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新たな第一ダンジョン(11)

「じゃ、ちょっと送ってくんね!すぐ戻るから待ってて!」


「いってらっしゃいませ。」


 魔王様がご自宅にドラゴン様をお送りになる間、最下層空間を探索することになった。

 ただひたすらにだだっ広い。天井までバルトが飛んでみると、ガラスのような板で出来ていて映像が流れているだけだった。壁も同じく。優しい風が吹いてるが何処から来るんだろう?

 ドラゴン様が言うには、更新の度に風景が変わるが部屋の大きさは変わってないそうだ。ドラゴン様がいたからなんだろうか。一面が水で入口から飛び石のように足場があるだけで自分の寝床の島があるとか、宇宙空間だったりとか。ドラゴンが宇宙の概念を知っているのも衝撃だった。


「どうなってんだ?」


「テレビの液晶画面みたいですね。」


「テレビ?」


「ああ、わたしの世界にある映像を映し出す機械。説明は面倒臭い。」


「ええ〜、そこはしようよ。」


「そうは言っても仕組みとか分かりませんし。」


 バルトとコートさんとテレビの話をしていたら、植物図鑑を片手に持ったギルド職員の一人の叫び声が聞こえた。


「おい!ここの草花、全て絶滅した薬草だぞ!」


 マジか。普通に踏んづけて歩いてましたけど。


「根こそぎ取っていこう!」


「ゼーキン卿、トガワさん、手伝ってください!」


「はーい!」


 ここに来るまでもかなり色々入れて来たが、回収物の仕分けも大変そうだ。いろんな種類をアレコレ入れるのも考えものだな。

 植物も生命のはずなんだけど、マジックバッグに入れられるのは何でだろう。千切れた手足も入ったし、知能のあるものがダメってことなんだろうか。そうだよな、じゃないと生野菜入れられるのもおかしいわ。


「今回は武器類がなかったのは痛かったですなあ。」


「原料は手に入ったんだ。あとは人の手で作って行くしかない。」


「ダマスカス鋼とオリハルコンですよ?溶けますかねぇ。」


 政治家の先生たちも一緒になって根っこから花を掘り返している。さすがにここのもの全てを持って帰るのは無理があるのではないだろうか。


「ただいまー!って、何してるの?」


 お戻りになった魔王様に事情を説明するとわたしのマジックバッグを貸してーとひったくって、床につけると全てを収納してしまった。床の位置が1メートルくらい低くなった。油断した先生方、落っこちてたぞ。コレ鞄の中で他のものが土まみれにならないよな?


「ドラゴンは誰が?」


「マティコに預けて来たよ。」


 マティコとはどなたなのだろう。


「マティコ興味ある?彼女募集中だよ。」


「マ総統!」


「マティコはね〜、前にいたとこで僕の部下だった男だよ。マ・イッツィング・マティコ。」


 ああ、後から転移して来たっていう魔族の人。魔族はみんなマ姓なんだろうか。

 昨晩魔王様から聞いた話だと、王様だったこの人がいなくなって内乱が起きて大変なことになったという話を聞いてこちらで民主化を進めたと仰っていた。違う世界に来ても同郷の仲間がいる来訪者もたまにいる。

 だけどそれは長命種ならではのこと。わたしは縁がなさそうだな。


「いえ、結構です。不老不死はちょっとご遠慮します。」


 そのうち後悔しそう。佐山氏に不老不死を願った人みたいに。あ、この人が保護したのか。そっちの人の方が会ってみたいわ。


「あ、そうだ。みんなー!ドラくんが言うにはつい何日か前にここのボス食べたばっかりらしいから、ちょっと急いで出た方がいいかもだって。強いボス食べると大きな地震が起きやすいって言ってた。今回は不死鳥食べたって。」


「そういうの早く言ってくださいよ!」


 コートさん、コノではどっちかっていうとボケとかいじられタイプなのに魔王様にはツッコミまくってる。どうして他の人はツッコまないんだろう。慣れって怖い。

 というか、不死鳥って食べられるのか。腹の中で再生したりしないんだろうか。


 ボスが喰われたということは規模は分からないけどダンジョンの更新が起きる可能性がある。不死鳥ならコッティラーノ第一と同じ規模の更新が始まるかもしれない。早く退避した方がいい。ここのダンジョンが頻繁に道変わってたの、ドラゴンのせいなんじゃないのか?


 そんな疑問を抱きつつ、帰りは支道を調べる予定だったところを魔王様のテレポートでシディーゴ第一の入口に戻った。チートとはこの人のような存在のことを言うんだな。強すぎておかしいわ。


 我々が退避した瞬間、大きな揺れが起きた。ダンジョンの更新が


「第一、人払いしといてよかったね〜。」


「今回のマッピング、無駄になりましたね。」


「いやいや、ショウコちゃんの教えてくれた方法が他のダンジョンにも通用するってのが分かったんだから収穫アリでしょ。ね、そうだよね?」


 魔王様がニッコリ笑うと激しく頷くギルド本部職員と政治家の人たち。もしかして、圧力かけてる?


「予定より早く終わっちゃったねー。まあ、ドラちゃんと会えたからいっかぁ。」


「閣下、まさかドラゴンのことドラちゃんって呼んでるんです?」


「ドラゴンのドラちゃん。わかりやすくていいでしょ?名前ないって言うからさ。」


 日本人のわたしには青いネコ型ロボットしか頭に浮かばない。


「それはやめた方がいいと思います。いつか同じ世界のドラゴンが転移して来たらどうするんです。」


「そしたら次の子はゴンちゃんにする。」


 ダメだ、この人。発想が幼児だった。

マ・イッツィング・マティコ 年齢不詳

まいっちんぐなマティコ 魔王様の元側近現執事

魔王様がこちらに来たことで国が割れていくのを目の当たりにした

おちゃめな魔王様の言動に総ツッコミするツッコミ要員

魔族だと公表しているが厳密にいうと魔王様とは違う種族なので番制度はない

見た目は三十代前半の厳つい男性 執事服が似合わない

万年彼女募集中は魔王様が勝手に言っている

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