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即興短編集  作者: 花ゆき
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栄子係

【栄子係】

めんどくさい能力持ちの生徒が通う学校の話。陽太は栄子係と呼ばれ、授業中でも他のクラスに呼び出される。


お題:あいつの爆発

「おーい、栄子係。仕事だぞー」

「見ざる聞かざる話さざる」


 あぁ、嫌な幻聴が聞こえたようだ。すぐさま耳を塞いだが、それをヤツは目ざとく見つけた。


「聞こえてるじゃねぇか。なぁ、頼むよ」

「俺はあいつが爆発してようが関係ない」

「いや、でもこのままだと教室がグチャグチャなんだけど」


 こいつ、俺の良心に語りかけてくるとはなかなかやるな。


「だが断る!」

「日替わりA定食をつける」

「さぁ行こうか」


 日替わりA定食はデザート付きのリッチな定食だ。人助けは大事って言うしな。うん、俺って優しい。


「優しい人は物に釣られないぞ」


 何か聞こえるが無視だな。現場に向かおう。




 現場ではすごいことになっていた。肉塊が飛び散り、教室がむごたらしいことになっている。クラスメートは時間が停止した者、震えているもの、逃げ出した者と様々だ。教師は南無阿弥陀仏を唱えたまま教壇に隠れている。仕事しろ。


 俺はすっかり覚えてしまった栄子の席に行く。彼女の席には肉塊の残骸しかない。あれほど、爆発しそうになったら早く言えと言ったのに。携帯している果物ナイフで親指を切りつけ、血を彼女の椅子に垂らす。すると肉塊は血を吸って、周りに飛び散った肉塊を引き寄せる。その肉塊は一つに固まり、一人の少女が現れた。ヘラヘラと笑っている。


「いやー、すまんね。もう一日もつと思ってたんだけど」

「過信するな。こちらが迷惑だ」

「ごめんごめん」


 軽い。軽すぎる。こいつは授業中、他のクラスに呼び出された俺の気持ちを考えたことはあるのか。しかも毎回スプラッタな場面ばかり見て、すっかりスプラッタなものに耐性が出来てしまった。


「いやー、毎回陽太くんの“再生力”には助けられてる。ありがと」

「俺は貧血になりそうだっての。“分裂力”、早く制御できるようになってくれ」

「あはは、できたらとっくにしてるよー」


 それはめんどくさい能力持ちの生徒が通う学校の話。

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