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即興短編集  作者: 花ゆき
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弁当の悲劇

【弁当の悲劇】

その母、起床は寺の修行僧のように早い。大食らいの旦那と息子たちのために、大きな弁当箱に具をつめていく。母は弁当を見て、会心の笑みを浮かべた。さて、今回の弁当の出来を旦那や息子の反応でおっていこう。


お題:遅すぎた母 必須要素:バラン

 その母、起床は寺の修行僧のように早い。大食らいの旦那と息子のために、大きな弁当箱に具をつめていく。母は弁当を見て、会心の笑みを浮かべた。さて、今回の弁当の出来を旦那や息子の反応でおっていこう。




【旦那の場合】


「おっ、課長今日も愛妻弁当ですね~! いいなぁ!」

「いいだろう。弁当も彼女の工夫があってだな……」


 彼が弁当を開けると、海苔しか見えなかった。部下が気まずそうに沈黙する。


「えっと……、ミネラル分がとれていいですよね」

「はは、違う違う。この海苔の下に具があるんだ」


 彼が海苔をめくると、下から唐揚げや卵巻きやミートボールが出てきた。そしてその下には、ミートボールのタレが染みついた白米が出てきた。


「あの……、なんで白米と具を別にしないんスかね?」

「本人曰く、『ひーくん、毎日宝箱みたいでおもしろいでしょう?』だそうだ。あんな無垢な目で見られたら、何も言えなくなる。例え、白米だけの味が食べたくなったとしても、毎回味付き飯さ」


 ミートボールのタレにまみれた白米をかきこむ、彼の背中が切ない。


「というか、課長ひーくんって呼ばれてるんスね」

「誰にも言うなよ」

「はーい、広めておきますね!」

「話を聞いていたか」





【息子の場合】


 昼休み、お腹が空いた彼は期待を胸に弁当箱を開けた。瞬間、笑顔のまま固まって、弁当を閉じた。


「弁当食べねぇの? 見せてみろよ」


 彼の友人が隣から弁当箱を開けようとしてきた。思わず隠そうと抵抗したが、それも虚しく弁当箱は開けられてしまった。そして、身をよじるように大きく笑い出す。


「おま、これ、草不可避っ……! 大草原じゃねぇか」


 ひーっ、ひーっと痙攣したように笑い転げている。彼は当人なだけに笑えなかった。そう、彼は思い出したのだ。昨日の母との会話を。



『ねえねえ、このwって何?』

『あぁ、これはネットでは笑いの度合い表す記号みたいなもんだよ。wが沢山だと大笑いみたいな感じ』

『あらあら、おもしろいわね』



 明らかにこれが原因だろう。どうして母は今頃ハマったんだ。バランにまみれた弁当を見て、どう食べようかと途方にくれる。箸で探ると、唐揚げが出てきた。ダンジョンじゃあるまいし……。結局、弁当の具を発掘しながら、食べていった。友人は未だに笑い転げている。弁当箱を見ると、再発するらしい。ずっと笑ってろ!


 弁当箱によけていくバランが山積みになっていった。

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