表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは危険がいっぱいだけど、全部スルーしていきます  作者: 里和ささみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/140

ラスボスを倒そう(1)

更新空いてすみません。

これからは週一、二回になると思います。

よろしくお願いします。

 ラスボス戦に当たり、翌朝追加人員が送られて来た。


「やっほ〜!来たよ〜!え、うわ!シロ、でか!!クロもでか!!」


「え、コレ、乗れる?乗れるよな?」


「シロ!シロ!背中乗せてよ!」


 ペイパ隊は呑気なもんだ。緊張感が一気に消え失せた。


「アンタたち、おどき。シロ、伏せ。」


 ジュンさん……私もまだシロに乗ってないよ。ジュンさんはシロに伏せをさせ、横乗りで乗ると「楽でいいわね」と言って降りて来ない。そのまま出発する気らしい。


「このままシロに乗って指導するから借りるわよ。」


「あ、はい。よろしくお願いします。」


 以前もジュンさんに魔法の特訓をしてもらって、クロがいなくてもシロの攻撃の命中率が格段に上がったのだが、今日はラスボスまでの行程を実践訓練をしてくれるようだ。


「バンタン卿、シロを頼みます。クロは私といるように。では、最下層に向けて出発する!」


 テクテクと隠し通路でショートカットをしながら最下層を目指す。低層階のドラゴン系モンスターは殺戮の限りを尽くされ、ささっとマジックバッグに回収されていく。

 ペイパ隊を筆頭とする有望な若者たちが一匹を相手にしている間に、バルトとジュンさんは十体は狩っている。なんなの、この人たち。


 シロはジュンさんのお気に入りのクッションをボロボロにしてお仕置きされてからジュンさんには絶対服従しているので、とてもお行儀がいい。これもある種の駄犬なんだろうか。

 だけどソヨウさんの師匠なだけあって、やっぱりジュンさんって強いんだな。コソアードには協力な治癒師が少ないから治癒師をメインにしてるけど、ソロでもSランクだし、実はコッティラーノ支部では一番強いんじゃなかろうか。名実共に人外だから誰も目標にしないだけだよ、きっと。


 トラップはバルトとジュンさんの物理が無効化していく。アレだわ。シディーゴ第一の魔王様を彷彿とさせるわ。そういやジュンさんの魔法、まともに見たの初めてかも。穴は埋めればいい、岩は砕けばいい、迫り出す壁も押し返せばいいってどういうこと?


「最下層の入り口ってコレなの?」


 キョウちゃんの質問に答えたのはコートさんだった。


「そうみたいだねぇ。トリセツにはアレでしょ?縦穴通路の最下層はヤバめのボスがいるんでしょ?」


「そうらしいです。ホラ、ここ見て。」


 取説係と化した私は若手冒険者たちに該当ページを開いて渡した。


「うぇ〜!オレら足手まといじゃね!?」


「いや、トーイは主戦力に数えてるぞ。ボスをやれりゃあ、個人ランクAだ。」


「まあ、トーイくんはまだAランカーの心構えとか全く出来てないけどね。」


「当たり前ですよ!こんなスピードでランク上がったって心構えなんて出来るわけないです!」


 トーイくんは私と同じことをジンさんに言われたけど気にしてないようだ。開き直っている。そうか。開き直れば良かったのか。


「文句はギルマスに言えよ。」


「マッタさん、本部主導の人事に巻き込まれるの、すごい嫌がってるからね。」


 それは多分、みんな同じ気持ちだと思う。ここまで毛嫌いされる本部職員も気の毒だけど、上の人たちがズブズブしている相手が面倒だ。出来れば元々コッティラーノにいるメンバーで何とかしたい。


「最悪、マッタさんギルマス降ろされるんじゃねえか?」


「あり得るな。」


「よし!じゃあ、マッタさんの残留のために!みんなで力を合わせてがんばろー!!」


 おー!!とコッティラーノ支部所属冒険者は一致団結した。領兵の皆さんも派閥争いは他人事ではないので苦笑している。首都の決定は受け入れざるを得ないのは同じ立場だからな。


 縦穴を落下する。私はジュンさんとシロに相乗りだ。 バルトに名前を呼ばれたが、嫌な予感がしたのでジュンさんの呼びかけの方に行った。


「うわ、毒沼じゃん。」


「うわ、テューポーンじゃん。」


「むむむむむ、無理だろ!?」


「無理じゃねえ、イショ。やるんだよ。」


 そう、殺るしかない。天井の縦穴は閉まってしまった。ボス以外の生物が入ると閉まる仕組みになっている。ボスを倒さない限り、道は開かない。そういう仕組みなんだ。

 わたしたちのいる場所はそれなりのスペースがある。岩壁に沿って弧を描くように平地が出来ていた。そこから伸びる、人ひとりがやっと通れるような真っ直ぐの一本道。その先にまた平地があり、そこにテューポーンがいる。薄暗い洞窟の中で赤い眼が一際美しく輝いている。


「さて、どうする?」


「シロ、通れるぅ?」


「バンタン卿。道を広げて頂けるか?」


「いいけど、それなりに力を使っちゃうわよ。あとバンタン卿って呼ぶのいい加減やめてくれる?」


「かまいません。お願い致します。」


 バルト、ジュンさんって呼ぶのずっと拒んでるんだよな。頑なにも程がある。


「全く、仕方のない子ね。」


 ひらりとシロの背中から降りたジュンさんは腕を突き出すと掌を下に向けた。一本道の両側に岩が出来て道幅が広がった。


「こんなもん?」


「ええ、これで結構。」


 人頭竜尾に羽根のある姿をしたテューポーンの攻略は頭部を落とすこと。あとは毒沼に沈めるかだそうだ。空を飛ぶけど巨体でバランスが悪いから長距離は飛べないし、滞空もそんなに出来ない。何で羽根ついてんの。意味あるのか。


「羽根を落とす。それが第一条件だ。」


「基本だな。」


「頭は常に狙って行く感じ?」


「そうなるな。その上で足元を狙えりゃ尚良しってトコか。」


「手が意外とやっかいだと取説には書いてあります。」


「あー、なんか武器持ってるもんな。」


「アレ、ゴズさんに丁度良さそう!」


「狭いところじゃ使えないだろ。」


「必要に応じてマジックバッグから出しゃいいじゃん。」


「ボス殺るにゃいいけどな。」


「武器の入手に気を取られて負傷しては意味がないぞ。」


「てことだ。あんま期待すんな。つーか、冒険者の基本だぞ?」


「命あっての物種だからね。」


「その辺は間違わないようにな。」


 武器のドロップ狙いで死んだら元も子もない。ボス戦なら取れたらラッキーくらいでいいのかもしれない。


「ショウコは通路の途中で待機だな。回復で離脱するにもここじゃ遠過ぎる。ジュンさん、真ん中よりちょっと向こう寄りに少しスペース作った方がいいんじゃないか?」


「テューポーンの火炎放射の射程距離次第ね。」


「ポーション持ったな?」


「はーい!」


「んじゃ、行くぞ!」


 いよいよボス戦だ。みんな、頑張って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ