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自覚…

大輝と若葉は、いつの間にか

最終学年になっていた。


あれから、大した変化はなく

大輝は、家の中で

変わらない

偽りの生活を続けていた。


母親と、父親と、

普通の関係を保つため。


大輝は、


何も知らなかった時と同じ


何も気付かなかった時と同じ


変わらない生活を心掛けていた。



本当は、気付いているのに

知らないふりをする生活


大輝の心は、徐々に擦り減っていった。



だが、

大輝の頑張りもあって

今の普通を続けられている事も

事実だった。



そんな中、若葉とは

学校でも、家に帰ってからも

一緒にいる時間が増え


楽しい時間を過ごせていた。


明るく元気な若葉と

一緒にいると

嫌な事を忘れられた。



今までの兄弟のような気持ちではない


女の子としての若葉に惹かれていったのだ。



学校で休み時間などに

みんなで話していると


女子達の会話は


好きな人


の話をしていた。


男子は耳を澄ませて聴いていた。


そんな事に興味はない男子も多かったが


意識し始めている男子

耳を澄ませて聴いているのが

わかった。


大輝もその中の一人だった。


きっと

男子から一番人気があるのは


若葉


だと思っていた。


女子達が盛り上がっていて

どんな人がいいとか

こんな人がいいとか

騒いでいた。


とうとう女子の中の一人が

切り出した。


「みんなは好きな人いないの?」


意識している男子は

一気にに集中した。


「いないよぉ」

「わたしは何組の子」

「うちは秘密!」


などと、盛り上がっていた。


とうとう若葉の番が来たのだ。


男子が一気に聞き耳を立てると


「私はまだそう言うのわかんないかなぁ」


と、言っていたのが聞こえた。


男子はみんな

ほっとしたような

がっかりしたような

気持ちなっていた。


大輝も当然

同じような気持ちになっていたが


いつも一緒にいる分

他の男子よりがっかり感は

強かった。 



そんな日々が続き

変わらない日常を過ごしていた。


今のところ、

大輝にとっては、

平和に過ごせていた。


家のストレスは、

若葉と一緒にいる事で

発散されていて


バランスが取れていた。



そのまま年が明け

卒業間近まで近付いたある日、


若葉に告白した男子が現れた。


大輝と若葉は、

地元の中学に進学することになっていたので

一緒に中学生活を送れる。


しかし、

学区が違ったり

中学受験を選んだ男子は、

別の中学になってしまう。


その中の一人が告白をしたらしい。


若葉の答えは、


「良くわからないからごめん。」


だったらしいが


「別な中学に行ってもみんなで遊ぼぉ!」


と、言って

気にしていない様子だったらしい。


断られた男子も

まだチャンスがあると思えたらしく


「休みがあったら、遊びにいくよ!」


と、諦めていない感じだったと

女子の話を盗み聞きした。


それから若葉は、

卒業までの期間に

何人かの男子に告白をされたらしい。


全員断られてはいたらしいが

諦めていない感じだった。



そして卒業式を迎えた。


卒業式の日も告白をされたらしいが

いつも通りの若葉だった。


卒業式も終わり

その日は、久しぶりに

家族で過ごせた。



春休みに入り、

若葉が遊びに誘ってくれた。


その時に

若葉に聞いてみた。


若葉は気にする事なく

告白された事など言っていた。


気持ちがモヤモヤした。

嫉妬していたのだ。


「僕が一番一緒にいるのに…

男友達としか見られていないのかな…?」


大輝は、この時初めて自分が



「若葉を好きなんだ」



と、自覚したのだ。







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