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ダンジョンは危険がいっぱいだけど、全部スルーしていきます  作者: 里和ささみ


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Sランクになろう(10)

 なしくずし的にSランク昇格が決定してしまったので、予定にはなかったが夜にバルトに会いに行った。まだ実感がない。


 クロシロはまたもや荒んでる佐山くんに奪われている。


 だけど佐山くんって、シロはともかくクロには、飼い主代理というより兄弟のうちのひとりと思われてるような気がするんだよな。たまに出来の悪いシロを見る目で佐山くんを見ている。本人はにいちゃんを自称しているが、猫の目は雄弁に語るのだ。


「そうか。Sランク、引き受けたか。」


「なんか流れでそうなっちゃって。事後報告でごめんね。」


「いや、仕方ない。コートもそのうちSに上がらざるを得なくなるだろう。クジン大将夫人……ビショ様がいらっしゃる限りは。」


 だろうな。子ども手がかからなくなったら力ある者の責務を果たせ!とか言いそう。キィさんも出張増えたら離れる時間ができてむしろ喜びそう。コートさん、家庭内ストーカーだから。


「ビショさんのこと、バルトもよく知ってるの?」


「あの方は最終兵器淑女と呼ばれて有名な方なんだよ。」


 なんだそれ。確かに合ってるけども。


 でも、所作とかは確かに丁寧で上品だし、淑女というのは頷ける。多分、普段はなるべく庶民的な言葉遣いを意識してるっぽいけど。興奮してくると逆に淑女の顔が出てくる。わたしとは違いすぎて理解はできないけど、そういう環境で育ったが故だよな。いっそうらやましくもある。


「母とも意外に仲が良かった。たまに見舞いに来てくれていたよ。姉弟子だし、たまに私も戦いの手ほどきを受けていた。」


「へえ、そうなんだ。」


 というか、ツッコむのを忘れたけど、クジン大将夫人って言ったよね?鬼人の血筋の元旦那さん、大将なの?ウーフー派で、軍部に所属してるってことしか聞いてない。ジュンさんとキョウちゃんは知ってるんだろうけど、だからこそ話題に出なかった。


「しかし、そうか。ビショ様が。」


「あ、ビショ様っていうのマズイから、もし会ってもビショさんって呼んでね?みんなあの人のこと三十代半ばくらいだと思ってるから。」


 なんで?って顔すんなよ。コートさんやジンさんがあんな感じの対応ならそれより上だと思うじゃん?それでわたしもビショさんって呼んでるから、なんとなくわたしより少し上の三十代なんだろうなって思ってるっぽいんだよ。あの人の思惑通りなんだが。


 バルトはそのうち挨拶に行くと言っていたので、あの二人みたいな拒否反応はない。ビショさんは師匠としてあの二人にはかなり手を焼いたのかもしれない。

 そのうち領司館でお食事でも、という伝言を受け取り、ビショさんも了承してくれた。まあ、せっかくコッティラーノ来たんだから、第一の更新が終わる前に第二以外のダンジョンも見ておきたいとすぐに遠征に行ってしまったので、帰ってきたらになるだろう。道案内を兼ねてキョウちゃんのいるパーティーが一緒に周るそうだ。


 初めて訪れるダンジョンだから、不慣れで足を引っ張るかもしれないけどよろしくね?とビショさんが言うと、微妙な笑顔で頷いたキョウちゃんがボソッと、


「ビショ様だけでウチの隊より強いんだけどね……」


 と言った。個人Sって、ざっくり言うとひとりでAランクパーティー相当の実力ないとダメなんだけど、あの感じだとあの人ひとりでもSランクパーティー相当の実力があるのでは?

 支部のみんなが言うにはコッティラーノだと、バルトやジュンさんがそれに該当するらしい。シロがフローズヴィトニルならばわたしもそういう人外扱いの仲間入りだ。フェンリルのままなら戦力的にギリならない。


 コッティラーノ第一で回収したモンスターの解体と納品が終わるまで、わたしは出張は行けない。かといって、他の領内のダンジョンに行くわけにもいかず、ただただギルドと寮を往復するだけの毎日。

 十日も寝てたもんだから作り置きの料理がなくなったとジュンさんから言われたので、朝イチにハカじいさんのところへ行き、そのまま市場へ買い物に出て、昼休みに合わせて領館に寄ったり、フェイちゃんの食堂に行ったり、普通にショッピングしたりして、午後は出張期間分も含めてストックを作り続けていた。


 いわゆるスローライフとは違うかもしれないが、のんびりした日常だ。まあ、ちょっとした実験というか訓練、いや、練習はしてたけど。暇つぶしに見てたネットの動画(猫)で思いついた、とっておきの秘策である。


 出張ついでにシディーゴに行ったときにカーテン氏に鑑定してもらえるようにバルトに連絡のお願いもした。一人と二匹で車で行くのを若干渋られたけど、マッタさんが本部で年イチであるギルマス会議に行かなくちゃいけないらしくて、結局女二人オス二匹の旅に。


 そうこうしてるうちに、また問題が起きた。


「はぁぁぁぁ!やっぱクロはこのサイズが一番だよ!」


 クロが、ちょっと大きい猫くらいのサイズに戻ってしまった。


「佐山くん、クロ、嫌がってるよ。」


 ぐいーと佐山の顔面を押すが、佐山くんは全く引かずにチュッチュと唇を突き出して愛でようとしている。


 つーか、お前、デカいクロのことベッド代わりにしてただろ。


「しかし、なんでこんなことになったんです?シロみたいにウンコでもしました?今度はなに生み出しました?」


「ウンチはしてない。オシッコ。」


「オシッコ?オシッコでこんな縮みます?」


 それ言ったらシロだって排便だけで骨格まで変わるのおかしいだろうが。


「ジュンさんが、クロのオシッコはポーションだって言ってた。しかも、エリクサーとネクターを混ぜたヤツ。」


「エリクサーとネクターって混ぜるなキケンっていうか、混ぜたら効果打ち消してただのジュースになるヤツですよね?」


「どっちの成分も有効なんだって。ちなみにエルフの妙薬がそんな感じらしいよ。」


「なんスかそれ。ファンタジーが過ぎる。」


 クロはわたしが料理してる間、というかシロもだけど、晴れていれば庭で昼寝をしたり遊んだりしている。最近、やたらと草の成長が早いところがあった。しかも何ヶ所か。クロ、それはマーキングなの?ナワバリ主張してるの?


 それはいいとして。


 草刈りという面倒な仕事も普段からクロのかまいたちでやってくれるのだが、もう夏が近いとはいえそこだけいつも伸び方が異常で、みんななんでだろうねー?と思っていたら、寮の若者がクロの排泄を目撃。ジュンさんがクロのオシッコの染みた土をギルドの鑑定士のところに持ってって成分分析して判明した。


「もしかして、クロのオシッコ、飲む気です?」


「ジュンさんが、万が一のために取っておいた方がいいって。みんな反対してるけど。」


「まあ、高級ブランドの香水にもウンコの成分入ってるくらいだし、俺らの世界にはジャコウネココーヒーなんてのもあるし、命と引き換えならいいんじゃないスか?HPとMPが同時に一気に回復するようなヤツですよね?きっと。」


 HPとMPが何を指してるのか分からないが、魔力も回復すると鑑定結果には書いてあったので、ジュンさんとビショさんは持ってることになった。抵抗ないんか、あの人たちは。エルフの妙薬だからか?


「だから前に言ってた猫用システムトイレ?出して。」


「あ、そーゆー用件。俺、戸川さんにもいいように使われてんなぁ!」


 悪いと思ってるよ。ホント。

シャ◯ルNO.5には動物性由来の香料が含まれています。

佐山くんの言ったコーヒーと同じくジャコウネコの分泌液です。

濃度が高いとくっさいですが、薄めると花の香りになるそうです。

ジャコウネココーヒー〝コピ・ルアク〟(またはコピ・ルアック)は、ジャコウネコにコーヒーの実を食べさせて、腸内発酵で果肉を取り除いたものになります。

もちろん、豆の回収はウンチから取ることになります。

ちなみにジャコウネコはイタチの仲間です。

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