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ダンジョンは危険がいっぱいだけど、全部スルーしていきます  作者: 里和ささみ


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新たな第一ダンジョン(5)

「ふ゛ええええええええ!!!!!」


 ハンちゃんが泥酔して大号泣している。街コン的な催しがあり、そこでまた誰ともマッチングしなかったらしい。その話から何故か第三の話に及び、犠牲になった仲間たちのことを思い出した模様。


「ハン、鼻水伸びてるわよ。汚いわね。」


「と゛ぅ わ゛っ て゛えええ!!!」


「アンタ、本命がいるくせにコンパなんか行くからダメなのよ。」


「み゛こ゛み゛な゛い゛も゛ぉーーーん゛!」


「ジュンさん辛辣。」


「だけど言えてる。」


「え、ハンちゃん好きな人いるの?」


 今、すごく女子会してる。日本にいた時は女子会ってあんまり縁がなかった……というか、人付き合い最低限で生きて来たけど、こっちに来てからバルトほどじゃないけど人と人の距離が近い。わたしにしては踏み込んだ人間関係を築いていると思う。


「き゛か゛な゛い゛て゛!」


「ジンよ。」


「い゛わ゛な゛い゛て゛!」


 キッチンペーパーを取って、ズビビビビ!と鼻をかんだ後に激しく主張した。


「も゛お゛あ゛き゛ら゛め゛た゛も゛ん゛!!」


「全然あきらめてないね。」


「忘れられてないよね。」


「ジンが第三に行ったの、ハンが付きまとって邪魔だったからでしょ。」


「ジュンさんがトドメ刺した。」


「て゛ゅ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 三人にメッタメタにされてた、調理台に顔面突っ込んでまた大声を上げて泣き出してしまった。あーあ、みんないじめるから。


「でもハン、第三にいるときはジンにストーカー行為してなかったわよね。」


「近付きもしなかったもんね。」


「むしろ逃げ回ってたわよね。」


「た゛っ て゛か゛お゛み゛た゛ら゛や゛っ は゛す゛き゛た゛も゛ん゛!!こ゛れ゛い゛し゛ょ う゛き゛ら゛わ゛れ゛た゛ら゛し゛ね゛る゛!!!」


「やっぱり好きなんじゃない。」


「語るに落ちたわね。」


「ハン、男だけが人生じゃないよ。ショウコが言ってた。ショウコの世界では、〝おひとりさま〟でカッコよく生きてる女もいるんだって。」


「お゛ひ゛と゛り゛さ゛ま゛?」


 ああ、昼間荷解きしながら話したヤツか。いつ離婚したんだって聞かれて来る直前って言ったら子どもは?って話になって。初婚年齢が高いって話と、結局一人でいることを選んで好きなことして楽しく生きてる〝おひとりさま〟と呼ばれる人たちもいるんだよ、という話をした。

 わたしは割とおひとりさま気質だから、何でも一人で楽しめる。焼肉だって一人で行くし、キントーさんの店みたいなところも一人で余裕。好きなことは一人でしたい派だからな。クズは一人が出来ない人だった。いや、一人ランチくらいは出来るけど、どっか行ったときも何で誘ってくれないの?とか、何か買ったときも何で一言言わないの?とか……最初から感性が違ったんだな。

 人付き合いが苦手なわたしの面倒をみてやってるって態度が気に食わないこともあった。あっちのが年上だから下に見られてたのもあるんだろうけど、ハナからお互いに歩み寄りもなかったんだ。そりゃ浮気もするわ。だけど最後くらい綺麗に別れたかったな。何でプロポーズしたんだよ。あっちも絶対わたしに不満持ってただろうに。


「ショウコがなんかたそがれてるわ。」


「元ダンナのことでも考えてるんじゃない?」


「私やショウコみたいに好きあっても上手くいかないこともあるんだし、ハンもそろそろ気持ち切り替えてこ!目指せ〝おひとりさま〟冒険者!」


「や゛た゛ぁぁぁぁ!!け゛っ こ゛ん゛し゛た゛い゛ぃぃぃぃ!!!」


 ハンちゃんの声が夜の女子寮にこだました。


 翌朝、全く前日の深酒の名残はないがまぶたも腫れ上がったハンちゃんはトボトボと仕事に向かった。

 昨日、ジュンさんはソヨウさんの手紙の話はしなかった。無関係のみんなにする必要はないけど、こうしてハンちゃんの気持ちを知ると、わたしは恐らくジンさんに傾くことはないなと思ってしまう。


 ジュンさん、もしかしてバルトのアシストしようとしてない?勘ぐり過ぎかな?


 翌日からはまたひたすらキョウちゃんと、他数名でかくれんぼだ。こっちもレベルを上げて、わたし以外全員が鬼という鬼畜仕様。動かなかったけど、なかなか気がつくものがいない。

 わたしも毒ネズミというモンスターの群れに混ざったりして隠れるのが上手くなったと思う。モルモットのように小さな小部屋にぎゅうぎゅうに詰まってモフモフしてて、これで思う存分触れたら天国なのにななんて考えてた。ペットを飼ったことがないので、ちょっと憧れである。モンスターじゃなきゃ飼うのにな。アミルラージもだ。顔は普通にうさぎでとても可愛い。

 その内、見つかるようになって、今度は鬼ごっこ。わたしもゴブリンなどの人型モンスターと共に移動。わたし自身も慣れてきて、何となく、あそこから何か出て来るなとか向こうから人が来るなとか後ろから誰か来てるなとかが分かるようになった。慣れってすごい。キョウちゃんには訓練の賜物だよと言われたけど。

 かくれんぼと鬼ごっこの参加者はBランクに絞らせてもらった。キョウちゃんはBに限りなく近いCだけど最初の依頼者だからそのまま参加してもらって、他の人はBランクの中でもAに近い人ばかり。それでもわたしのレベル8にはなかなか対応出来ないようでAランカーやSランカーのゴズさんたちのすごさを改めて思い知った。


 また月末が来た。もう冬だ。植生は違うけど四季のある国なのは良かった。わたしは冬が好き。凍てつく寒さの中、星を見るのが好きだ。今日は公休日なのでいつも夜に会ってた面会を午前中に待ち合わせにしてバルトと二人で出かける。買い物に付き合ってもらう予定だ。

 自分で言うのもなんだけど、これ、普通にデートだな。たまにはわたしが迎えに行くと領館まで行くと、門の前にはバルトではない男性がわたしを待っていた。


 キョウちゃんの元カレだった。

ハン・ドックリーム(24)

新人時代の指導教官だったジンが好き

ナチュラルボーンストーカー

ジンの強さ、飄々としたところに惚れている

そういう人に溺愛されたい願望がある

ただしイケメンに限る

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