5話 『yellow tulip』 1-1
※本筋とあまり関係ないので飛ばしても大丈夫な回です!
お久しぶりです。ずっとモンハンやって遅れてました。申し訳ないです。
今回は書きたい物を書いた(?)感じです。よろしくお願いします。
20190831、ちょっと(大幅?)変えております。
ある日の学校の帰り、神田緋桜と吉田優は一緒に下校していた。
「でさ、義人まだ一緒にプリクラ撮ってくれないんだよ。」
「抵抗はそりゃあるよな。」
「アイツが過ごして来た世界には無かったもんだったとは思うけど、あんなに可愛いんだから写真に残したいなあ...。」
優はそう言って悔しがる。
「お前みたいなテンプレリア充に迫られたらそりゃ照れるわなあ。」
「他の女子は喜ぶのに。」
「あのな、義人は女子歴1ヶ月未満だぞ?中身はまだ男だからあんまりイジるなよ。」
「...嫌われたくねえ。」
「慣れてないだけだよ。義人の奴だって嬉しくないはずは無いだろうし。」
「そ、そうだよな。よし、次は少し控えめにアプローチしよう。」
「ハハ、頑張れや。」
(ふー......。)
緋桜は忙しない優を見ながら一息つく。
(いつからだっけな...。俺がこいつを好きになっちゃったの。)
「何ぼーっとしてんだ?早く行こうぜ。」
「幸せそうだと思ってな。」
「当たり前よお!...好きな人がいるってのはいいもんだぞ。」
(そうだよ。俺も今が幸せだよ。)
(中学の時から変わらない。目を輝かせて人生を突き進むお前が本当に眩しかった。)
「やっぱり、女の子扱いはまだダメなのかな。」
「嫌がると思うぞ。」
「だ、だよな。なんか、プレゼントとかしたいな!」
「よせよせ。あいつ、理由ないとプレゼントなんて受け取らないタイプだろ?」
「あー、アイツ、変に遠慮がちになるとこあるよなあ。」
(最初は憧れからだったんだ。でも話して、仲良くなるうちに、いつの間にか好きになってた。...いや、好きじゃないかもしれない。そう、思い込んでるだけかもしれない。)
「俺、こんなに誰かの事だけを考えるの初めてでさ。緋桜、お前みたいな親友が居てくれて本当に助かるよ。...やっぱり、持つべきものは友、ってな!」
「よせよ。何を今更。中学からの仲だろ。」
「それに感謝してんだろ!俺みたいなやつに3年以上付き合ってくれてんだからよ!」
そう言って優は緋桜の肩に勢いよく腕をかける。
「っおい!勢いつええんだよ!ちょっと痛かったぞ!」
「はは!悪い悪い!」
「まったく...。」
(...やっぱり、俺はこいつの事が好きなんだろうな...。でも。)
緋桜は優にされたように、助走をつけて優の肩に腕をかける。
「こんだけ相談に乗ってやったんだ。破局だ何だなんてなったら殴り飛ばすからな!」
「おう!親友になら殴られる!」
「言ったな?後悔すんなよ~!」
「絶対に結ばれてみせる!うおお!」
(......諦めろ。義人は女になって、俺は男。優が男に告白されて嬉しい訳ない。諦めろ。諦めが肝心だ。)
「...幸せになってくれよ。俺の分まで。」
「?なんか、言ったか?」
「いんや、何も。」
(そうさ。俺の恋心ってヤツぐらいで優が幸せになるならいいじゃないか。)
「そうか、俺は今まで恋愛に対してなんの苦労もして来なかった。そのツケを払う時って事か。」
「分からないけど、そんなところだ。」
「ありがとな。緋桜。」
「この位なら、何度でも相談に乗ってやるよ。」
優の屈託のない笑顔に、緋桜も笑顔で返す。
(ああ、胸が、痛い。)
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「ただいま......って、誰も居ないよな。」
一等地に建つファミリー向け一軒家には、今は緋桜1人しか居ない。
両親は今日も仕事だろう。緋桜はリビングルーム、黒柿のテーブルにメモと共に置かれた紙幣を無視して2階の自室に向かう。
「うっ、ふう...。」
自室に入り、倒れ込むようにベッドに転がる。
ふとスマホのメッセージアプリを立ち上げ、義人とのトーク画面を開く。ぼーっとしながら画面のキーボードを操作する。
『ズルい』
(なんてな。)
送信はせず、黙って文字を消去する。
(アイツと俺、何が違ったんだろ。)
腕を額に乗せて考えてみる。
(義人には悪いけど、羨ましいな。)
ベッドの上で蹲る。
(優は男で、義人は女。だから優が義人を愛しても何も問題は無いんだ。俺も女になれたら...優に...。)
「あれ...。」
涙がつつ、と頬を伝って落ちる。
「俺、まだ泣けるんだ...。」
お読みいただきありがとうございます。一応、決して同性愛を馬鹿にする様な考えは無いことを断言しておきます。
感想レビュー等、お待ちしております。