表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興短編集  作者: 花ゆき
64/117

笑顔の作り方

いつものように作り笑顔で笑っていたら、「おっまえ、笑顔下手くそだな」と言われた。


『卑屈』と『音』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://shindanmaker.com/244907

 いつから卑屈になったのだろうか。よく出来る姉と比べられたくない一心で、姉のやっていないものを選んだ。部活に励んでいる時だけ煩わしい音が遮断され、静寂を感じた。


「お姉さんすごいね」

「自慢のお姉ちゃんなんだよ」


 私は歪んだ笑みで、いつもの言葉を言う。何度このやりとりをしただろうか。もう、笑うことさえ苦痛になっていた。



「おっまえ、笑顔下手くそだな」


 いつもの言葉を言った後に、知らない人に絡まれた。ネクタイの色から三年生だろう。失礼な人だな。思わずイラッとして睨んでしまう。すると、彼はおもしろいものを見つけたかのように笑った。


「失礼じゃないですか」

「天才の妹とお近づきになれるチャンスだって、浮かれてるヤツらには分からないだろうが」


 話を途中で切った彼は威圧感たっぷりに笑う。その迫力に気圧された。ほらみろとばかりに彼は鼻を鳴らす。


「印象をよくする笑顔もあるし、今みたいな笑顔もあるだろ? 笑顔一つで先手がとれるんだ。だから笑顔って大事ってわけだ。分かったか、下手くそ」


 急にほっぺたを摘まれ、ぐるぐるとこねられる。人にここまで接触を許したことがないので、イラッとした。手を振り払おうとした時、彼は遠い目をして小さく零す。


「俺もよくできた弟がいるわけ。だから、なんか放っておけなくてな。俺がお前に笑顔教えてやるよ」


 そう言って笑った彼の笑顔が眩しくて、彼を信じようと思った。




 それから、私の笑顔講習は始まった。鏡を見ながら笑顔の練習。顔をほぐしたり、口角の角度を計算したりした。すると私のぎこちない笑顔が、次第に笑顔の可愛い子と言われるようになる。それは隣にいる彼のおかげだろう。感謝している。私の視線に気づいた彼は輝かんばかりの笑顔で笑い、私もつられて笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ