嘘の日の弊害
素直になれない幼馴染の一年でもっとも可愛い日がきた。
エイプリルフールに書いた短編。
俺の幼馴染はおかしい。毎朝、家に来るんだが、いつも口が忙しい。
「おはよう! べ、別にあんたのこと起こしに来たんじゃないからね! あんたのこと嫌いなんだから! でも、おばさんに頼まれたから仕方なく来てるだけなんだから、そこのところ勘違いしないでね」
いや、これ起こしに来てくれてるんだよな? 口ではいろいろ言っているが、可愛い幼なじみである。
そんな彼女がエイプリルフールだけは変わる。
「おはよう! エイプリルフールよ! 起こしに来たわ! その、……大好き」
エイプリルフールだから素直になって、やたら可愛い。バレてないと思ってるが、もうバレバレだ。俺は一年でこのエイプリルフールが一番好きだ。素直になれない彼女が一番可愛い日。
「エイプリルフールだから言うけど、……ずっと好きだったの」
嘘の日を利用して告白する可愛い彼女を、今年こそは捕まえてもいいだろうか。彼女をそっと抱きしめて、胸の内を打ち明けた。
「俺も好き」
「酷い! バーカバーカ!」
正直に告白しただけなのに、幼なじみに泣かれた。彼女が部屋から飛び出すのを呆気にとられて見送る。そして気づいた。今日ってエイプリルフールだよな。まさか、勘違いされたんじゃ……。
結論、嘘の日に告白するもんじゃありません。誤解を解こうと話しかけるものの、俺が話しかけるたび涙目になって、未だに信じてくれません。負けるな俺。頑張れ俺。
その後、朝一で告白するために早起きすれば「私が起こすの迷惑だったんだ!」とショックを受けられ、放課後呼び出せば決闘と勘違いされた。しかもいくら好きだと言っても、「もうエイプリルフールは終わりでしょ!?」と泣かれる始末。それからやっとの思いで彼女の誕生日に告白した。ようやく、彼氏と彼女になったのだ。それでも彼女は素直になりきれない。来年のエイプリルフールの反動が怖いなと思いつつ、こっそり俺を見つめる彼女の視線を察して、手をつないだ。




