私の騎士
私の騎士になりたいと、わずか十歳の子が家に来た。
Twitter企画
少年と女性 お題【相棒】
プライベッターの作品を加筆しました。
魔術師は国家資格である。しかし魔術師は才能によってなるもので、いくら魔術師になりたくともなれるものではない。そして、魔術師になりたくない場合でも魔術師の才能あるものは必ずならなければならないと決められていた。魔術師には騎士がパートナーとしてつく。理由として魔術師の人口が少なく、魔術師を失うことは国の過失となりえるからだ。そのため騎士が魔術師を守るのだ。
その騎士希望の少年がわずか十才で私の家に訪ねてきた。私はその話を聞いた時、間違いじゃないかと思ったものだ。十才、若すぎる。当時私は十八だったが、いたいけな少年を騎士として相棒にするのは良心が痛んだ。
「君、どうして私の騎士になりたいって思ったの」
「この屋敷のお姉ちゃんはいずれ魔術師になるんでしょ? 僕魔法使いたいんだ」
どうやら魔法に憧れた子どものようだ。魔術師は魔術でもって戦うが、騎士に魔力を譲渡し魔法騎士として戦うこともできるのだ。その話を聞いたのだろう。
「でもね、君。私の相棒は騎士じゃないとなれないんだよ」
「なるから待っててください!」
「そう簡単になれるものじゃないよ」
「なってみせるから、お姉ちゃんを守らせて!」
その時の私は不覚にもキュンときてしまったのだ。小さな騎士も悪くないと思った。だが、それ以上に話さなければならないことがある。
「気持ちは嬉しいんだけどね、お姉ちゃん実は魔法学園高等部落第しそうなんだ。だから無理かもしれない。ごめんね」
「は? 俺が魔術師になりたくてもなれないのに、何寝言言ってんの? 馬鹿なの?」
この時、立場は逆転したような気がする。確実に。ここからジェフくんはスパルタになった。無理だと諦めて勉強していなかった私の頭を木刀で叩き、勉強しろと凄まれた。ジェフくんの定期的な見張りもあり、私は勉強に勉強を重ねて高等部を卒業できた。
ジェフくんには私から騎士の推薦状を出して、騎士の訓練を受けに行ってもらった。彼とは定期的に連絡をとっていたのだが、大学に進んでからまともに連絡がとれなくなった。「戦場で実践つんでくるから、しばらく連絡とれない。お前はちゃんと勉強してろよ」という手紙を最後にもう三年もたっている。実践積みすぎでしょうが。私が大学卒業した時に騎士がいないってことになったらゆるさないんだからね! ちゃんと大学を卒業してやると意地になって、論文を書き上げていった。
卒業式がきた。もちろん私も卒業する側だ。卒業式では騎士に魔力を譲渡して真に騎士たりえるかの証明があり、最後に騎士と一緒に会場を退場するのだ。騎士と共にこれからも頑張っていきますと表すためにやるそうだ。しかし、ジェフくんとは相変わらず連絡が取れなかった。一応彼の実家に卒業式があるから出てほしいと手紙は出したのだけれど、彼は見てくれただろうか。ハラハラしていた時、騎士甲冑をつけた彼が来てくれた。久々に会う彼はぐんと背が伸びていた。凛々しくなっている。その成長が眩しい。
「大きくなったね」
「あぁ。そっちも老けたな」
「なんだって」
「嘘だって。美人になってびっくりした」
離れていた時間を埋めるように軽口をたたいた。儀式ではジェフくんが私の魔力を宿し、光をまとった剣をふるって周囲を湧かせた。彼は騒がれる容姿に育ったらしく、二人並んで退場する時も黄色い声があがった。ビクッとして空気にのまれかけた私の手を彼が引く。彼に繋がれた手の温もりに、相棒の心強さを感じた。卒業式はうまくいった。これからは私の騎士と二人、一緒だ。




