表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/68

着替え



 レジナルド王が案内してくれた部屋は、非常にキラキラした贅沢な部屋だった。

足首まで埋まるやわらかな濃紺の絨毯。

壁紙も、家具も、白地に、金色で模様が彫られ、ベルサイユ宮殿かとつっこみたくなる豪華さ。

部屋の表面には、大きなガラス窓があり、シフォン生地のカーテンが、両脇に寄せられ、外が見えるようになっている。


「ドルチェ。レーテ。」


 国王が、部屋の中で、控えていた揃いのお仕着せをきた若い女性に呼びかければ、彼女たちが頭をやや下げたまま、私の前に来て、膝をかがめて、お辞儀をする。


「御身の世話をさせていただくメイドです。ドルチェと、レーテ。まずは、お召替えください。その後で、また、お話させてください。では、一度、私は、退室させていただきます。」


 レジナルド王が、私の手に、うやうやしく、軽く口づけして、退室していく。

 私の顔は、真っ赤だ。

 ・・・て。て、て、手にキスされた!!!うそでしょー!!!!!


「神の御使い様。」


 丁寧に呼ばれて、あわてて、ドルチェとレーテの方を向く。


「神の御使い様、お召し変えを手伝わせていただけますでしょうか。」

「あの。私、神崎友里子と言います!ゆりこ、と名前を呼んでいただけませんか?そもそも、私、神の御使いじゃないですし!」


 怪訝そうに、ドルチェとレーテが、お互いの顔を見合わせていたけれど、軽くうなずきあうと、


「ユ、ユゥリコ様、でございますね。承知しました。では、ユゥリ・・・ィコ様、どうぞ、こちらへ。」


 ちょっと、名前が言いづらそうだ。決して、私の顔を直視しないように、視線をずらしながら、彼女たちは、私を、隣の部屋に連れていく。

そこは、クローゼットルームになっていて、豪華なドレスの山が、天井のシャンデリアの七色の光を反射して、美しく輝いていた。


 何これ?と立ち尽くしていたら、ドルチェとレーテは、着替えさせるのに慣れているのだろう、あっという間もなく、私の洋服を脱がせ、一糸まとわぬ姿にされる。


「え?え?あの!返して!?」

「申し訳ございませんが、じっとしていてくださいませ。御身に合ったドレスを選ばねばなりませんから。」


 抵抗むなしく、ドルチェとレーテが、協力して、私が動かないようにする役と、紐でサイズを測る役に分かれて、手際よく、各部のサイズを、手帳に書き込んでいく。


「ユ・・ゥリコ様のサイズに合いますドレスは・・・。」


 次々と私の前に、ドレスが持ってこられて、好きなものを選んでほしいと言われる。

元々、着ていた服を返してほしかったけれど、周囲に見当たらない。

渋々、なるべく、動きやすそうで、装飾も少なめの、紺色のドレスを選べば、まずはこの世界の下着を着せられ、それから、ドレスを着せてくれる。

コルセットを絞められる世界かと思ったけれど、コルセットは無し。ほっとした。

首飾りなどのアクセサリーも選ぶように言われたけれど、頑なに辞退させてもらった。


「国王陛下が、お茶を用意して、お待ちになっておられます。その部屋までご案内いたします。」


 ドルチェとレーテが頭を下げて、私についてくるようにと促し、彼女たちの後ろから、廊下に出た。


 それにしても、不思議だ。日本語ではない言語なのに、普通に会話ができる。なぜだろう?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ