4話 『デートですよコイツはァ』1-2
遅くなりました。少し短めですが今回もよろしくお願いします。
※4000pv突破していました。ありがとうございます。
吉田優は待ち合わせ場所の駅で義人を待っていた。
(義人の奴遅いな...。何してんだ...?)
人通りの多い所で立っていると、たまに声を掛けられる。その多くはもっぱら若い女性で、内容はモデルさんですか?とか一人ですか?とか。
あまりそういうのは好きではないが、こうして待ち合わせで遅れられると
「あっ、吉田先輩!」
「吉田先輩だ~!」
必然的に、声を掛けられる回数も多くなる。
「ん?誰?」
「1年の間田です!」
「あ、天利です!吉田先輩は彼女さんでも待ってるんですかぁ?」
「友達だよ。」
(少し前までならここで口説いて適当に遊んでポイだったけど、今はそんな余裕無いな...。)
「友達って女の子ですか?」
「......そうだよ。」
「会ってみたーい!」
(めんどくさいなあ...。可愛くもねえクセに失礼な奴だ...。俺のテンション見て気付けないのか...?)
(やっぱり吉田先輩カッコイイなあ~!)
(友達って絶対彼女だよね...!カワイイのかな?)
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(うおおおおぉ!!寝坊したああああ!!!)
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「うっ...朝か...やべー今何時だ?」
眠い瞼を擦りながら枕元に置いてあったスマートフォンで時間を確認する。
(10時......40分。)
「っだあああ!お母さん!?居ない!」
急いで着る服を持って下に降りるも、そこに母の姿は無い。
『明日の朝お母さん出掛けるから。あんたも出かけるなら鍵忘れないでね。』
『おっけ。わかった。』
(そうでしたねーーーーーッ!ヤバいブラの付け方分からん!無しは流石にダメか...!?)
「とりあえず風呂入ろ...。」
軽くシャワーを浴び、出て着替えようとした所で動作が止まる。
「あれっ?こんな難しかったっけ?母さんはぱっぱとやってたのにい。」
スマートフォンで調べ、少し苦戦した後ようやくブラジャーを着ることに成功する。
「ヤバいヤバい!優にドヤされるぞこりゃ~。」
急いで家を飛び出し、地下鉄に乗る。待ち合わせの駅は2個先とは言え既に遅刻しているので急がなくてはならない。
「やっと着いたあ~。電話来なかったけど帰ってねえよなアイツ...?」
待ち合わせの場所を見ると、そこにはローテーションの優が座っていた。
(気合い入ってんなアイツ~。ん?誰かと話してる...?)
優は座ったまま二人の女性と話していた。見たところ、自分より年下だろうか。
(優のあの顔...かなりイライラしてる時の顔だな...。やっぱ遅れてるから怒ってんのかな~...。)
「お、お待たせ優!遅刻してごめん!」
「大丈夫。今来たと...こ!?」
優は義人の声を聞いた途端、服を整えつつ笑顔で立ち上がる。だが、義人を見て口を押さえる。
「か...」
「か?」
「可愛い!いや~写真よりずっと可愛い!可愛い!」
「そ、そうかな?恥ずかしいけど、似合ってるなら良かった。」
優は義人をめちゃくちゃに褒めちぎる。何故か語彙力が消えているかは気になったが、両方とも変なテンションになっていてそこには気が向かなかった。
「あ~!この人が吉田先輩の彼女さんですかぁ?」
優と話していた明るそうな女子の一人が義人に話し掛けてくる。
「優、この子達は知り合い?」
「ウチの学校の1年らしい。知らんヤツ。」
「先輩私達に冷たくないですか??このカチューシャとか褒めて下さいよ~。」
「好みじゃねえ。」
「あ、私間田って言います!」
優はアピールをしてくる間田と言う女子を冷たくあしらう。
「わたし、天利って言います!ホントに可愛い~!綺麗なブロンドヘアーですね~!ハーフなんですか??」
「もっ、元々だよ。あと、彼女じゃないから!」
「ええ~?休みの日に可愛い服着て二人で待ち合わせはデートじゃないですか~!」
「美男美女カップル~!」
(めんどくせぇぇぇぇ!!うぜえええええ!俺の苦手なタイプだあああ!)
「まだ付き合ってねえよ。義人、行こうぜ。」
「『まだ』ですか~!応援してます吉田先輩~!」
「それではまた学校で~!」
間田と天利は手を振りながら駅から立ち去る。わずか数分だったが、ゲームセンターで何時間か耐久したばりの疲労だった気がした。
「な、なんなんだアイツら...。」
「なんかゴメンな。さっさと追い払えば良かった。」
「俺の方こそ遅れてゴメン。にしてもアイツら俺が来た時からやけにニヤニヤしてたけど、一体なんなんだ...?」
「全く...だっ!?」
優は義人の方に向き直った瞬間、赤面して顔を背ける。
「え!?いきなりどうしたんだよ優!」
「バカ!こっち寄るな!」
「俺、なんかした?」
「その、ブ...ブラが透けてる...。」
「え?......あ...あらー...。」
結果、どちらも顔を赤くして立ち尽くしてしまう。すると、すぐに優が自分のコートを義人に掛ける。
「とりあえず、それ着てろよ。どっかで肌着だけ買おう。」
「...ありがと。朝急ぎすぎて気付かなかったなあ...!」
「黒...。」
「ん?」
「白のブラウスに黒って...大胆、だな...。」
「やかましい!!急いでてそこまで気が回らなかったんだよー!」
「まあ先に服買うか。その後にメシかな?それでいい?」
「おっけー。」
まずは肌着を買う為近くの服屋に寄る事にしたが、ここに来るまでのことを思い返して改めて赤面する義人だった。
(俺ブラ透けたまま来たのか~!やべぇ...さっきの女子のニヤニヤはこれかぁ...。)
だが、すました顔をしている優も内心では顔に出るのを必死に隠していた。
(やっべえ...!めっちゃエロかった...。さっき見た感じ、義人結構胸大きいのな...ブラウス脱がして見てえ...。)
「優...?」
「...えっ?いや、良い物見れたなって...。その...良かった...。」
「それは忘れろー!」
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