4話 『デートですよコイツはァ』1-1
※3000pv超えました。ありがとうございます。
遅くなりました。短めですがよろしくお願いします。
「母さーん。」
「何?」
ある日の土曜日、母にしか頼めない事を頼むべく彼女を捕まえる。
「今から洋服とか買いに行きたいんだけど...連れてってくれない?」
「勿論OKよ!ようやくみっともない服装から抜け出す気になったのね!」
「みっともないって酷くない...?ファッションなんて気にした事無かっただけですー。」
17年生きて来て自分の服装がダサいか否かなんて、イケメンでもないのに考えた事なんて無かった。だからこそ、今回母の手を借りようと考えた。
(優の私服めちゃくちゃカッコイイけどアレは顔がいいからだな...うん。)
「でもなんで私に頼むの?スカートとか穿かせるのよ?」
「自分で言うのも恥ずかしいけど、俺なかなか制服とか似合うからさ。せっかくこの姿なら色々着てみたいと思ったんだ。」
「優くんに見せたいの?」
「なんで優が出てくるのさ!」
「違うの?」
(間違ってはいないのかなあ...?ちょっと違う気もするけど。)
「明日の日曜、優と一緒に遊ぶからさ。流石に俺の普段着じゃあ駄目だと思っただけ。」
「やっぱり合ってたのね~。それじゃあ行きましょうか。」
「待って!」
「ん?」
俺と母の話を聞いたのか、同じく休みの妹がリビングに降りてくる。
「明日優くんとデートなの!?」
「なっ、なんでデート?」
「男と女が休日に二人だけで過ごすなんてデートじゃないの!お兄ちゃん、優くんと付き合ってるの!?」
「それ、私も気になるわ。どうなの義人?」
「なんで母さんまで!」
「どうなの!」
(いつかはこうなると思ってたけど...。)
「実は...優にその...告白されて...。」
「あら~。」
「ええっ!?へ、返事はなんて言ったの!?」
「まだ保留だよ!」
聖子は肩を落とし項垂れる。
「優くん...お兄ちゃんの事好きになっちゃったんだ...。」
「そ、その、気を落とすなよ...。」
「お兄ちゃん、私より可愛いもんね。うん...私もお兄ちゃんの洋服選びに行くよ!」
「と、突然だな?」
聖子は眼はギラついたハンターの目をしていた。
「お兄ちゃんの弱点を探るの!お兄ちゃんが似合わない服で優くんを落とすの!」
「纏まったわね!行くわよ!」
「あ、車は?」
「準備OKよ!」
母はいつの間にか父の車のキーを持っていた。
「大丈夫なの?えっと、ベンツだっけ?父さんかなり大事にしてるんでしょ?」
「遊輔さんが昼近くまで寝てるのが悪いのよ...。」
「良いんだろうか...。」
「さあ、出発よ!」
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「義人!こういうのどうかしら?似合うと思うわ~!」
「露出が多いよ!それに脚も結構出るし...!」
母に試着させられたのは肩を出すタイプのチュニックに、マイクロミニスカートという組み合わせ。
(そこまで自信があるわけじゃないしい...!)
「こんなのも似合うのかな?」
「これは...キレイ系って感じだな。でもこの首輪みたいなのちょっと気になるなー。」
「首輪言うな!チョーカーよ!」
聖子の提案したのはVネックにフィッシュテールスカート。そしてアクセントにチョーカー。
(確かに、ダサくは無い!寧ろ、いいライン行ってるのでは...?)
「どっちにする?」
「お兄ちゃん、どっちが優くん喜ぶと思う?」
「あ、実は俺も、少し希望がありまして...。」
「「ん?」」
結果、母と妹が俺の『出来るだけ普通な物を』という希望に沿ってくれた結果、白のブラウスに黒と白のストライプ柄のフレアスカートという組み合わせになった。
「悔しいけど可愛いわ...!」
「自撮りしましょ自撮り!」
「えっえっ?こ、こう、かな...?」
「優くんに送っちゃいなさいよ~。」
「や、やだよ!」
「ぶっつけ本番で行くより、ちょっと慣れてもらったほうが良いでしょ~?」
「そ、そうなのかな?」
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「ん?義人からなんだ...?」
昼過ぎにようやく起き、まだ眠い目を擦りながらメッセージアプリで送信された画像を開く。
「ッッッッッッ!...可愛いすぎかよ...。」
送られてきていたのはお世辞にも上手いとは言えない自撮り写真だった。だが、慣れない事というのを分かってやっているであろう義人の照れた顔は、ぎこちないピースサインも相まって絶妙な可愛らしさがあった。
「優、今起きたのか。ん?なんだ、出かけるのか?」
「少し、服を買いに。」
「お前が服を買うなんて珍しいな。また新しい彼女か?」
「いや...」
「ん?」
「好きな女の子を落とす為の勝負服を買いに行きます...!」
そのまま何か引き締まった表情のまま出ていく息子を横目で見ながら、優の父親はコーヒーをひと口飲む。
「優の初恋か...。相手はどんな凄い子なんだろうか...。見てみたいもんだ...。」
続きも来週近くには更新します。
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