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ムカデの足のように無数に伸びた細道はどれも本当にそっくりで、間違い探しすら成り立たない。
あの日の道は何処の道か。
私がすべてを記憶しておける人間だったとしても、苦戦しかねない難問だ。
意識して入った訳でもない暗い裏路地。建物を避けるようにして生み出されたそれは、元来人の歩くために作られていないことを思わせる。
はぁ。
一つため息をついて深呼吸。
あの時の私がわかったんだ。今の私がわからないはずがない。だってどちらも、同じ私なのだから。そういって気を紛れさせて、焦りをなかった事にする。
わかっていたのだから、わからないはずがない。根拠のない理論を慰めにたくさん生み出した。
何本も、何本も、踏み入っては踵を返した。
違う。
違う。
違う。
焦燥が私の中でぐるぐると渦を巻く。
どこへ行っても、何も見ても。違う。
何が違うかなんてわからない。
何かが違うのだ。
ここじゃない。
そこじゃない。
あっちじゃない。
こっちじゃない。
もうすぐ道はなくなってしまう。
もう、すぐそこに出口が迫っていた。
よんでくださり、ありがとうございます。




