表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興短編集  作者: 花ゆき
103/117

告白の練習

告白の練習をしていたら、好きな彼女に見られてしまった。思わず彼は忘れてくれと口にするが――。


書き出し「お願いだから、今見た事は忘れてもらえないかな」

書き出し.meに重複投稿しています。

「お願いだから、今見た事は忘れてもらえないかな」


 忘れてほしい。彼女に告白するための練習を見られてしまった、だなんて。なんてかっこ悪いんだろう。もう僕の気持ちはバレてしまっただろう。告白の練習が告白になってしまうだなんて、誰が予想しただろうか。彼女が口を開いて振られてしまうと思った時には、さっきのように声に出していた。彼女が話す前にこうやって自衛してしまうから、今までも彼女に告白できなかったんだ。僕は臆病者で、卑怯だ。


 なかったことになんて、できるはずがない。彼女は僕の気持ちを知ってしまったのだから。それを忘れてと言いながら、意識してほしいと思っていた。


 僕が恐る恐る顔を上げると、彼女はまだ僕の前にいた。返事なんてほしくなかった。好きだから、恋を終わらされてしまうことが怖かったのだ。


「あのさ、忘れるなんてできないよ。だって、弥市くん一生懸命だったから」


 彼女の忘れられない人になったのだろうか。嬉しいと感じる自分がいた。


「でも、どうして自分から振られるって決めつけちゃうの? 私の気持ちは無視?」

「ごめん……、でも」


 そこで、彼女の比較的冷たい手が僕の頬を包んだ。彼女の強い視線にひきつけられた。僕は彼女の芯の強さが好きなんだ。そう再認識した。よくよく見ると、彼女はどこか怒っているようだった。


「許さない。忘れないから。さっき、振り向きざまに告白した方がいいかなって練習してたことも、ただ、好きだって言ってたことも」

「本当に忘れてくれないかな」


 彼女の口から言われると、恥ずかしすぎて穴があったら入りたいと思った。彼女はそんな僕の頬をつねる。


「私はね、ただ好きだって言ってくれるだけで嬉しいな」


 彼女の頬が夕焼けと同じ色に染まる。彼女の気持ちが分かったような気がする。これが、自惚れでなければいい。


「好きだ」


 彼女は目を細めて、輝かしく笑った。そして彼女が背中に手を回して抱きついてきた。


「私も好き」


 その声に、ようやく彼女の背へ手を回した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ