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何気なくつけたテレビでは、今からでも間に合うデートプランや女性が夢見るプロポーズのシチュエーションの特集が放送されていた。
夜景の見えるレストラン?
素敵なイルミネーション?
テレビに映る芸能人はキャーキャー騒ぎながら自分の妄想を語っている。それを叶えてくれるような男性に出会えたらどんなにいいか。くさい台詞だとか、ロマンチックなシチュエーションだとか、どっちもシロには似合わないだろうなと想像しては一人で笑いこけていた。そんなこと、あの犬は頼んだってやってくれない。
そうだ、おやつにケーキでも食べようかな。 クリスマスだしきっと星がちりばめられたようなキラキラ光る宝石たちがショーケースに並んでいるはずだ。まあその分値は張ってしまうけど、同じくらい思い出になる。それにこんな日に贅沢をしなきゃ、それこそ損だ。
さーてと。
身支度をしたし、戸締まりもした。出掛ける準備は万端だ。シロが出掛けているのが気がかりだけど、消息をたったかと思えば勝手に味噌汁を作りに来るぐらいだし、きっとあの犬は鍵を持っているはずだ。でも、少し心配だし早めに帰ってこようかな。