既成事実大作戦
薬屋に来る常連さんに恋した彼女の話。
Twitter企画参加作品
おっさんと少女 お題は【入れ替わり】
プライベッターに重複投稿しています。
リオンさんはうちの常連です。薬屋であるうちに、Aランクの取り扱いが難しい薬草を買いにきています。彼は魔術師で、薬師では調合できない高ランクの魔法薬を扱っているのです。そんな彼を接客しているうちに好きになってしまい、今や彼にまで気持ちがバレています。私、顔に出やすいみたいですね。
そして私は今リオンさんと二人っきりです。私はリオンさんの同僚であるナナルさんにもらった薬を二人の紅茶に入れました。飲んだら目眩がして、少しの間眠ってしまうそうです。私も彼も気づけば寝てしまいました。そして、目覚めると魔法薬の効果は出ていたのです。さすがです、ナナルさん! 私とリオンさんは入れ替わりました。
私がリオンさんを好きなことは本人にバレていますし、告白だってしました。ですが、リオンさんは二回りほど違う年齢を理由に相手にしてくれないのです。年齢なんて、どうにもできません。悩んでいた私にナナルさんが入れ替わりの魔法薬をくれました。そう、入れ替わって私から襲っちゃえばいいのです! そうと決まれば即実行。今日がきました。
無防備に寝ているリオンさんは可愛いです。元私なのですが、リオンさんだと知れば愛しくてたまりません。ソファーの隣に座り、リオンさんの服を脱がせていきます。狙うは既成事実ですからね。私の将来性も考えて断るということは、年齢以外に障害はないんじゃないかと思うんです。つまり、誠実な人ですから一晩それらしく過ごせば結婚までいけるでしょう。リオンさんの紅茶には睡眠薬も混ぜていますから、翌朝まで起きることはありません。この計画バッチリです!
「何がバッチリだ。全部筒抜けだぞ、この痴女」
「あ、あれっ。リオンさんどうして目が覚めたんですか」
「魔法薬を作るんだから薬の耐性はできてる。睡眠薬くらいなら効かないんだが……、これは想定外だったな」
彼は入れ替わっていることに戸惑っているようだった。手を眺め、ぎゅっぎゅっと握ったり開いたりを繰り返している。
「ふふふー。私の体はどうですか? ほらほら触ってみてくださいよ」
薬師のため美容には詳しい。その成果がこれだと、リオンさんの手を掴んで腕に触らせる。そしてその手を胸にもっていくと彼は動搖した。上から触らせるように力を込めると、リオンさんがおとなしくなった。
「入れ替わるのも悪くないでしょう?」
「そんなわけあるか、馬鹿! さっさと解毒剤をよこせ!」
「ごめんなさい、ちょっと今立てないです」
「……まさか」
「リオンさんとあれこれできるんだと思ったら、諸事情が。リオンさんの体、お若いですね」
えへっと笑って見せるものの、私の体に入っているリオンさんの表情は冷たい。氷点下だ。
「そうか。なら分かった。客室借りて結界をはっておく。そのうちに元に戻るといいな」
「そんなっ、リオンさーん!」
入れ替わりで既成事実大作戦、失敗です。敗因は薬の耐性ですね。次こそは嫁にもらってもらいます!




