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"犬"を拾いました  作者: しおん
"犬"を拾いました
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梅雨というのはうっとおしいもので、私を憂鬱にさせる。


犬を拾って一週間。

拾った当初は暴れていた彼も最近は落ち着いてきて、本来生活していたであろう家に返すべきかと悩んでいる。


いつまでも私のうちにおいておく訳にもいかないので、半ば追い出す覚悟だってした。でも、帰宅早々睨まれてしまってはその覚悟も薄れるというもので、口からでた言葉といえば「ご飯作るね」という私達の日常の決まり文句だった。

ひ弱な私は今日も鳥肉。


社会人として自立してもう一年が過ぎ去っているはずなのだが、まだまだ慣れない仕事に、私は向いていないのではないかと一人憂鬱になってしまう時すらある。

今日もダメだった。と、うなだれて帰宅してみれば、慰めてくれるペットも恋人もおらず、ただただ敵意をむきだしてこちらを警戒している彼の痛いぐらいの視線が突き刺さるばかり。


拾ってあげたというのはなんともおこがましい事だけれども、彼が道端で行き倒れていたのは事実で、頼まれてはいないけど看病をしたのだから少しぐらいは感謝して欲しいと思う。


当初に比べればかすり傷や打撲やら、殴る蹴るしてできた傷跡はもうわからないぐらいに回復していて、双葉だった花を見事に咲かせた時のような達成感を最近は感じ始めている。この症状は、末期かもしれない。


傷が治ったのなら出て行って欲しいけれど、それを言い出す事のできない悪循環。

ため息をはきながらも、一方でこのままの生活も悪くないと思っているのは秘密だ。




読んでくださりありがとうございます。

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