セレス魔道具作成します!
現在迷宮の21階を探索中、21階にはヘルハウンドが数多く発生している。
「妙ですね。」
「なにがですかメリッサさん?」
「21階を騎士団が掃討してからそんなに日は経っていないはずですが。」
確かにヘルハウンドの数は多い、でも元々の状況を知らない私にはよくわからない。
「気をつけながら探索を行いましょうセレス様。」
「あの、そのセレス様ってやめませんか?」
「なぜですか?」
「いや、なんか呼ばれ慣れてなくて恥ずかしいっていうか。」
「では慣れて頂きませんと。」
「慣れる?」
「はい、何れセレス様は有名人になりますから。」
「ふぇぇ!!ないない、絶対ないですよ。」
メリッサさんは私の反応を見て笑ってる、そんな日こないと思うけどな、ていうか来ないで。
ヘルハウンドを10体倒した時淡く光る石が落ちていた!
「なんだろ?」
「お!魔力石じゃねえか。」
「これが?以前ナツがくれた物とは違うんだね。」
「ああ、あれは加工してあったからな。」
「そういえば魔術ギルドのあの研究者に魔力石を頼まれてたよな?」
「そうだった!これ持っていかないとね。」
忘れてたのかとナツが笑う、私は恥ずかしくなってプイっと横を向いた。
「何をイチャついてるニャ!」
「イチャついてなんてないよ!」
「男は大概獣です、セレス様はもっと気おつけた方が宜しいかと。」
「誰が獣だ!」
騒がしく迷宮を移動する、前方に複数の人が佇んでいる。
「何かあったんですか?」
「・・・・・・女神。」
私を見ながらぼ~っとして何か呟いた、今女神って言わなかった?
「あの。」
「あ、済みません、何か用ですか?」
「えと、こんな所で佇んでどうしたのかと。」
「ああ、いえこの先ヘルハウンドが多くうろついていて。」
「どの位の数なんですか?」
「俺達が見た限りでは10~15はいると。」
「確かに多いな。」
ナツが神妙に肯く。
「どうするか。」
「俺達と合同でヘルハウンドを狩らないか?」
冒険者の人が提案する、私達はその提案を受け作戦に移る。
作戦は簡単、この先の通路には此処以外からも行けるので私達はそちら側から敵を殲滅していく。
最初に私が魔術を使い敵を攻撃して合図を送る、その後両者で挟み撃ちを掛ける。
配置に付きいざ作戦開始!
私は風の上位魔術『稲妻』を詠唱する。
稲妻が敵を焼き焦がし直撃を避けた敵も伝導により体が麻痺した!
そこを一斉に攻撃、瞬く間にヘルハウンドを殲滅した。
「凄い威力の魔術です!」「・・・・・女神。」「握手してください!」「お、俺も!」
「ははは。」
何だか凄い反応、ナツ達も微妙な顔をしている
ヘルハウンドの死体が迷宮に消えた後、床には魔力石がいくつか落ちていた
冒険者の方は受け取れないと拒んだが一緒に倒した訳なので強引に半分個で納得してもらう。
迷宮から家に帰り楽しく夕食!
皆気分が良かったのでお酒を飲む・・・
翌朝・・・
私はぼ~っとする頭で布団の中をもぞもぞと動く。
ふと隣に誰かいる気配が、またミアかなと布団を剥ぐと・・
『メ、メリッサさん!!!』
メリッサさんが何で私の布団の中に!
驚いているとメリッサさんがもぞもぞと起き出した。
「おはようございます。」
「お、おはようございます。」
「なんでメリッサさんが私の布団の中に?」
「忘れてしまったんですか?」
忘れる?忘れるって何を?
「昨日はとっても素敵でした、まさかあんなに激しく求められるとは・・」
メリッサさんが普段は見せない顔で色っぽく微笑む。
「私は部屋に戻りますので。」
「え、あの、昨日の私は何を…」
優しく微笑みながら部屋を出て行ってしまった。
私は頭を抱えてベットで悶えるとこれは夢かもしれないと現実逃避して再び寝た。
ーー ダイニング ーー
今日はセレスが起きてこないので皆で朝食を準備中。
「ちょっとミアさん、キッチンで暴れないでください!」
「暴れてニャいニャ!」
女子二人が喧嘩しながら朝食を作りナツは食器を並べる。
「はぁ。」
女子三人に男一人・・肩身が狭いぜ、周りから見たらハーレムだと怒られそうだが。
「ミアさんその魚焼きすぎじゃありませんか?」
「これくらいが丁度いいの。」
女子二人の声を聞きながら昨日セレスの酒を止めておけばと後悔していた。
ヘルハウンドを倒し家に帰るとセレスが夕食を作りながら今日はちょっと豪華にしますと張り切った。
俺としても飯が豪華になるのに異論があるはずもなくちょっと豪華になった夕食に会話も弾んだ。
俺とメリッサが酒を飲みだしそれを見ていたミアがセレスもと酒を飲みだしまぁ、たとえ酔っても此処ならいいかと思っていた。
「さぁセレス様もっと飲みましょう。」
「ニャハハハ、もっと飲んで食べて騒ぐのニャ!」
女子二人に感化されてセレスも酒を飲み、みるみる態度が変わりだした。
「ミア~メリッサ~♪」
「擽ったいニャ!」「セレス様大胆です!」
セレスが二人の体を触りながら頬に擦り寄る。エルフ独特の耳がピクピク動く。
俺はそんな三人を見ながら生殺しだと酒に酔う事もできず夕食の焼き鳥を食べていた。
ーー セレス ーー
起きると日がもうだいぶ昇っている。
お昼くらいかな?
ネグリジエを脱ぎ捨てて着替える。
下に降りるとナツが疲れた顔でソファーに寄りかかっていた。
「どうしたのナツ?お腹空いた?」
「それもあるが、色々とな。」
ナツの言いたい事はよくわからなかったがお腹が空いていると言っているのでそのせいだろう。
「メリッサさんとミアは?」
「ああ、二人とも出かけたぜ。」
私とナツは二人で昼食を食べる。
「二人だけって久々だね」
「そうだな、そんなに前でもないはずなのに懐かしいな。」
私達は初めて会った時の事など思い出話に花を咲かせた。
その後は予定のないナツを連れて魔術ギルドに顔を出す。
「ミナツキさん、魔石を持って来ました!」
「おお!ありがとうセレス君!」
ミナツキさんは先日の魔術書の復元をしていた。
「文字は君に読んでもらえばいいが破損が酷くてね。」
「どうぞ。」
「これで魔道具を動かせる。」
「例の聖魔術の適正を測る魔道具ですね。」
「といっても君が聖魔術を使えたから今となっては微妙だけどね。」
さっそく魔道具の効果を確かめる。
「この輝いてるのが聖魔術の適正ですか?」
「そのとうりだ、実験は成功のようだね。」
私は魔道具をみながら以前にもこんなのを見たなと思い出していた。
「ミナツキさんこれに似た物で魔術の適性を測った事があるんですが。」
「うん、これは既存の魔術適正を測る魔道具を元にしているからね。」
「私はその時風属性が相性が良いって出たんだ。」
「風属性・・・ちょっと待って!」
ミナツキさんが急いで部屋を出る。
「どうしたんだ?」
「さぁ?」
帰ってくると手には見た事のある水晶をもっている。
「もう一回これで測ってみてくれ!」
「わかりました。」
以前見た物と同じ風と何かが混じったような物が水晶の中に移る。
「・・・・・」
「これがなんか問題あるのか?」
「普通得意な属性は一つだけであり二つの得意属性を持ってるなんて聞いた事がない。」
「それはセレスが聖魔術を使える事と関係があるのか?」
「現時点ではわからないがその可能性は大いに有るだろうね。」
私とナツは顔を見合わせ、ミナツキさんは興奮してブツブツと呟き頭を掻きむしっていた。
家に帰り夕食を食べながら今日あった事を話した。
ミアはよくわかってないみたいだけどメリッサさんは何か考え込んでいた。
夜寝付けなくて外に出る、ここら辺は騎士団の近くで周りに民家もないから人目を気にしなくていい。
月を見ていた、唯一残ってる記憶にある月と同じ。
「何物思いに耽ってるんだ。」
「ナツ。」
私は声のした方を見る、ナツは優しい微笑みをしてる。
「別にちょっと眠れなくて。」
「・・・・・」
二人でただ空を見た、星が輝き綺麗。ふと隣を見るとナツが真剣な顔でこっちを見てる。
「どうしたのナツ?」
「・・・・・」
ナツが無言で顔を近づける。
『んっっ!?んんっ………』
ナツがいきなり口を口で塞ぐ!
『ちゅ……ふぁ…んっ…』
ナツの舌が差し込まれ私の口内を舐めまわす・・
どれくらいされていたのか、ナツの顔が離れる。
「ナツ…」
「俺はセレスの過去が何であってもずっと一緒にいるから。」
男にキスされるなんて嫌だった筈なのにそれほど不快じゃない。
ナツが私の腰と頭に手を回す、私はそっと目を閉じた。




