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シロの荷物が転がっているリビングだけが、この家で唯一生活感があった。
今度こそ本当に出て行った。
気分転換のお出かけではなく、正真正銘の離別だ。
私は思っていた以上にシロとの生活が気に入っていたらしい。目からはとめどなく涙が溢れていた。このままじゃ干物になる日も近いかもしれない。ああ、なんでこんな事になってしまったのか。
悪いのは私だ。それは明確にわかってしまっている。
きっと、そんな事で。とか思ったにちがいない。そして気に食わなかったから殴った。それだけの事。それだけの事なんだ。
「ははは」
乾いた笑い声が、一人きりの部屋にこだました。後悔先に立たずとはよく言ったものだ。後悔は全て終わった後にしかできないのだから。
私が勝手に怒ったのだ、シロに当たる道理はない。
だけどもし過去に戻れるのなら、シロを拾う前に、彼に出会う前に戻りたい。
今はそう願うよ。
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