神技 火愚即血(カグツチ)
4話目、初『神技』お披露目です
「ん…………この感じ……あの時と同じ」
あの時とは先程神様に転送された時である
「ここが本当に異世界か、周りを確かめて……」
まずは無事転送されたか確かめなければならない、いきなりモンスターの群れの中に転送何てことはないだろうが
「さて、先ずは人を探してこの世界のことを……」
ん?さっきから誰かに見られてるような
と、何かが動く音が聞こえる
「おい……いやまさかそんな」
功は最悪の考えが頭によぎる
そして悪い考えは総じて当たるものだ
「グルアァァァァァ‼︎‼︎‼︎」
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」
功の目の前に狼のようなモンスターが現れ、功に襲いかかる
「こんなことだろうと思ったよ‼︎あのクソ女神ぃぃぃぃぃぃ‼︎‼︎」
そして功は走り出す、どこだか分からない土地だが迷ってられない、止まったら食われるのだからーーーー
第4話
「はあっ……はあっ……‼︎」
かれこれ走り続けて数分、未だ功はモンスターと追いかけっこだ
(けど、思ったより速くない……逃げ切れるか?いや、先にこっちの体力が尽きるだろうな)
功は焦りながらも冷静になる、何とかこの状況を打開しなければならない
(けどどうする?この剣であいつと戦うか?……ダメだ勝てる気がしない)
先程この世界に転送されたばかりの功は今までの人生で剣を使って戦ったことなど勿論無い
(そうだ!魔法なら……‼︎)
希望が見えたと思いステータスを開き魔法の欄を見るが
【使用可能魔法】なし
虚しくも今現在功が使える魔法は一つも無かった
(くそっ!よくよく考えりゃまだ魔法使えないなんてすぐに分かったのに……)
「ガァァァァァァ‼︎‼︎‼︎」
「なっ⁉︎もうこんな近くに⁉︎」
功とモンスターの距離は約3メートルだった
目の前に現れた時は無我夢中で走っていた為10メートル位離れていたのでスピードは功に軍配が上がるがスタミナではモンスターの勝ちだ
(魔法も剣もダメなら……神技‼︎)
魔法欄の下にある神技に注目する、神技ならば今の功にも扱える
(よしっ‼︎こいつをあの犬野郎にぶちかませば……どうやって使うんだ?)
今更なことに頭を抱える功だが直ぐにステータスをいじり、神技の項目をタップする
【神技】火愚即血、草薙ノ剣
火愚即血
属性 火+光
掌から猛烈な豪炎を発射、使用者のイメージによりどんな形にも変化可能。
相手の血液を燃やし尽くしそれを糧にさらなる炎を生み出す。
追加効果で使用者自らの血を燃やすことで威力が格段にアップする。
(何か過ごそうな技だな……)
これならと意気込む功だが肝心の使い方が分からない
「こうなりゃ一か八かシンプルに技名叫んでみるか」
功は立ち止まりモンスターに向かって掌をかざす
モンスターは功が逃げるのを諦めたと思ったのか笑顔をつくり口を開ける
「その顔ごと燃やしてやるよ…………」
功は自分の右手に力を込める
「いくぞ…………」
誰に言うわけでもなくそう呟く
「神技…………火愚即血‼︎‼︎」
瞬間、功の掌かは炎が立ち上りそのままモンスターに襲いかかる
「ギャヴ⁉︎」
慌てるモンスターだが時すでに遅し、炎はモンスターの周りを取り囲む
「たしか、どんな形にも出来るんだよな……ならこれだ‼︎」
功は炎を槍の形にし無数に炎の槍を生成する
「死ね」
槍がモンスターにいっせいに飛び身体を突き刺し同時に燃やし尽くす
「ギャウァァァァァ‼︎」
断末魔の悲鳴をあげるモンスターだが炎は血を燃やしさらなる豪炎へと化ける
「ガ…………」
ピタリとモンスターの悲鳴が止む、数秒後、そこにモンスターの屍をも燃やし尽くす炎が揺らめいでいた
「…………なんつー威力だ、オーバーキルにも程がある……とんでもない力をくれたなあの神様は」