美女目覚めます!
ここは何処なんだろ?体中が痛い・・・
『体がうまく動かない、手だけは動きそうだ。』
手を見ると血がべったりと付いていた、空には月が昇ってるみたいだ。
私はきっとこのまま死ぬのだろう、眠たくなってきた・・・・・・・
なんだか心地いい、風が体を優しく撫でてくれているようだ。
『んぁ・・ん・・』
目を開けると光が飛び込んでくる眩しい。手で光を遮りなから辺りを見回すとここは
どうやら草原みたいだ。
体を起こそうとすると視界に二つの大きな膨らみが映った、手で触ってみると柔らかく
弾力があった。
『んっ!!!』
なんだかへんな気分になってきた、これ以上触るのはやめた方がよさそうだ。
私女の子だったっけ?・・・男だったはずなのに・・
「あれ?!」私名前なんだっけ?え~とえ~と???
「セ・・セレ・・・セレ・・ス・」
「セレスティアだ!!!」
あれ?これって女の子の名前だよね?・・・でも自分が男だって認識が・・あれ?!
しばらく男なのか女なのか考えたけどよく思いさせなかった。記憶がまったくなかったのだ
自分を自分たらしめる記憶がないのだから男か女かなんて解るはずもないよね・・はぁ~。
でも体は女の子なわけだしやっぱり女なんだろうな、でも自分が女と認めたくない自分がいて
モヤモヤする。
しばらく頭を抱えて悩んでると遠くで鐘の音が聞こえる!
こんな所で考えていてもしょうがない、まずは町に行こう!鐘の音が聞こえるって事はそんなに遠くじゃないはずだよね。
鐘の音の方に歩いてすぐに城壁が見えた。
ゆっくり歩きながら考える、記憶がないけどそれは思い出だけのようだ。
何処でなにをしてたか、家族や友達は?何も思い出せないけど日常的な知識だけはちゃんとあるみたいだ。
よかった!これで言葉もなにもわかんなくなってたら野垂れ死んでたよね。
歩きながら自分の服を見るとかなり露出度の高い服だった。
胸元は大きく開いていて下はパンツが見えるんじゃないかって程短かった。
それにボディラインがハッキリはかる程ピッタリなので恥ずかしい!
肌は日焼けしたような色だった、褐色肌っていうのかな?
鏡があれば全体がみれるんだけど草原じゃ無理だしね。
「にしても良い天気だな~♪」
私はう~~んと背筋を伸ばした。
歩いて二時間ほど経っただろうか、時計がないので正確な時間がわからない
大きな門に着いた、兵士の人がこちらをじっと見てるけど声はかけてこない
ようなので入っても大丈夫なのだろう。
「お~、色んな種族の人たちがいる!!!」
町の中はたくさんの人とお店で賑わっていた。エルフにドワーフ、獣人にリザードマン大勢の人が行き交っていた。
お腹が空いてきたのでなにか食べようかな~って思って今気がついた。
『私お金もってないじゃん!!!』
これじゃあなにもできないよ~、私はガックリと肩を落として途方に暮れた
これからどーしよ・・・はぁ~。
さっきからやたらと見られてる気がする、そんなに残念な子に見えるのだろうか。トボトボ歩いてるとおいしそうなにおいがした!
お金もないのにフラフラとおいしそうなにおいのするお店の中に入った。
『いらっしゃい』
元気な女将さんが声をかけてくれた。
「一人かい?一人なら一泊銀貨3枚だよ」
どうやら此処は宿泊場所らしい。
「えっと、あの、すいませんお金は持ってないんです
外でおいしそうなにおいがしたのでフラフラっと入ってしまって、あの」
「いいにおいがしたからお金も持たずに入ってきたって!
なんだいそりゃ、アハッアハハハh」
女将さんに心底おかしそうに笑われた。
「は~久々にこんなに笑ったよ。
しかたないね困った時はお互い様って言うしね、お腹空いてるんだろ?」
女将さんはそういってテーブルに案内してくれた。
「ちょっと待ってな、すぐ持ってきてあげるから。」
そう言って女将さんは笑顔で奥に入って行った。
私は落ち着かなくてキョロキョロ辺りを見渡していた。
しばらくすると女将さんが戻って来た。
「ハイよ、スープとパンだよ。」
「えと、あの、ありがとうございます!」
女将さんは優しい笑顔を向けて遠慮せずに食べなっていってくれた。
料理はとってもおいしかった、食べていたらなんだか心が暖かくなって涙が出た。
「なんだい涙が出るほどおいしかったのかい?」
「はい、どっても・・グス・・おいしいです。」
女将さんが私の頭を優しく撫でてくれた。