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旅日記  作者: クスクリ
12/32

2011年GW・奈良和歌山宮島旅行Ⅶ

 山陽道を廿日市ICで下りて国道2号線に入ったら思った通り渋滞に捕まった。

――待てよ、ナビで宮島まで検索したら当然フェリーで車ごと渡るようにルート案内するよな。冗談じゃねぇ。デリカで渡る訳ねぇやないか。バカ高ぇ!宮島口に車停めて徒歩で乗るくさ。

このゴールデンウィーク、簡単に駐車場が探せるとは思っていない。宮島競艇の看板に駐車無料とは書いてあるが、宮島が初めての俺には地理が不案内だ。ここは正攻法で駐車したが良い。みんな左折して広電の踏切を渡る。俺も釣られてみた。踏切の手前に駐車場があってちょうど1台出て、数台前の車が待ってましたとばかり入って行く。この時はそう残念には思わなかった。まだ現実を見てなかったから。


それにしても車が多い。フェリー宮島口通りの駐車場はすべて満車だった。といって空くまで止まって待つ訳にも行かない。後ろが詰まって前に進ませられる。2号線の手前の交差点で駐車場整理係が駐車場があるから右に曲がれと指示する。

――なんてや、国道の左手はJRやで、有るわけねぇやねぇか。

俺は左折して直ぐのコンビニに車を入れたが、ここに停める訳にもいかないようだ。

「くそっ!今日は諦めや。帰るぞ」

「私はいいよ。行ったことあるけん」

――ちっ、悔しいな。


俺はさっきの踏切の手前の路側帯にデリカを停めて一服する。

「もう一回挑戦してみっか」

やっぱり満車だ。今度は素直に右折した。

――そう言えばさっきオヤジが辻に立っとったな。指示通り左折して矢印に従ってJRの踏切を渡る。あったぁ!急設の駐車場だ。

「何かこげなことやったんか」

徒歩だったら地下道を通ればフェリー宮島口通りに出る。フェリーの運賃は障害者割引が効いた。15分おきに出るフェリーが観光客で一杯だ。俺ら家族は二階に上がって船縁に取りつく。空いたベンチはない。沖で競艇のボートが練習している。宮島に向けて携帯で写真を一枚、このGW、かなり遠くから来たらしい女性二人連れの会話が耳に入ってきて興味深い。


フェリーが着くと桟橋が人で溢れる。通路の真ん中にロープが張ってあって、入ってきた人数分だけ出て行くようでバランスがとれている。

宮島ターミナルを出て最初に目についたのはもみじ饅頭店、本家本元の味はやっぱり違うんだろうとバラで三個買って味見、テーブル横に灰皿がある。しまったぁ!煙草をデリカに忘れて来てしまった。まぁいいか。別に喫いたくて堪らないと言う訳じゃない。

海岸沿いを厳島神社に向かって歩く。宮島は野鹿で有名だが、奈良公園ほど個体数は多くない。それでも珍しいのだろう、観光客が大人しく地面に腹をつけて休んでいる鹿と記念写真を撮っている。砂地の参道は雨で若干湿っていたが、この陽気ならすぐ乾いてしまいそうだ。

教科書に載った有名所でまだ行ったことのなかった大阪城、石舞台古墳、大仙陵古墳は3年前踏破?した。そして今俺は厳島神社に居る。


俺らは上手いことに引き潮に当たったようだ。朱塗りの大鳥居に人が群がっている。俺でも行けそうだったが、左足が濡れそうだったので大鳥居をバックにちゃん(息子)に携帯で写真を撮らせて満足する。

さぁいよいよ厳島神社の朱塗りの社殿の廻廊に足を踏み入れる。さすがにここを歩くなら潮が満ちていた方が趣がある。辺りに注意深く目を配りながらゆっくりと歩を進めると、栄華を極めた平家の在りし日が偲ばれる。

いつものようにもたつく俺に業を煮やした嫁とちゃんはさっさと先に行ってしまう。俺の先でヤンキー娘がはしゃいでいた。対面の回廊でカメラを構えて待つ友達に色々とポーズをとっている。若い娘たちに世界遺産の厳島神社は似合わない気もするが、GWにわざわざやって来るということは彼女たちもやっぱり日本人なんだな。

回廊の海に突き出た突端は若い恋人達の記念撮影の絶好のポイントになっていた。朱塗りの大鳥居をバックに自然発生的に互いに写真を撮り合っている。何とも微笑ましいし、羨ましい。

回廊を出て直ぐの食堂で昼食をとって参道を戻る。GWでこれだけの人出だ。平日でもまずまずの賑わいなんだろう。厳島神社がある限り観光客が絶えることはない。この食堂がいつ頃からあるかは分からないが、ここに店があるというだけで子々孫々食べていける。先祖の恩恵とはまさにこのような環境だろう。

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