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僕の唇は君に封じられた
今日の書き出し/締めの一文 【 僕の唇は君に封じられた 】 http://shindanmaker.com/231854
騎士の家系に生まれた僕と、そんな僕が想う彼女との話。
僕の唇は君に封じられた。彼女の人差し指が、ちょんと僕の唇に触れている。僕は先ほど伝えようとした想いを飲み込むしかなかった。彼女の目が切なそうに揺らぐ。
「私は王都に行かなきゃいけない。だから、あなたは剣で追ってきて」
僕は頷いた。それしか彼女の近くにいく術はなかったからだ。騎士の家系の生まれであることを、感謝する。腰に下げている剣は父から誕生祝いにもらったもので、今やしっくり手に馴染んでいる。
「この剣に誓うよ」
「待ってる」
彼女は階段を登って、珍しく僕を見下ろした。
「私もあなたに誓うわ」
彼女は泣きそうな表情をして、僕に顔を近づけていく。唇に柔らかい感触がした。 彼女の柔らかさ、香り、全てを脳裏に刻む。
王都に行ってしまえば、もう気安く触れられない人になってしまう。彼女は王子の婚約者候補に選ばれたのだから。そんな障害があっても、想いは消えなかった。だから、地位を手に入れてみせる。待っていて。
彼女の隣に行けない自分を悔やみ、彼女の背を見送った。




