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ダンジョンは危険がいっぱいだけど、全部スルーしていきます  作者: 里和ささみ


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実績を作ろう(10)

 マッタさんとモーイさんのWギルマスは一晩腹を下していたようだ。あんな程度のでもなるんだな。すぐ反省したから、今は元に戻ってる。ネクター飲ませたし。

 本部でポーション類をバッグから出したときに、「もういいです!もういいです!」と、用意された容器分だけを提出して残りはまるっともらえることになった。あれは作業自体がやりたくないのもあるが、アイテム係の人たちのささやかな抑圧への抵抗なのかもしれない。おそらくだが、回収量の数字は改竄されている。


 さすがに罪悪感があったので、モーイさんに周りには秘密にしてくださいと頼んで、本部からの配給とは別にポーション類をお分けした。第二は確かに危険が多いので、備蓄ポーションがたくさんあるに越したことはないだろう。海のモンスター、キレイなほどヤバいってどうゆうこと。

 謎が多いダンジョンとモンスターだが、シーモンスターは環境の問題もあって研究が進まないらしい。


 報告書が仕上がらなかったので延泊し、結局シディーゴには戻らず、このままコッティラーノに戻ることにした。直接報告できるのは助かる。書面だと分からないこともあるし、とモーイさんの方でも言っていた。


「ぶぁははははははは!」


「笑い事じゃないよ。身内に裏切られたんだよ。」


「いやあ!しかし、カッシーコっていうと、あそこのギルマスってそんな人だったんスね。俺が行ったときは堅苦しい対応だったのになぁ。」


「伝説の来訪者ユキヒト・サヤマが相手だからね。かなり猫かぶってたし、所属冒険者が粗相しないよう目を光らせてるのに精一杯だったんだって。」


 モーイさんによる佐山くん評については語らないでおこう。


 バルトと佐山くんと三人で食事会だ。お土産も持参した。カッシーコで海産物を買ってきた。佐山くんにまた色々と〝実現〟()してもらってタコパ中。


 バルトは今回の出張の話を聞いて、何やら考え込んでいる。


「そうか。そうだな。やはり、そうしてもらおう。」


「なんのこと?」


「来月の、アイラン島の件だ。マ総統にダンジョンに誘われているだろう?」


「ああ、それね。佐山くんも行く?」


「イヤですよ!戸川さんのスキルん中にいられるならともかく!」


「私とマ総統がいれば、ユキヒトには傷ひとつもつけないぞ。」


「トゥンク!」


 だからそれは口で言うことじゃないんだってば。


「それで、ダンジョンがどうしたんです?」


「いや、閣下に頼んで正式な調査依頼にしてもらえないかと思ってな。閣下がドラゴンと好きに遊んでいるせいで、島内の半数のダンジョンが更新中らしい。そのどれかに同行者全員で入洞しようと手紙が来た。中規模ダンジョンがいいのでは、という話だったが。」


 アイラン島はどこの国でもないし、誰かが治めているわけでもない。マ総統が不老不死倶楽部の会長なので、代表といえなくもない、くらいのものらしい。

 アイラン島アイラン島と言っているが、実際にはアイラン諸島で、マ総統が住んでるのがアイラン本島。他にも更に小さい小島に竜人やエルフの来訪者など、不老不死や不老長寿の種族が住んでいる。行き来は頻繁にあるから、それぞれで引きこもってるわけではないみたいだ。


「ユキヒト、決心はついたか?」


 口をへの字にした佐山くんは、まだ返事を保留にしていた。会いたいけど会うのも怖い。会って、奥さんとお子さんだったら、それはそれでこの世界を一度捨ててしまった罪悪感があるし、本人でないならケジメもつけられないだろう。


 彼の望みはまた日本へ戻ることだ。無茶をし出したのはグレップの使者と会ってから。毎日毎日イヤになるほど書き続けているのは、再び日本に戻るためにレベル∞を目指しているから。そこはブレないんだよな。


 マ総統からの手紙も、佐山くんのことが聞きたかったのかもな。


「そんな顔をするな、ユキヒト。どうしたらいいか分からない。」


「バルトさん……」


「不甲斐ないな。どれだけ力があろうとも、友の心に真実寄り添うことは出来ないのか。」


「俺っ!俺っ!バルトさん!」


「ユキヒト!」


 手を握り合って見つめ合う二十八歳身長187cmの大男と二十一歳172cmのペラ男の図を眺めながら酒を飲む三十路の女。ちなみに身長は166cmだ。どうでもいいか、身長は。


 酔ってんのかな、コイツら。


「閣下は迎えに来た時点で決めてくれればいいと。∞までまだ時間がかかるんだろう?」


「前のときは追い詰められてたから、がむしゃらに書いてるうちに達しましたけど、正直、なんであんなことになったのか自分でも分かんないんです。スキル使い続ければ、いつかはなると思うんですけど。」


「ならば、決断を先延ばしにするのも悪くはないさ。」


「でも……」


「もうしばらく、友と過ごせる時間を私にくれないか?」


「バルトさん!」


「ユキヒト!」


「クロ、シロ、寝るよ。」


 付き合ってるのがめんどくさくなった。そうやってお前ら男同士で朝まで乳繰り合ってろ。


 バルトがわたしのことを番だと言い出す前に、佐山くんとなら帰れることが分かっていたら。どうしたんだろうな。佐山くんと必死になって漢字と戦っていたのかもしれない。自分のスキル上げなんて、とっくに放り出してた気がする。


 出張から帰ってきて少しして、コッティラーノ第一ダンジョンの更新も終了した。内部調査はもちろん押し付けられた。わたしのホームでもあるコッティラーノ第一の特徴は、高層階のコボルトやゴブリンを始め、オーク、オーガなどの人型モンスターが多いところだ。一応、ゴーレムも人型の分類らしい。二足歩行だからなのか?


「ボスはゴルゴンでした。」


「ゴルゴンか。またけったいな。」


「ちなみに三姉妹でした。」


「最悪だな。」


 マッタさんとゴズさんは頭を抱えた。ゴズさん、サブマスじゃないのにサブマスの仕事してるよな。ウチのサブマスは完全に事務員だ。マッタさんの事務仕事の補助。出張の帰りに知った。知らなかったことを驚かれた。サブマス、コッティラーノにはいないと思ってたわ。


「上の上は維持、か。前回のはイタチの最後っ屁だと思ったんが。」


「また管理者の人事異動を考えなきゃならんなー。こないだはジンとショウコが協力してくれてなんとかなったが、もう少し個人Aの職員がいればいいんだが。」


 あれって協力っていうの?ほぼ強制だったじゃん、Sランク昇格。


「トーラ隊に就職を勧めるのはどうですか?」


「断られた!ビショが、まだ若者たちを鍛え足りないってのと、自分が就職することで迷惑をかける可能性があるって言ってな。今のところ何もないが、なんかあるのか?」


「ご本人が何も言わなかったのなら、わたしから言うことじゃないので。」


「離婚した元ダンナが軍部の人間だってのは聞いたぞ?子どもが成人したから離婚したんだろ?」


 また本当のことは濁したな、あの人。三十代半ば設定を押し通す気だ。ハタチそこらで産んだ子にすればその通りの設定になる。


「軍部も、何やら騒がしいらしい。ウーフー派の大将が辞職を願い出たって話だ。今のところ保留にされてるようだが。」


「どこの大将だよ?陸軍?海軍?それとも空軍か?」


「陸軍だってよ。キーメン・カ・クジン大将だ。海軍大将はゼーキン卿の親戚だろう?ショウコはなんか知らないのか?」


「そういう話は聞いたことないですね。あんまり付き合いもないようで。」


 キーメン・カ・クジン陸軍大将。知らないな。聞いたことない。いや、クジン?大将?そういえば、バルトが……


「あっ!」


「どうした?なんか思い出したか?」


「あ、いえ。ナンデモアリマセン。」


 怪訝な顔をされたが、他所様のご家庭の事情を勝手に話すわけにはいかない。ここはお口チャックだ。コートさんとジンさんがいないときでよかった。だって、あの二人なら真っ先に気がつくはずだ。


「陸軍は軍部の中でも冒険者ギルドに深い関わりとコネクションを持つ。てより、アレだな。本部に入ってる上位組織はほぼ陸軍の天下りだ。クジン大将はなかなかに苛烈な性格をしてると聞いてるが、また厄介なのが来たら参るなぁ。あ、ショウコ。ギルドへの貢献はこれで夏のアイラン島ダンジョン調査で終わりでいいぞ。あとは年間目標額のためにドンドンダンジョンに潜って、ガンガン稼いでくれ。」


「分かりました。」


 うーん。波乱の予感。

次はいよいよアイラン島に参りますが、

ちょっと更新お休みします

流石に年単位にはならないのでご安心ください、多分

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