表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
即興短編集  作者: 花ゆき
101/117

乙姫、浦島太郎をつかまえる

乙姫は優しい男性と結婚したいと考えた。彼女はいじめられている亀を助けるような優しい人と結婚しようと決めた。

 乙姫は夢見がちだった。将来結婚するなら優しい人がいいと考えた。そうだ、それならいじめられている亀を助ける優しい青年と結婚すればいいのではないか。彼女は名案だと思った。


 早速亀を陸にやった。予想通り、亀はいじめられた。しかし、なかなか亀を助けようとするものがいない。それが成功したのは、もう三年にもなる時だった。乙姫は亀にすぐさま助けた男を連れてくるように言った。乙姫は年も重ねてしまい、男を手に入れるには厳しいと焦っていたからだ。


 連れてきた男は浦島太郎と言った。いかにもお人好しな青年で、乙姫の好みど真ん中だった。彼女は浦島太郎の前で精一杯のしなをつくり、もてなした。彼はそんな彼女に好感をもった。人助けをして何も見返りは求めなかった彼だが、彼女はほしいと思うようになったのだ。そして宴会の後、二人は盛り上がった。海の閉鎖された空間の中で、それはそれは暑苦しいカップルになったのだ。


 浦島太郎が竜宮城の暮らしに慣れた頃、彼は地上の父母が気になっていた。少し見に行くだけだからと乙姫を説得して、彼は地上に戻る。困ったことがあれば開けてくださいと彼女から玉手箱を渡された。


 彼が地上に戻ると、不在の間の変化に驚いた。なんと、テレビが地デジの時代になっていたのだ。


 家に戻れば父と母が少し老けていた。二人はテレビを囲んで困ったような顔をしている。浦島太郎を見るなり、助かったと顔を上げ、彼に「地デジアンテナの付け方が分からない。つけてくれ」と頼んだ。海にいた浦島太郎はさっぱり分からない。そうだ、行きしなに渡された玉手箱を開ければ時間が戻るのではないだろうか。


 彼が箱を開けると、白い煙から誰かが出てきた。お腹がふっくらとした乙姫だ。また、彼の止まっていた時が進み、少し年を重ねた。彼女は待っていましたと浦島太郎の腕を取る。


「お父様とお母様にご挨拶に行きましょう」


 なんと、乙姫のお腹には浦島太郎との子がいたのだ。まさかと思った。しかし、あの海底の日々はそれはそれは甘いものだった。どう考えても自分が原因だ。時は戻らない。彼はいつか乙姫を会わせるつもりだったからいいかと割り切った。


 乙姫はこうしてちゃっかり浦島太郎を捕まえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ