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起きたらそこにいた。成り行きで契約した。

書いているうちに、路線が変わりまくってぐちゃぐちゃに。


まあいい。つきすすむ。


―――――――およそ五時間後。



 ドウシテコウナッタ…………


 露店のおっちゃんとの話は思いのほか上手くいった。少しばかりの募金も行ったが、おっちゃんは美人と話せるし、俺は逃げられるというウィンウィンな取引だった。


 その後、彼女に遭遇しないように気を付けながら家に帰り、夜の約束の時間まで寝ていたのだが…………起きたら部屋の中に置いてある椅子に、件の女騎士が座り込み、ベッドに寝そべっている自分を見下ろしていた。格好は、先程までの鎧姿ではなく、フォーマルなものに変わっている。


 ………………ホラーかよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!



「おはよう(にこっ)」


「お、おう(ガクガクブルブル)」



 室内には灯りをつけていないために暗く、それがさらに恐怖を煽る。なぜ俺の家を知っているのだろうかとか、どうやって中に入ったのかとか、色々と問いたいことはあるが、とりあえずベッドから起き上がり、すぐそばに備え付けられているランプに火を灯した。


 部屋が明るくなると、少しは心が落ち着いた。一度深呼吸をした後に、改めて椅子に座ったまま居座っている彼女に向き合う。


 すると、俺が何かを言うよりも先に、彼女が話始めた。



「ネタ晴らしすると、あの時貴方の言っている事が嘘であると、初めからわかっていた。貴方がどのような人間なのかは、住んでいる場所も含めて、事前に情報を集めていたからな」



 なん……だと……?



「そしてあの時、貴方の嘘を聞きながら、私は考えた。敢えて引っかかったふりをして油断させ、確実に逃がすことないように、今この瞬間を狙わせてもらった」


「……この部屋にはどうやって入った? 鍵はかけておいたはずだ」



 俺が住んでいるのは、『ヘッドバッドコミュー』という奇妙な名前の宿の一室だ。主人のネーミングセンスの悪さとは裏腹に、防犯に気を使っており、部屋の鍵は盗賊も逃げ出すような複雑なつくりをしているらしい(仕組みは知らないが)。そんな俺の部屋にいる時点でだいぶおかしい。



「なんだ。そんなことか。それならば簡単だ。」



 彼女はこれを見ろ、と一枚の紙を見せてきた。そこには、細々とした文字がずらりと並んでいるその上に、『権利書』という文字が、書かれている。



「この宿屋は、私のこの街での拠点として、当家で買い取らせていただいた。そして、すべての部屋の鍵は、今は私が握っている。もちろん私自身は経営のノウハウなどは無いので、主人には引き続き、管理をお願いしているので、私はオーナーという立場になっただけだがな」



 この女、無茶苦茶だ……。更に関わりたくなくなってきた。



「お前が、この宿を買い取ったのは分かった。だが、俺がお前の頼みを聞くかどうかは、別問題だ。宿を盾に脅してくるなら、別の所に移るだけのことだ。」


「む……君はここまでしても首を縦に振ってくれないのか? 確かに少々強引だとは思ったが、これが一番手っ取り早い方法だと思ったのに……」



 彼女はここにきて、これまでの余裕を無くした表情に変わった。というか、見間違いでは無ければ、瞳が潤んできている。不味い……こんなに打たれ弱いとは予想外だった……!!



「まて、()()は辞めろ! 落ち着くんだ、一度深呼吸をしろ!」



 だが、すでに彼女の瞳には涙が溜まり始めている上に、体まで震わせてきている。



「だって……これが最後の手段だったのだ……ここまでやって落ちない男はいないと、セリナが言っていたのに……」



 セリナって誰だよ!! てか、元凶はそいつかーー!!

 

 そしてついに、彼女の涙腺が崩壊した。



「…………っ……グスッ……グスッ…っ…!…………」



 その瞬間、胸を締め付けられるような強い痛みが俺を襲う。



「グッ!?」



 やばい、やっぱりまだ()()()()()のかっ! 


 最近では、中々発動することのなかったから、油断していた。ここままじゃ、『アレ』が来てしまうっ!?


 そんな俺の心情を知る由もない彼女のすすり泣く声はどんどん大きくなり、先程までの凛とした表情はどこへ行ったのか、顔もくしゃくしゃにして泣き崩れる。それを見た瞬間。



 もう限界だっ!!



 俺は、スッと彼女の細い腰を抱き寄せた。そのまま彼女の頭を自分の胸に抱え込み、優しく頭を撫でる。


 抱きせられた瞬間はビクッとした彼女だったが、頭を撫でているうちに、肩の力が抜けていて、更に密着度が増した。熱くて、柔らかい彼女の感触に、心の奥底から愛おしさが溢れる。


 そのあと、彼女が無き止んだことを感じ取った俺は、彼女の頭を押し付けていた自分の胸からゆっくりと放す。



「落ち着いたかい? 僕のお姫様。さぁ早く僕に花のように可憐でまぶしい笑顔を見せておくれ」



 と、キザなことを言いながら、彼女の目元に残っていた涙を、人差し指でそっとすくい上げた俺。自分でやっておきながら、鳥肌が立ちそうだ。この状態になった俺の体は、全く俺の言うことを聞いてくれない。



「……君、いつもと様子が……」



 俺を見上げる女騎士も、何が何だかわからないまま、なされるがままになっていたが、流石に様子がおかしいのには気づいたようだ。



「これが僕の本心さ。君の涙には耐えられないし、悲しい顔なんて見たくない。そのためならば、僕は君の頼みなどいくらでも聞いてあげる。君の望みならば、地獄でも付き合おう。」



 あああああああああぁぁぁ!! 言っちまった!! こうなるから、嫌だったんだ!! こいつがこんなに涙脆かったなんて、わかるか畜生おおおおお!!



「そうなのかっ! その言葉は嘘では無いな!? 言質はとった。もう引っ込められないぞ!? 嘘だったらレイピア千本だからな!?」



 そこは普通、レイピアじゃ無くて、針じゃね? …………じゃなくて! 早く終わってくれーーーー!



「あぁもちろんさ。愛しのマイレディ。生涯にわたって君を守るよ」



 そういいながら、彼女の額に口づけをする。その瞬間……


 部屋の中に魔力が吹き荒れる。その魔力は俺と彼女の双方から噴出されている。そして、その魔力は次第に混ざりあい、俺の右手と、彼女の左手に収束し、それぞれの手の甲に、朱い紋章を残して消えた。


 それは、最上級の契約の証。もしも契約者がその約定を違えた場合、紋章が黒く染まり、死に至るというもので、古くから奴隷を従わせるために使われている。



「っ!? 戻った!」


 やっと体に自由が戻り、すぐに体ごと彼女から離れる。しかし、手遅れだったようだ。既に契約は成されている。



「……な……なんだったんだ、今のは。 それに愛しいとか、守るとか……」



 目の前にいる彼女は、数秒何が起こったかと固まっていたが、次第に顔を真っ赤に染め、オロオロしだした。こちらを見つめる真っ赤な瞳からは、説明を求める視線が送られてくる。


 まさか、こんなことになってしまうとは、出会ったあの時には想像もつかなかった。さて、どうしたものか。


 俺は、自分の平穏な生活が崩れ去ってしまったことを悟っていた。

 




女の涙を見たら人格変わるとか、書いた後でア〇アの金〇君をとかぶってるかも、と思ったけど、まあいいや。


そのままつきすすむ。

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