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考える事ばかりを続けていると、食事も仕事も何をしていたのかすら忘れてしまう始末だった。
それでもきちんと最低限の事はこなせていたのだから、問題はない。日々の努力の成果とも言えるだろう。
だからといって、いつまでもダラダラと考え続け、結論を先延ばしにするわけにもいかなくなってきた。
「うーん」
腕を組み、悩んでます。そうアピールするみたいに唸ってみた。そんな事で結論は出てくれなかったけれど。
ああ、優柔不断な私が憎たらしい。さっさと結論ぐらい出せないのか!
そんな風に叱咤激励したいぐらい。
夕焼け色の街並みを通り過ぎて、月明かりに照らされた我が家に帰宅してしまった。
着いてしまったものは仕方が無い。今日は一人で待ちましょう。
玄関の鍵をがチャリと開けて、冷め切った我が家にただいまを言う。
仕事でぱんぱんになってしまったふくらはぎに、後少しだと鞭打ってリビングに足を進めた。
「ほんと、どうしようかなあ」
無音の室内で、小さくつぶやいた声は意外と響いた。
少し前まで占領されてしまっていたソファに腰をかけ、身体を預ける。
ふぅ。
小さなため息が漏れた。
ぴしっと着こなしていたスーツはボタンが外し、くしゃっと枯葉のようにソファに置き捨ててしまった。鞄も床に倒れたまま、なおす気力もない。もう疲れた。ご飯もいい。お風呂は……仕方がないから入ろう。
そしたら直ぐに、寝てしまおう。




