功の選んだ道
第7話
「着いたぞ、ここが人間領土最大の国『フォームル王国だ』」
セレンはそう言って門を通る
「おお……すげぇ………………」
街並みは中世ヨーロッパってところか?文明レベルがどの程度かは分からないけど、魔法があるならあまり関係ないか
馬から降りる、セレンの方を見たが降りないつもりだ
「さて、私達はこれから城に戻って国王様に任務成功の報告をしなければならない、残念だがここでお別れだ」
あれ?いっしょにいってくれるんじゃ?
「安心しろ実はアラガミ殿が馬に乗ってる間に魔法で調べさせてもらった、もう疑ってなのどいない」
いつ間に⁉︎
「全然きずかなかった……」
「なに、これでも一部隊の隊長だぞ私は」
そういえば仲間からも隊長と呼ばれていたな
「冒険者ギルドはここを真っ直ぐ進んで右に曲がれば直ぐに分かる、大きな建物だからな、そこでギルドに加入して先ずは簡単なクエストを受けて今日の宿代を稼いだらどうだ?」
「分かった、そうするよ」
「ギルドに入ればもしかしたら会うかもしらんからな、その時にはよろしく頼む」
セレンは言いながら馬にまたがる
「また会おうアラガミ殿」
「こちらこそ最初にあったのがあんた見たいな美女で嬉しかったよ」
功はからかい半分で言ったが
「びっ…………びっびび美女だとっ⁉︎なっ……何を急にそんな…………‼︎」
突然顔を赤らめてうつむくセレン
「何か変なこといったか?」
事実セレンは本当に美女だ、青い瞳に美しい金髪にキリッと凛々しい顔立ち、それに身長も高く、178センチある俺より少し下位だ
「いや……今までそんなことを言われたことなくてな……その……ぁ」
どんどん声が小さくなっていく
「そういや国王様に報告しにいくんじゃないのか?」
ここに着いてから少し時間が立ってる
「あっそうだった、スマン皆!直ぐに行くぞ‼︎」
と部下に叫び馬を方向転換させる
「じゃあな」
「あっ……ああ…………」
そのまま走りさってしまった
「何か素っ気ないな……まあいいか、とりあえず冒険者ギルドへ向かおう」
セレンに教えてもらった道を辿りギルドへ向かう功であった
「ふう、やっとついた、そこそこ距離あったな」
今功の目の前には冒険者ギルドがそびえ立ってる
「さてと、登録といきますか」
ギルドのドアを開け、中へ入る
(うおっでけえのばっかだな)
ギルド内の酒場には大柄で屈強な肉体をもつ男共が昼間から酒を飲んでた
(あんなのに絡まれたらヤベエな、出来るだけ目立たないように……)
そのまま中を進んで行き、受付らしき所を見つける
「あのぉすいません、冒険者ギルドに登録したいんですけど」
「はいっギルドへ登録ですね、少々お待ちください」
受付の女の子が笑顔を浮かべながら何やら探している
「どうぞ、ここに名前と出身地を」
出身地⁉︎どうしよう‼︎
「えと、遠い東の国から旅をしてここまで来たんですけど訳あって出身地は……」
適当に言い訳を言ってみる
「はい、構いませんよ」
「えっいいんですか?」
「はい、出身地が明かせないなんてよくあることですし、あっお名前はしっかりお願いしますね」
おお助かった
「じゃあ、アラガミコウっとあれ?何だこの字?」
俺は紙に見たこともない字を書いていた
「?何ってエグリスタワードですよ、この世界共通の文字です、あなたも書いていらっしゃるじゃありませんか」
とても不思議そうな目で見てくる受付の女の子
(俺はこんな文字知らないのに……スキルのせいか?たしか神の加護ってスキルがあったはず)
「すいませんちょっと」
「はい?」
功は受付嬢に見えないようメニューを開き、スキルをタップする
スキル 【神の加護】
常時発動型スキル
運やレベルUP時のパラメータ上昇、経験値倍増、使用者が知らない言語の翻訳、読み書きなどを可能にする
(これのせいか便利だな)
「あぁ、すみません、これでいいですか?」
「はい、大丈夫です、ギルドについて説明はいりますか?」
「いや、それについては知っている、ギルドカードもな」
馬に乗ってる最中にセレンから色々聞いておいた
「分かりました、ではこれがギルドカードでございます、どうぞ」
カードを手に取る功
「アラガミさんはFランクからのスタートです」
「ああ、ありがとうそれじゃあ」
「はい、おきおつけて」
受付を後にする功であった
(さてと、何の依頼を受けるか)
ギルドには毎日大量の依頼が入り、それを冒険者達がクエストとしてこなして成功報酬として金を貰う
受けれるクエストはギルドカードに記されている
ギルドカードとはギルド側が発行した冒険者証明書で身分証明書にもなる、カードにはランクが記されていて下からF、E、D、C、B、A、Sで功は1番下のFである、クエストにも同じランクがあり、自分のランクより下か同じしか受けられない
そしてクエストを受け続けてるとランクが上がり上のクエストを受けれるというものだ
「屋根の修理、5000エネ……クロクラ草の最終、6500エネ……どれもぱっとこないな」
因みにエネとはこの国の金で1エネは1円である
「ゴブリン退治、15000エネ……これいいな、どれどれ」
『東の森に集まったゴブリンの退治をお願いします、
1匹残らず駆除してください。』
「ゴブリンか、そんな強くないだろ、丁度試したかった神技があるし」
張り紙を手に取り受付に持っていく
「この依頼を受けたい」
先程の女の子だった
「はい、クエスト内容は……えっ⁉︎ゴブリン退治!」
何故か女の子は驚いている
「どうした?ランクは同じだけど」
「あっはいそうですけど……失礼ですがあなた、つい先程加入した方ですよね?」
「ええ、まあ」
そのとおりだ
「その……最初は戦闘ではなくもっと簡単なクエストを受けたほうがよろしいかと、ランクFでも冒険者なりたての人には手強いですし……」
まあ普通入ったばかりの奴が受けるようなクエストじゃないのか、かといって神技のことを言うわけにもいかないし
「大丈夫、腕には自信あるんだ、なんとかなるよ」
「けど……」
女の子は喰い下がらない、うーんそんなに大変なのかなぁ
「過去に、ろくに戦闘経験もないのにゴブリン狩りのクエストをして命を落とす人が何人もいて大変だったんです」
俺のそんな考えを見透かしたように女の子が喋る
「ですから一旦このクエストは保留にして別のクエストを受けたほうが、レベルもまだ低いようですし……」
う〜ん、力を隠すって案外めんどくさいな
いっそ神技見せるかなどという考えをしてると後ろから声をかけられる
「おい坊主、おめぇみたいな冒険者舐めてる奴がすぐに死ぬんだ、だからそのクエストは受けるな、死んだ後の処理するこっちの身になれ」
と後ろから身長190はあるかという巨体の男が見下ろしてた
(何だこのオッさん……)
「あっギルドマスター‼︎」
「マスター⁉︎このオッさんが⁉︎」
思わず声が出てしまった
「おいガキ‼︎何だその態度‼︎」
ギルドマスターらしい大男は詰め寄る
「あの、マスターその方が入ったばかりなのにゴブリン狩りのクエストを受けると聞かなくて…………」
おいおいそんな言い方だと俺が悪いみたいな……いや俺が悪いのか
「ガキ、そんなに自信あるのならレベル幾つだ?」
「1だ」
瞬間ギルド内で爆笑が起きる
「ははっ‼︎あいつレベル1でゴブリン狩りだとよ‼︎死にてえのか?ははっ‼︎」
「おいガキ‼︎あんまり舐めてると俺らがやっちまうぞ‼︎」
「ヒャハハハハハハ‼︎身の程しらずもいいところだ」
あちこちで嘲笑の嵐が巻き起こるそこにマスターも加わる
「つーことだ、ガキ、今のお前だと本当に死ぬぞ」
とマスターが張り紙を奪おうと手を伸ばすーー
バチィ‼︎
功はその手を振り放す
「……試してみろよ、あんた自身でな……オッさん」
嘲笑の中、功は思いだしていた、毎朝クラスに入って起こる笑い声、これはその時と全く一緒何故異世界にきてまでこんな思いをしなければならないのだ
いや、一緒じゃない……今の俺には力がある……
「そんなに俺の力が信用出来ないなら自分で確かめろってんだよ、オッさん、聞こえるか?」
「ガキィ……いまテメエが言ってることの重大さが分かってねえのか?」
「ああ、わかってないな」
「これでもギルドマスターってのはよ冒険者時代にランクB以上じゃなけれりゃなれないんだぜ?」
「御託はいい、やらないのか?それとも怖気ついたか?」
ビキッ
何かの音がなる
「いいぜ、外に演習場がある……そこでやるぞ」
「ああ」
俺は素直に頷く
「ちょっ……まってくださいマスター‼︎それにアラガミさんも早く謝ってください‼︎今なら間に合います!」
受付の女の子が仲裁に入るが
「悪いな、ミュウちゃん何、調子に乗ってる新入りを懲らしめる程度だ、死ぬよりマシだろ」
「でも……」
「マスター‼︎やっちゃってくださいよ‼︎」
「ガキに冒険者は早ぇと教えてやってくださいよ!」
「ぶっ殺せー!」
野次馬の罵声が飛び交う
「おら、行くんだろオッさん」
「その減らず口黙らしてやらぁ」
2人はギルドを出て演習場へ向かう、野次馬達もそれについて行く
「はあっ……何でこんな……アラガミさんも何であんな強き……勝てる訳ないのに……」
「たく……ほんと男はバカばっかりねえミュウ?」
ミュウに話しかけているのは赤い髪をポニーテールにした女の子
「どうせあのアラガミとか言う奴の変な意地じゃないの?負けて少しは反省するでしょ」
「うん……そうだね」
功自身、本来こんな事をする性格ではない、しかし、
異世界にきてまで笑われるのが我慢ならなかった、今の功には力がある、それをどう使うかは功の勝手だ、
今まで散々苛められてきた功にとってはこの戦いが今までの自分との決別だと思っていた、もう弱い自分はいない、これからは……好きなように生きてくと
だが…………今この選択が遠い未来、もう後戻り出来ない選択を選んでしまったと知るのはもっと先の話しであるーーーーーー
次回、功のチートタイム
もう一つの神技披露です、因みに神技はこれからも増えていきます