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私もシロにならってたくあんをパリポリしていると、ふと小さな疑問が頭に浮かんだ。
「そういえば、何で急に帰ってきたのよ」
それはシロを探し回っていた私からしたら、当然の謎である。というかこの約半年という期間、どこにいたのやら。
「別に」
さっきまでは少しばかりおしゃべりだったのに、もう可愛げのないお答えですか…。
「別にって……別にねぇ。…ふーん?」
「なんだよ」
「んー?べっつにー」
可愛くない返事に対する罰ですよ~。
私はご機嫌に、シロはどこか腑に落ちない顔をして朝食を終えた。
そして私たちはそれぞれ会社と学校に向かう。
駅までという短い間ではあるけれど、隣に人がいる事がこれ程までに幸福感をうみだすとは思わなかった。これはきっと一度手に入れたものをなくしたからこそのものなのだろう。
イルミネーションが施された並木道を私たちはただ歩く。
そういえば、もうすくクリスマスだった。すっかり忘れてしまっていたよ。
「ねえ、シロ?」
「ん?」
「クリスマス、なんだけど?」
だから何だ?とか、返ってくるのかな?この犬はイベント事にはあんまり興味ないみたいだし、パーティだとかそんな類のものは鼻から期待できないけれど、世間様がこれだけ盛り上がってるんだから少しぐらいは気にしていたりするんじゃないだろうか。
シロの返答に少しだけ心を揺らしていると
「冬休みだな」
……君の頭の中を見てみたいよ私は。




