表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/159

16.アリエルと今日の予定

「おはようございます、アリエル様」

「げっ……」


 朝食のためにダイニングへとやって来たアリエルさん。

 私の顔を見るや否や顔を歪めた。

 不機嫌そうな顔は昨日と同じだけど、今は格好が寝間着姿の白いワンピースなので柔らかく感じられる。


「あのアリエル様」

「んだよ話しかけんなっ!」

「今日のご予定は」

「なんでお前に言わなきゃいけねぇんだ!」


 朝からこの様子である。

 昨日もずっと怒っていたというか不機嫌だったけど、疲れないのかな?

 アリエルさんはガシガシと髪を掻いた。


「朝っぱらから気分わりぃなぁ」

「え、体調不良ですか?」

「お前のせいだよっ!」


 舌打ちをされてしまった。

 そしてアリエルさんは昨日の晩ご飯のときと同様、踵を返す。そんなに私と一緒にご飯を食べたくないのか。


「アリエル様」

「うるせぇ!」


 アリエルさんがまさにダイニングから出ようとしたタイミングで、ティナさんがキッチンから戻ってきた。

 温め直してくれた私の朝ごはんをお盆に乗せて持ってきてくれる。

 ティナさんはすぐにアリエルさんがやって来ていることに気づいた。私にご飯の配膳をしつつ、アリエルさんに話しかける。


「アリエル様、おはようございます」

「あぁ、おはようティナ」

「朝ごはんはよろしいのですか?」

「後で食う」

「そうですか……」


 改めてアリエルさんは扉を開けて出ていこうとする。次の瞬間。

 きゅるる、と可愛らしいお腹の虫が鳴いたのが聞こえた。

 私じゃない。ティナさんでもない。ということは。

 アリエルさんを見る。こっちに振り向いたアリエルさんはわずかに頬を染めていた。目つきを鋭くさせる。


「んだよ」

「いや、なんでも。ただ可愛らしいな、と思って」

「ッ!? かっ、可愛いって言うな!」


 顔を真っ赤にさせて言うアリエルさん。

 ギャップのと言うのか、微笑ましく見つめていたら朱に染まった顔のままキレられた。

 

「なんだよ悪いのかよ!」

「私は何も……」

「こっち見んな!」

「アリエル様、落ち着いてください。朝食の用意を致しますね?」

「ティナもあいつの味方をすんのか?」

「そうではありませんが……腹が減ってはなんとやら、と言いますし」

「……わかったよ」


 さすがのアリエルさんも空腹には耐えられなかったようで、ため息を吐いた。


「言っておくけどな、オレは腹が減っただけだからな! お前となんて一緒にいたくねぇんだ! 二度とないと思え!」


 私に指を差しながら言って、アリエルさんは私と一番遠い対角線上の席に座った。

 ティナさんの移動する距離が増えるから大変そうだ。

 だけどもちろんティナさんは文句ひとつ言わずに、アリエルさんに配膳をする。


「アリエル様」

「話しかけんなって言ってんだろ」

「本日のご予定は」

「知らん!」

「何か依頼をなさるのであれば、私もご同行しますね」

「勝手にし――はぁ!?」

 

 アリエルさんが驚きに満ちた顔を私に向ける。


「お前、ふざけんな!」

「自分で言うのもなんですけど、私、役に立ちますよ?」

「いらん! 絶対来るな!」


 何やら拒絶をされたけど、気にしない。

 これは昨日から決めていた決定事項である。

 私はアリエルさんに、ただニッコリと微笑むにとどめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ