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即興短編集  作者: 花ゆき
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年上の彼と私

「早朝の水族館」で登場人物が「約束する」、「かかと」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927


年上の彼とのデートに一喜一憂する彼女の話。

  早朝の水族館、入り口のイベント表を見て、ペンギンショーがあるのを確認する。私は期待に胸を膨らませながら彼に電話した。


「今日のデート、水族館でもいい? ペンギンショーがあるの!」


 興奮している私に、彼は分かった分かったと今日のデートは水族館にしてくれた。


「約束だからね!」


 そう言って電話を切る。今日約束しているデートが楽しくなればいいなと思いつつ、支度のために家に帰った。


 いよいよ、デートの時間になる。彼が来ない。携帯を確認したが、メールも着信履歴もなかった。


 結果として、彼は遅れて来た。何でも出かけようとした時に、仕事の電話がかかったらしい。そう言われたら、学生の私は押し黙るしかない。だって、せっかくの休みにデートしてもらってるのに遅刻しないでよなんて、言えない。私のために空けてもらった予定だから、わがままと思われたくない。


 少しでも大人っぽく見えるように、かかとの高い靴をはいて、大人っぽい服を着てきたんだけどな。こういう時に、歳の差を見せつけられて嫌だ。私がすごくわがままに思える。


「ごめんな、待たせて」

「別に」

「口、尖ってる。すねてる時のお前の癖」


 彼は仕方ないなという風に軽く笑った。思わず口を手のひらで隠して、彼の靴を蹴飛ばす。


「分かった分かった。今日1日で機嫌直してくれればいいから」


 彼の手に引かれて、水族館に入場した。これじゃ私、本当に子どもみたい。


「今日の服、可愛い」


 ボソッと呟かれた言葉で気持ちが軽くなった。やっぱり私は単純だ。繋いだ手に力を入れる。


「直くん、大好き」

「知ってるよ」


 彼が優しい声で、暖かい目で見てくれていた。思わず胸がいっぱいになって、繋いだ手を離して彼の腕に抱きついた。


「ペンギンショー、楽しみだね」

「そうだな。愛美がどれだけはしゃぐか楽しみだ」

「えぇっ」

「ほら、行くぞ」


 そうやって、仕方ないなって苦笑した声も好きだ。私は「はぁーい」と頷いて、今日が楽しくなりますようにと願った。

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