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その後シロはそそくさと出かける支度をした。
財布、携帯、財布、現金……。
あれ?お金の類を持ちすぎではなかろうか。気のせいかな…うん、気のせいだ。
しばらくしてシロが靴を履き始めたので、支度は終わったのだろう。私も戸締りをして家を出た。
「ねえシロ、いつもどこで髪を切ってるの?」
行きつけがあるのなら、そこに行くのが手っ取り早い。そうおもっての発言だったのだが、それは意味をなさなかった。
「知らない」
そんな一言で片付けてしまわれてはこっちも困るというもので、どこへ行こうかと思考を巡らせる。
ところで、シロが私のまえを歩いているというのに、どこへ向かおうとしていたのだろう。謎だ。
「じゃあ、私がいつも行ってるとこでいい?」
悩んだ末に出た結論がこれだ。
ファッションなんてものを気にしたことはないから、オススメのお店なんてものは私の知識の中には存在しない。元々選択肢が一つしかないものを思案していたのが馬鹿らしい。
コクリ。
シロの首が動いたのを確認して、私はシロの手を握った。この無気力さんは引っ張っていかないと絶対迷子になりやがるでしょう。きっと。
「こっち」
そうして私は駅の方へと足を運んだ。
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