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あの憂鬱な夜。
あの時見た彼が本当にシロだったというのなら、もう一度あそこに行けば会える。そう、思ったんだ。
運がよければ今日、きっと会えるだろう。いや、今日中に絶対見つけ出すんだ。
街中が夕焼け色に染まる頃、私は繁華街へと足を運んだ。
繁華街は、あの日と変わらぬ風貌でそこにあった。
酒を浴びたサラリーマン。
煌々と街並みを浮きだたせるネオン。
目的を持ち得ない人の群れ。
鼓膜を突き破る音、音、音。
そこは現実逃避の塊で溢れかえっていた。いや、その街こそが現実逃避そのものだった。
私はあの時こんな場所で、何をしようとしてたのだろう。目を逸らし続けていても、そこにあるものは何一つ変わらないというのに。
でも、そんなことを思う暇もない。私は目的を持ってここにきた。明確なる目標を。
だからさっさと、シロを見つけてしまわねばならない。




