ダブルクロスリプレイ・オリジンの感想。
矢野俊策氏のリプレイです。
氏の諸リプレイの特徴と言えば、読者であっても、胸をえぐる展開と言うか。
悪い意味でも、敵に同調してしまうストーリーテーリング。
特にダブルクロスの場合、根幹に絆を守りたければ、絆を消して日常を脅かす敵を倒せ!!があるせいか、超人であることを厭うボスを基本的に完全に敵とみなせないせいもあるのでしょうが。
「・・・なりたくてなったわけじゃねぇ。」“日常”を諦めきれないUGNチルドレン・高峰隼人。
「解らないけれど守りたいと思うもの」“日常”を知らない実験体出身UGNチルドレン・玉野椿。
この2人がメインPC。
珍しいことにこのリプレイ、所謂、股旅モノ。
諸事情で入れ替わることはあっても、それを織り込んでいないのが、商業リプレイ。
この2人が全国津々浦々回ります。
そして、2人にご当地PCが加わるカタチになります。
「もう、ウェンディはいないわ、ピーターパン?」身体無き支部長・大宙ヒカル。
「それでも、僕らは変われないんだよ、ウェンディ?」永きを生きる古代種・群墨応理。
「オレは愛に生きるぜ~!」おバカなギターチルドレン・蓮見イサム。
「“ヴァイオラ”が起きてしまうからまたね」表の人格の為に暗躍する“シザーリオ”
「あたしは、オーヴァード空手で世界を目指します」イノシシ馬鹿なFHチルドレン・辰巳狛江。
「“プランナー”の意志が侭に。」仔ライオン操る春日一族・春日怜央。
四巻目は各巻から各一名選出してのラストバトル。
その市から動けなかったり、ジャーム化していたりで、へっぽこーずな三人がゲストキャラになってます(笑)
敢えてそれでも言おう、シリアスしてると可愛いんだ、素敵なんだPCズ。
一巻のメインヒロインと高崎隼人は、両片思いだけど、二度と会えない≒会えば彼女も非日常に来てしまうジレンマが萌えます!!
両親も居ない隼人にとって、彼女こそが、超人であっても、唯一残った縁なのでしょう。
(※意識的なオーヴァードとして残すと暴走の危険があるので、結果的に記憶処理して普通人間として生きてる一巻ヒロイン/パーソナリティでは大学生になった模様)
・・・えー、アリアンロッド読んでたりする方には意外かもしれませんが、あの『ベネット』の中の人が、PC1です。
旧アリアンロッドのハートフルや異能使いリプレイで主人公格勤めてたと言っても、ねぇ?
ちなみに、きくたけGMの時に、三下率高いが、七砦の幻砦のシェルジュは三下へっぽこだがそのラストに至るまでの流れが胸熱、死ぬけど。
とりあえず、話を戻して。
矢野氏のリプレイは、これに限ったことではないけれど、他の同作品のリプレイに比べてすら『日常』に執着と言うか固執と言うか、日常渇望しているのが、ボスだったりするからものすごくやりにくい。
勿論、「ワハハハー、超人の力使って、オレの欲望達成するぜぇい」なボスも居る。
このリプレイで言う、二巻のラスボスがそのクチ。
三巻のラスボスは、日常と混合タイプだけど。
三十歳以上のキャラの場合、まだ、レゲネイドウィルスが表立っていない≒無かったと思われてる時代を知っているからこその渇望だろうし、二十歳以下のキャラの場合、自分が絶対に手に入れれないからこその渇望なのだと思う。
そして、このリプレイとセットで読んで欲しいと思うのが、3rdになるが、リプレイ・ジェネシスは一緒に読んで欲しい。
同じく、《アダムカダモン》計画の被験者であった二人が選んだ異なる結末が、涙を誘う。
今の世界的な意味でのUGNは氏ねとは思うが、日本支部を嫌いきれないのは、《アダムカダモン》計画のUGN責任者が、霧谷が責任者になった理由が理由だからか。
その理由がこのシリーズで語られる。
かつ、割とシナリオ構造がSFしてるシリーズだと思う。
このゲーム自体、SFっぽいけども。
宇宙に出ないけど、SFっぽいけども。