甘やかせる権利
貴方は『甘やかせる権利』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517
「いざ、尋常に勝負!」 甘いものの名前を上げていく彼女と、それを受け流す彼。二人はなんの勝負をしているのか。
「いざ、尋常に勝負!」
「おう」
「クッキー!」
彼は腕を組んで、難しい顔をしたままだ。それならばと、二つ続けてみた。
「クッキー、プリン!」
彼はまだ難しい顔をしている。素直になればいいものを。それでは三つならどうだろう。
「クッキー、プリン、トリュフ」
ちらっとこちらを見て、彼は腕を組み直した。動揺があらわれた。足元が崩れてきたというところかな。ならばこれでどうだ。
「クッキー、プリン、トリュフ、ケーキ!」
彼が腕を組むのをやめた。じっと私を見ている。その目を見つめて、駄目押しする。
「クッキー、プリン、トリュフ、ケーキ、ケーキバイキング」
彼が椅子から立った。無表情だけれども、彼が纏う空気は軽い。
「甘いもの食べたいなら素直に言えばいいじゃない。お姉さんが甘やかしてあげるよ」
「だから嫌だったんだ」
「ん? 大の甘党が何言ってんのよ」
「そうやって、姉貴面するところ」
「今のところは甘やかされてなさい。お礼は出世払いでいいわよ」
とうに私の身長をこした彼の頭を無理やり、くしゃっとなでる。きっと彼のことだから、引け目を感じているに違いない。
「じゃ、そうされておく。今は」
そう言って不敵に笑う彼に、楽しみにしてると笑い返した。大人びた彼にいつか逆転されそうだなと、未来に思いを馳せる。今は甘やかせる権利を存分に実行しますか。




