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宮廷魔法使いリフィリーゼの救世譚〜馬車から捨てられた欠陥令嬢が、宮廷魔法使いの座についた理由。  作者: 碧井 汐桜香


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12.転移の魔術具

「今から、騎士たちで救出に向かうことになりました。お手数ですが、共についてきていただくか、魔法を展開し続けていただくことは可能でしょうか?」


 リフィリーゼへの問いに、イーリアが代わりに答える。


「救出ってことは、状況がわかったんだね? じゃあ、リフィリーゼにはこのまま魔法を展開したままついて行かせるよ。一緒にあたしもついていく。ただ、この子の魔力も無限ではないからねぇ。ジュナルバまでの転移陣の使用許可を取っておくれ。あたしが起動させてやるよ。これだけ騎士が動いているってことは、使用許可くらいもぎ取れる事態なんだろう?」


 イーリアの言葉に驚くリフィリーゼに、ジョセフが小さく頷いて肯定した。


「……ジュナルバでは、以前から隣国に違法に物を流している噂がありました。武器、薬品、魔術具、それに誘拐した人間を奴隷として。俺の婚約者は、おそらく奴隷として誘拐されたのだろうと判断され、今回その組織を叩けるならということで特別に騎士団が動くことになりました。筆頭宮廷魔法使い様が動かしてくださるとおっしゃるのなら、使用許可くらい取れると思います。上長に確認して、すぐに準備いたします」


 そう言って駆け出すジョセフを見送ったイーリアが、小さく独りごつ。


「運がいいのか悪いのか」


 そう言った後、リフィリーゼに問いかける。


「リフィリーゼ。あんた、なんであたしたちが門まで飛んできたかわかるかい?」


 イーリアの問いに、目を瞬かせたリフィリーゼは首を振る。


「……わかってないと思ったよ。じゃあ、城の門の前で杖を構えて魔法を使う者がいる。この場合、どうなるかわかるかい?」


「……緊急事態として、宮廷魔法使いが門に派遣されます」


「ん、よろしい。じゃ、今回リフィリーぜが城の門の前で魔法を展開しようとしたからあたしたちが呼ばれたってことはわかるかい?」


 イーリアの問いに、リフィリーゼは軽く首を傾げた。


「……わかりません。わたしは宮廷魔法使いですよ? 害意がないので、問題ないのでは?」


 リフィリーゼの答えに、イーリアが眉間をもみほぐしながら説明した。


「あんたが宮廷魔法使いであろうとなかろうと、杖を構えた人間がいるのなら、あたしたちは緊急時って判断するんだよ。だからリフィリーゼ。あんたはもうすこし考えて魔法を使わなきゃならない。わかったかい?」


「……門の前で魔法を使ってはならないということはわかりました」


 リフィリーゼの言葉に、少しがっくりとしながら、イーリアはリフィリーゼに言った。


「ひとまずそれでオッケーだ。ただし、リフィリーゼ。あんたのせいで宮廷魔法使いたちが仕事や休息を邪魔されたんだ。明日きちんとみんなに謝るんだよ?」


 イーリアの言葉に、リフィリーゼは頷いた。そんなリフィリーゼの様子を見て、安心した様子のイーリアがリフィリーゼに説明を始めた。


「元々、ジュナルバって街は貧しくて治安も悪いことで有名なんだ。……人攫いや違法売買。それくらい始めてもおかしくないくらいにね」


 イーリアの言葉を大人しく聞いているリフィリーゼに、イーリアは説明を続けた。


「そんな場所に連れて行かれたってことは、誘拐されて奴隷として売られそうになっていたに間違いないねぇ。まぁ、今回はやり過ぎだね。元々騎士団に目をつけられていたってことは、かなり大々的にやって問題になっていたんだろうよ。あんたは魔法を使えるから問題ないだろうが、街を歩くときには多少気をつけないといけないから、覚えておきな」


 頷いたリフィリーゼが顔を上げたとき、ジョセフが走って戻ってきたところだった。


「転移陣の使用許可、とれました! 筆頭宮廷魔法使い様、ご助力願います!」


 イーリアが城内の転移陣に戻り、リフィリーゼもそれについていきながら、ふと首を傾げた。


「イーリア様」


「なんだい? リフィリーゼ。あんたも早く乗りな」


 転移陣の魔獣具に魔力を込めていて、振り返ることなくそう言ったイーリアに、リフィリーゼは答えた。


「……この人探しの魔法、魔力使用量が極端に低いので、展開したまま転移できる気がします。この人探しのなきに転移すればいいですか?」


 リフィリーゼの言葉にあわてて振り返ったイーリアに、リフィリーゼは魔法を展開しながら問うた。


「何を非常識なことを言っているんだい! それに転移先はこの転移陣の先だよ。あんたに場所がわかるのかい? さっさと乗りな」


 イーリアの言葉に、リフィリーゼが転移の魔術具に手を触れた。魔力を読み取り、転移先を理解したリフィリーゼがイーリアに言った。


「……場所がわかりました。先に行きます」


「はぁっ!? あんた、何を言っているんだい!? って、いないじゃないか! 仕方ない。さっさと転移するよ!」


 姿を消したリフィリーゼの姿に、イーリアが怒気を孕んだ声で、騎士たちに指示を飛ばす。


「さっさと乗りな! ほら、起動するよ!?」


「お、お待ちください! 筆頭宮廷魔法使い殿!」

「急げ! 乗り遅れるぞ!?」



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