お兄様、分かりましたから!離れてください。皆見てますよ。」
「良いじゃない~見たきゃ見せればいいよ。僕の可愛いミーシェ!」
といつものだらしない甘甘のお兄様のままだった。
はぁ~剣や仕事をしているときは凛々しくてかっこいいんだけどな~。
と思いながら私が雲隠れしていたときに編み出した隔離魔法を唱え水晶の中へ入れた。中で騒いでるが気にせずに
「お父様、皆さん戻りましょう?私達の温かな家に。」
と言って家に戻った。
余談で
この日の出来事は、後々教科書にも乗るはめになるとは思ってもいなかった。そして編み出した隔離魔法は、魔法騎士団に広がり教えてくれと言う人が絶えなかった。




