セレス達の休日!
何だか息苦しい。
何かが体を這いずりまわってる。
私はまだ眠気の残る目を無理やり開けて周囲を見る。
「セレス~♪」
ミアが抱きついて胸を以下略。
「ミーアー!!!」
「ニャ!」
「ニャじゃない、何回いっても夜な夜な部屋に侵入してくるんだから。」
ミアは部屋に鍵を掛けていても何故か入ってくる、泥棒か!
「セレス柔らかくて良い匂いニャ~♪」
私は諦めてミアのネコ耳を思う存分触りまくった。
一階に降り朝食の準備、朝は夕食の残りを使って作るので結構楽だ。
卵にハムそれとサラダとパン、後は昨日のスープを付ければ完成!
並べ終わるとメリッサさんとミアが下りてくる。
ミアは私の手伝いをしてくれるけど摘み食いはするし皿は割るしでやんわりと追い出した。
後はナツだけね、起こしに行こうかな、昨日は遅くまで起きていたようだし。
「ナツ~朝ですよ~起きて~!」
私がドアを叩きながら声を掛けると眠そうな顔のナツが顔を出した。
「ご飯できてるから起きて下に来てね。」
「おう。」
ナツが下りてきたので皆で朝食を食べます、今日は休みの予定なので各々何をするか話ます。
「俺はどうすっかな、剣の鍛錬でもするかな。」
「ミアはセレスと一緒にいるニャ!」
「私は騎士団に顔を出してきます。」
「メリッサさん大変ですよね、騎士団と私達との兼任なんて。」
「いえ、私も皆さんとの生活は楽しいですから苦ではありません。」
そういってもらえると嬉しい!
「セレス様はどうするのですか?」
「どうしようかな、ナツの鍛錬に付き合ってもいい?」
「おう、いいぜ!」
「ニャらミアも一緒!」
こんな感じに楽しく食べて各々の時間を過ごす。
『 はぁぁぁああああ!!! 』
「オっとこんなもんか?」
ナツの余裕な顔がイラっとする。
「うらぁぁぁ!」
ナツの剣は重い!斬るというより叩きつける感じ。
「はっ」
振り抜く分一度避けてしまえば隙が多い、でも一撃一撃が凄い威圧感で時々ヒヤっとする。
「ぐは!」
私の木剣がナツの脇腹にあたる。
「うらぁぁぁぁ!」
構わず斬りつけてくる!
「くっ、いったぁぁ!」
「へへへ。」
ナツのニヤけ顔を黙らせようとお互い本気で打ち込み続ける。
1時間程で先に私がギブアップ、た・・体力バカ。
「はぁはぁ、俺の勝ちだな。」
「はぁはぁ・・はぁ・・・勝てると思ったのに。」
「セレスお姉様の方が勝ってたニャ!まともに攻撃もらってニャいニャ。」
「はぁはぁ、お姉様って。」
「お姉様はお姉様ニャ、異論は認めないニャ!」
ミアの中で私ってどういう位置づけなんだろ。
「こんニャに汗を掻いて、ミアと一緒にお風呂に入るの!」
ミアと一緒にお風呂に入るとやたらと体を密着させてくる、私だけ体を触られるのは癪なので思う存分ミアの体を堪能した。混浴もいいなっと思いながらダイニングに入るとナツがモジモジしてる、なんで?
お昼を3人で食べてミアと街をブラブラする。
ナツが心配してたがミアと一緒なら大丈夫と外出。
今は夏に入り街の中は熱気でモアモアする。偶に吹く風のおかげで幾らかはマシになる。
隣を見るとミアはダルそうだ、ミアにはこの暑さは厳しいようだ。
食材を買って早めに帰る事にした。
深夜またしてもミアがベットに侵入、もう怒る気力もなくなったのでミアを抱き枕に就寝。
次の日ミアが異常に興奮してた、夜何かされたのか?・・・
今私達のPTは迷宮20階層まで到達。
20階には『飛龍』が時折出現する、会いたくないと考えていると通路の先、大きく広がった部屋の中に飛龍が2匹此方を威嚇しながら睨みつけている。
私達は意を決して部屋に飛び込む!
飛龍は狭い迷宮の中を器用に飛び回り獰猛な爪で襲いかかる。
私は横に跳び爪をかわす、まともに受けたら爪で串刺しにされていた。
ナツとミアが2匹を分断してメリッサさんと私でミアが引きつけている飛龍に攻撃を加える!
メリッサさんの武器は鞭に刃物が付いたもの、とりあえず鞭剣と命名!
鞭剣のリーチかかなり広く迷宮の中なら飛んでる飛龍にも当てられる。
飛龍の翼を狙い撓る鞭で叩き斬る、私も風の魔術で飛龍の翼を狙い態勢を崩させる。
地面に落ちてきた所をミアが槍で刺し貫く!
1体目の飛龍を倒す事に成功、この間もう一匹の飛龍を相手にしていたナツの肩に爪が掠める!
急いでナツを援護する、私はナツに光の加護を詠唱した。
刀身が淡く光を放つ、メリッサの鞭で態勢を崩した飛龍をナツが上段から一気に剣を振り下ろす!!
光の加護で強化された剣は飛龍を紙のようにあっさりと両断した。
なんとか2匹の飛龍を倒す事に成功する。
私は光の加護でかなり魔力を消費して何かが失われるような感覚にフラッとした。
「おい、大丈夫か?」
「うん、平気ちょっとフラっとしただけだから。」
私達はしばらく飛龍の居た部屋で休む事にした、飛龍は貴重な素材として高く売れるらしくミアが嬉しそうに素材を回収して喜んでいた。
私が覚えた聖魔術、『隔離』でアイテムを別の空間に収納する。
たいして魔力も使わずアイテムを空間に入れて持ち運びできるので便利な魔術だ。
しばらく休んだ後20階を探索して家に帰る。
その日は20階到達&飛龍撃破記念としてパーティーをして盛り上がった。
少し作りすぎかなと思ったが、ナツとミアがバクバク食べるので問題なし。
メリッサさんは楽しみながらも何か考えているようだった。
今日もミアと一緒に就寝、もうこれでいいかと慣れてきてる自分がいる。
翌日メリッサさんが書斎に籠もり仕事を片付けているので紅茶とお菓子を持っていく。
休憩しながらメリッサさんの事や騎士団について教えてもらう。
「私の事など面白い話は何もないんですが。」
メリッサさんの話は普段騎士団でどんな事をしているか、団長の人柄など
私には興味深い内容。
「前から気になっていたんですがメリッサさんは団長さんの事が好きなんですか?」
『ゲホ・・・えぇふ・・・』
紅茶を拭きだして驚く。
「そ、そんな事は思っていません、上司として尊敬をしているだけです!」
顔を紅くしながら弁解する、これは少なからず恋してるのではと思う。
ここは話題を変えようと話をする。
「騎士団の方は普段から迷宮に入ってるんですか?」
「いや、今回のような事でもない限りは普段は頻繁に迷宮には入らない。
騎士団が迷宮を探索するのは月に1度の討伐時だ、その時は騎士団の約3割の戦力を投入して迷宮の魔族を討伐する。」
「騎士団の3割・・・すごい人数ですね。」
「そうですね、約3,000人ほどですね」
「3,000・・・」
「各階層をすべて探索しますのでこの位の人数が丁度よいのです、さすがに3,000人全てが迷宮に入る訳ではありませんから。」
優雅に紅茶を飲みながらメリッサさんは淡々と話す、3,000人かなりすごい人数だと思うんだけどな。
「そういえば迷宮って何階まで続いているんですか?」
「今現在騎士団が把握できているのは40階までです。
迷宮がどこまで続いているのかは皆目見当もつきません。」
「迷宮も30階を超えると各階に強力な魔族が下の階への道を守っています。
40階を騎士団が制圧した時はキメラがいました。その時には騎士団員に50人の死傷者がでました。」
「50人・・・魔族って何が目的なんでしょうか?」
「セレス様は過去の記憶がないと伺っております、グリモア王国の事は御存知ですか?」
「グリモア王国、確か過去の戦争で人間側に味方した魔族の国ですよね。」
「はい、彼らの残した記録では魔族は人を滅ぼしこの地を我が物とするために魔族は迷宮から地上に向かって進行してくるとあります。」
「人を滅ぼす・・・」
「一説では迷宮の地下深くには魔族の住む世界と繋がった転移門があり其処から魔族を送り込んでいると言われています。」
「迷宮の地下の転移門・・」
「現在判明しているのは、上層に弱い魔族しか出てこないのは迷宮内の瘴気が関係しいます。瘴気が濃い場所では強力な魔物が出現します、その魔族も迷宮自身が作り出しています。」
「迷宮が魔物をつくるんですか?」
「はい、騎士団が掃討しても各階にいつの間にか魔族が出るのは迷宮自身が魔族を生成しているからだと思われます。ここで重要なのは魔族を掃討して瘴気を薄めればたとえ迷宮が魔族を作り出しても強力な魔族は作り出せない事にあります。」
「なるほど、だから普段から迷宮に入る冒険者が多い上層には強力な魔族が出にくいんですね!」
「そういう事です。」
「じゃあ私の時のオークは・・・」
「その件は現在も調査中です、しかし一階にオークが出ても地上に進行するほどの脅威にはならないでしょう。現在は騎士団が定期的に巡回していますので大丈夫です。」
なんだか騎士団の人たちは大変なのにメリッサさんを此処に置いといて大丈夫なのかなと考えていた。
お風呂に入りながら考える・・・魔族、迷宮、騎士団、私の記憶、これからどうなるのか。
ぼ~っとお湯に浸かっていたせいで人が入ってくるのに気がつかなかった。
「あれ、セレス様?」
「へ?メリッサさん。」
私は浴槽から上がり出ようとすると、顔を耳まで紅くして逃げて行った。
「お風呂に入りに来たんじゃないの?」
私は首を傾げつつ着替えて部屋に帰る。
ーー メリッサ ーー
今日はセレス様と沢山お話しできました。
メリッサはセレスを女神様だと崇拝していた。
団長がメリッサをセレスのPTに進めたのも彼女が女の子好きな事を知っていたからだがメリッサは気づいていない。
お風呂に入ろうと洗面所に入るとセレス様の独特の良い匂いがした。
私は気が付かなかった振りをしてセレス様と混浴出来たらなと考えて風呂場のドアを開ける。
セレス様が私に気づいて立ちあがる、其処にはまさに女神のような裸体が!!!
私は思わず逃げてしまった。部屋に帰りあそこで一緒に入っていいですか?と聞いていれば、後悔が津波のようにメリッサの胸に襲いかかっていた。




