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話し合い(物理)で解決

読んでくれてありがとうございます。

「ハイ・・・あの・・・調子乗ってすいませんでした。」


あの後ドラゴンを必死にたたいてみるとむくりと起きて、つきものが取れたかのように大人しくなり、反省の弁を述べている。

敬語で謝るドラゴン見たくなかったな。


「ほんとにもう神様のおうち入ろうとしない?

結構いやでしょ知らないやつがいきなり家に上がり込んでくるの。

上がり込んできた俺が言うのものなんだけど。」

「もうしないです。ハイ。」


あれだけ黒い瘴気をまとってかっこよくたたずんでいたのに、黒い瘴気は見る影もなく消え失せ、借りてきた猫のようにおとなしくなってしまった。


「なんで神様のおうち入ろうとしたの?強くなって調子乗っちゃった?」

「強くなって調子乗ったっていうのもまぁあるんですが、魔が差したっていうか、正気じゃなかったていうか、自分でもよくわからないです。

神様にご迷惑をおかけしてどうもすいません。」

「スーパーで万引きした主婦みたいなこと言うんじゃないよ。ドラゴンの癖に。」


俺とドラゴンは洞窟から出て叡智の書で見つけた森の中にある近場の湖のそばで話し合いをしていた。


「もう神様のとこいこうとすんなよ。

次したらそうだな・・・。具体的なことは特に何にも思いつかないけどひどい目に合わせるかんな。」

「はいもうしないです。逆鱗に誓います。」


よくわからないドラゴン流の誓いをたてられたがもうしないと言っているし良しとしよう。

これにて一件落着だな。


「あの貴方様はこれからどうされるのですか?神のもとへお戻りに?」

「俺のことは、あー、カイでいいよ。

俺はこれからしばらくこの辺りで生活しようと思ってる。

この世界の常識も知らないししばらくはこの本で勉強しながら適当に異世界ライフを満喫するよ。」

「カイ様は別の世界から来られたのですか?すごいですね。

その本もとてつもない魔力を感じます。流石は神の眷属であられるお方。」


ドラゴンから見てもこの本はすごいらしい。

シェイティア様には立体パズルを作るといったが報酬が見合っていない気がする。


「ドラゴン君はどうすんの?どっか遠くに行くとか?」

「・・・まあしばらくはこの森で適当に生きようかと、もうこれと言ってすることもないですし。」

「俺ここに家建てるからさ、たまにでもいいから遊びに来なよ」


寂しそうにしょぼくれたドラゴンに前世の俺を重ねてしまい、少し同情してしまった。


「よろしいのですか?」

「俺も話し相手がいないと寂しいからな。」

「ありがたき幸せ!良い土産をもってまいります!」


そういうとドラゴンは黒く翼を大きく広げて洞窟へと帰っていった。







「よしじゃあさっそく今日の寝床作るか!」


前世でのサバイバル動画で得た知識を思い出す。

たしか木の棒と葉っぱ付きの枝を組み合わせて簡易のタープみたいなやつ作れたよな。

袋とかあれば葉っぱを敷き詰めて布団も作れるんだけど、最初はとりあえず簡易のタープだけでも作ってみるか。


森林を歩き回り手頃な棒と松の葉のようにとげとげとした葉っぱの付いた枝を集める。

叡智の書によるとこの辺りに生えている木はほかの木より頑丈で建築に適しているらしい。

そんな知識を得たもののこの枝は結構簡単に折れる。

何だったらチョップで木を伐採できてしまった。

神様より賜りしこの力、結構怖いな。


枝を集めながら並行して食べ物となる果物を集める。

ここにきて最初に見つけたリンゴブドウはボムの実というもので栄養価が高く酸味が効いて口当たりがよいらしい。

試しに一粒かじってみたがなかなか、いやかなりうまい。

しばらくはこれが主食になりそうだ。


ガゥウウウウウウガァッ!

突然動物の鳴き声が聞こえた。

鳴き声の方を向くと灰色の毛に大きな牙と一本の角を携えたライオンほどの大きさの狼が4匹ほどこちらをみて威嚇している。


思わず息をのんだ。

ドラゴンを一発で倒したほどだから多分なんなく倒せるのだろうけど、大きな肉食動物に威嚇されるとさすがに怖い。

背中を見せずにゆっくりと動き相手の出方をうかがう。


なかなか動かない。


微動だにしない。


不思議に思い少し近づいてみると原因が分かった。

時が止まっているのである。

突然の恐怖によって無意識に時を止めてしまったらしい。

時を止めるのは便利なものだと感心しながら灰色狼のことを調べてみた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

グレイウルフ

大型の肉食動物。

食物連鎖でも上位に位置しており、群れで狩りを行う獰猛な生き物。

世界各地で気候を問わず生息している。

群れは3匹から7匹ほどで構成されており、一番体の大きな個体が群れのボスとなる。

角は砕くとポーションの材料にもなる。様々な環境に耐えうる毛皮は上質な布として取引される。

カサヤ族ではグレイウルフを一人で倒せれば一人前の戦士として認められ、大きな牙は主にナイフに加工さる。自らが狩り作ったナイフを異性に対して贈るとカサヤ族では求婚を意味する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「また知らん単語がでてきたな。」

グレイウルフの喉を切り木に吊るして血抜きを行う。

「まあ必要な時に調べていけばいいか、前の世界でもなんでも調べれたけどなんでも調べてたわけじゃないしな。」


枝が集まったので物干しざおのように組み上げて葉がついた枝を上からかぶせて簡易のタープの完成である。

結構長い時間作業をしていた割にはまだあたりは暗くなっていない。

無意識のうちに時間を止めていたのかそれとも1日の日照時間が長いのか。

「魔法も練習しないとな。」

叡智の書で勉強しよう。



グレイウルフの肉を焼いてボムの実をデザートに添え出来立てのタープのそばで異世界で初めての夕食をとる。


異世界生活の始まりである。



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