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ダンジョンは危険がいっぱいだけど、全部スルーしていきます  作者: 里和ささみ


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戸川祥子の日常(3)

「あははははは!クロ、いいぞぉ!その調子だ!」


 地上にてクロの戦闘訓練。断腸の思いでここ数日コートさんに預けてギルド依頼のポーション小分け作業を引き受けている。

 現在は空間把握能力を伸ばす訓練らしい。コートさんは武門の家系に相応しい〝鉄拳〟〝剛腕〟の持ち主なので、剣も持つけど拳ひとつでモンスターをぶちのめせるらしい。なんとスキル五個持ちだった。すごい。


 自己鍛錬にもなるのでと目隠しをしてクロの攻撃をひょいひょい避けては攻撃をいなしている。


「気配消すのはうまいね。でも、やっぱり最後の最後に意識が切れちゃうんだな。まあ、でも、ショウコのスキルと合わせれば低層階の高位モンスターでもやりあえると思うよ。」


「コートさん、そこまで望んでないです。」


「まあ、トレジャーハンターは連携義務ないしなぁ。」


「え、そうなんですか。」


「んもぉ、ギルド規定読んで!もう一回読んで!」


 トレジャーハンターは基本的に戦闘スキルではないので連携は足を引っ張る可能性があるから不要とのことだった。認識阻害とか隠密とか擬態スキルの人が多いからだそう。

 中層階の下の方になるとそういったスキルを見破るモンスターもいるから、相当レベルが高くないと逆に被害を受ける可能性がある。ミルックみたいにパーティに入ってると認識阻害スキルでも義務が発生するそうだ。まあ、ミルックはスキルレベルも高いからな。他者への付与まで到達する冒険者がまずいないというのもこの規定が出来た原因らしい。


「だからショウコも無理に戦わなくていいんだよ。したけりゃしていいけど、自己責任だから。」


「分かりました。」


「バルトが怖いからね。戦闘には関知しないことをお勧めするよ。」


 カールとダンジョン潜る約束はどうしよう。それはいいか。あんまり無茶しなければ。いや、彼は引きがえぐいくらいいいんだった。〝幸運〟があるなら大丈夫かな?


「Aランクのトレジャーハンターってソロだとコソアードで初めてなんじゃない?」


 マジか。前例作ってしまった。


「王政の頃は来訪者には即貴族位あげてたからなぁ。そんな時代じゃなくてよかったね。きっとショウコのスキルならこき使われてたよ、サヤマくんみたいに。」


「貴族は御免です。面倒臭い。」


「ね。まだその頃を知ってる人間が生き残ってるから余計面倒だよ。」


 コソアードが民主化して四十数年。まだまだ意識が抜けない老害がその孫子たちに同じような教育をして困ってるとコートさんは言う。


 セレブリティ、怖い。


「コートの指導はどう?」


 週末なので領司館。残業していたバルトも帰って来て少し遅めの夕食を済ませた。


「順調。来週はダンジョン入るから。連絡出来ないかも。ついでに低層階の様子見て来いってマッタさんが。」


「そうか。低層階が荒れるとスタンピードの可能性が上がるからな。頼む。」


「うん。頑張ろうね、クロ。」


 クロは既にわたしの話など聞いてない。バルトの膝でヘソ天になってマッサージを堪能している。


「明日の午後はクロに鍛錬をつけてやろう。」


「バルトが?」


「猫は爪が最大の武器だからな。竜爪の使い方と変わらないだろう。」


「バルトも訓練してたの?」


「一応な。私が幼い頃はまだマ閣下が首都にいらした。ゼーキン家の祖であるネング様もコソアードにいた。お二人が私の師だ。」


「その割には、バルト、マ総統苦手だよね?」


「そのせいで苦手なんだ。」


 無茶振りも多そうだもんなぁ。師匠二人がいるのに一度も島には行かないくらいだから厳しい修行だったのかもしれない。


「ジュンさんがバルトの竜化知らなかったのはなんで?」


「母が亡くなってからは没交渉だった。元々、竜化は公表もしてないしな。発現も遅かったというせいもあるが。」


「いくつの時に分かったの?」


「十四だ。それまでは周囲も自身も竜人の特性が薄いヒューマンだと思っていたから。確かに身体能力は常人より高いけどね。もう仕事も決まっていたし、ゼーキン家のことは私には関係がないと思っていたんだが……。」


「他の人が継ぐ予定だったの?」


「私のはとこだ。今は国軍にいる。彼は実力はあるが竜化は出来ないし常人と変わらない。王政を廃するまで、廃してからも、ゼーキン家はネング様が当主だった。単に二十年前にマ閣下が移住なされるのと共にネング様も居をお移りになられるというので誰かが継がねばならなくなっただけだ。そのままチヨウ殿が継げば良かったのに……。」


「それで言うとソヨウさんが継ぐんじゃなかったの?」


「王政の頃は女児に相続権がなかった。それに母はお世辞に言っても当主には向いていない性格だからな。」


 出た、男尊女卑。なのに王政の頃は国防のためとか言ってソヨウさんを鍛えてたんでしょ?まあ、ジュンさんから訓練の思い出話聞いてると楽しそうなんだけど。そして当主に向いてないというのもよく分かる話なんだけど。


「それで、ゼーキン家最後の生き残り。」


「竜化出来るという意味ではな。ゼーキン家がいた派閥の者にいつの間にか嗅ぎつけられて。父は私があの家に縛られることのないように竜化を隠してくれていたのだが、無駄になってしまったな。」


 なるほど。納得した。最後なわけあるかいと思っていたけど、竜化出来るという点で最後の一人ってわけだ。


「それだけ由緒正しいお家柄ってことだね。」


「もう何の意味もないものだけどな。」


「でもまだ上流階級同士の付き合いはあるわけでしょ?コートさんちに遊びに行った時に、キィさんが夜会めんどくさいって言ってたわ。」


「出たくなければ出なくていい。私も好んで出ているわけではない。」


 有難いお話だけど、キィさんに恨まれそう。


「キィさんが出る夜会には行くよ。庶民同盟組んでるから。」


「そうしてくれると助かる。顔を出せとうるさい人間もいるからな。」


 やっぱりセレブリティめんどくさ。なるべく関わらない方向で行こう。本当に王政の時代に転移して来なくて良かったわ。


「それじゃ、明日は訓練ね。別に午前中でもいいんじゃない?」


「午前中はゆっくりしよう。その前に、そんな早くに起きられないと思うけどね。」


 クロを撫でつつわたしの髪を撫でるんじゃない。ベシリと叩くとあからさまにバルトはしょんぼりした。


 仕方ない。かまってやるか。

ネング・ゼーキン(685)

年貢

佐山由紀人と似たような時期に転移

国防を一手に引き受けていた

グレップ皇帝にとってコソアード侵略の最大の壁

サーイダーイとマンナーカの同盟を裏で結ばせる

寿命は千年くらい


チヨウ・タイホー(42)

バルトのはとこ

バルトとは歳が離れている

国軍大将

資産運用とかめんどくさいタイプ

大宝律令

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