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3話 『三条家邸へ行こう!』

更新遅れてすいません。今回もよろしくお願いします。


2000pv越えとブックマークありがとうございます。良い励みになります。

酒井先輩の告白からの脅迫のコンボがあった次の日から、俺は1、2、3年の男子生徒から次々と告白された。当たり前だがあの一件のせいで、俺は軽い男性(特に高校男子。)恐怖症になってしまい、優の付き添いが必須になった。

必然的に俺の心は何か、『癒し』となる物を必要としていた。


「莉々愛さんさあ...。」

「なに?」


放課後自分のクラスでいつもの四人で暇を潰している時、俺はふと莉々愛さんの名前を口に出してみる。


「今日、お家行ってもいい...?」

「ふぇっ!ホントっ!?う、うん!全然いいよ!」

「なんだと!?莉々愛の家なら俺も行くぞ!」

「え?なに?じゃあ俺も行く!」


莉々愛さんのOKを皮切りに、矢継ぎ早に優と緋桜も行きたいと言い出す。


「えへへ...友達をお家に呼ぶの何年ぶりかなあ...。待って、運転手さんに電話するね。」


そう言い、莉々愛さんはスマートフォンをポケットから取り出して『運転手さん』と呼ばれた誰かに電話をかける。


「あ、もしもし坪淵さん?今から友達と家に行くから迎えのお車をお願いしたいのだけど。私を入れて4人よ。うん。よろしくお願いしますね。」

「お嬢様っぽいなあ。」


莉々愛さんは三条家グループ代表、『三条家通泰(さんじょうけみちやす)』の一人娘である。思えばそんな人がなぜ俺達と同じ普通高校に来ているのか、そう言えば全く分からない。


「車はなんなんだ?」

「分かんないよそんなの...。」

「優、そういや車好きだったよなあ。」

「いつも乗ってるセンチュリーじゃないのか?」


優の質問に、莉々愛さんはうーんと首を捻る。


「あれ、タクシーに似ててあんまり好きじゃないの...。」

「あー!わかるー!」

「センチュリーとクラウンコンフォートを同じにするなあ!?セ、センチュリーはトヨタのフラグシップセダンでだな!?」

「俺もバイクは分かるけど、車はさっぱりだなあ。」


俺も車については全く知識が無いし、緋桜はバイク好きで車の知識は俺と同じである。


「取り敢えず、すぐ来るから学校出ましょう?」

「そうだね。」

「一体何が来るんだろうなあ~。」


莉々愛の勧めで全員教室を出て学校の外、校門の前で待っていると、1台の長い車が目の前で停車する。


「お嬢様お待たせ致しました。お友達もさあ、ご乗車下さい。」

「ありがとう。さ、乗って。」

「お邪魔しまーす。広っ!」

「すげえな!椅子柔らけー!」


運転手の開けてくれたドアから、順番に乗車していく。


「優、どした?」

「ロ、ロールスロイス・ファントムのリムジンだぞ!?こんなのに乗れる機会もう無いかもしれないんだぞ!」

「ろーるす...なんだって?取り敢えずはよ乗れ。」

「乗るともさ!」


妙にハイテンションな優を乗せ、リムジンは走り出し三条家邸を目指す。


「インテリアも豪華で乗り心地も申し分ないな!さすがはロールスロイス!」

「確かに、乗り心地はめっちゃ良いな。全然揺れないし。」

「バイクとはやっぱ違うなー。冬は風冷たすぎて死ぬし、車はこういう所良いな。」

「喜んでくれてなによりだよー。」


車の話で盛り上がって行く内、話のテーマは自然と俺になっていた。


「義人、何人かに告白されたんだって?噂で聞くぜ。俺のクラスでも何人か玉砕してる。」

「義人くん、そんなことあったの!?」

「う、うん。全部断ったし優が付き添ってくれてたから皆すぐ諦めてくれたよ。」

「告白してきた奴全員、男の時の義人の事なんて知らない奴等だったよ。可愛いくなった途端、ずっと好きでしたって感じで来る馬鹿共しか居なかった!」

「はは...実はさ...。」


急に機嫌の悪くなった優を莉々愛と緋桜が不思議がっていたので、俺は酒井先輩の1件の事を二人に話す。


「ええ!?大丈夫だったの!?」

「優が助けてくれなかったらちょっとヤバかったよ...。」

「あのサッカー部エースの酒井先輩がねえ。結構なクズって聞いてたけど、本気のヤバい奴だっとはなあ。」

「うん...。だから、本当に優が居てくれて良かったって、思うよ...。あの時は言えなかったけどさ、ありがと...。」


少し間を空けたあと、優は照れを隠すように窓の外の景色に視線を移す。


「好きな子は目の届く所で守りたいからさ...。そ、束縛とかじゃなくて...さ。」

「や、やめろよ...刺激が強いだろ...。」

「何なんだお前ら。」

「...むむ。」

「あれ、でかい家に着くぞ。」

「あ、着いたみたい。」


リムジンは広い屋敷の前に到着する。屋敷の中に入る時、運転手が警備員の様な人物にカードを見せていた。


(でっけー...広いなあ...。)


三条家邸は広大な庭の真ん中に建っており、俺達の乗るリムジンは地下駐車場に移動する。

降りてきた運転手が観音開きのドアを開けてくれる。


「ありがとうございます。」

「あ、ありがとうございます。」

「全然疲れなかったなあ。お疲れ様でーす!」

「上まではエレベーターだから、こっちだよ。」


駐車場からエレベーターに乗り、地上階に上がる。程なくして、エレベーターが開く。


「1階でございまーす♪」

「あはは、可愛い。」

「義人もやってくれよ。」

「やぁだよ。」


莉々愛のおふざけに悪ノリした優をあしらいながら、エレベーターから降りる。


「ここが私の部屋だよー。ソファーで待っててー。」

「広っ!ウチの家の部屋全部足しても足りない!」

「すっげえ...。天井高いなあー!」

「こんだけ広いと、やる事逆に無くないか?」

「うんー。そうなんだよね。勉強しようにも、気が散っちゃうな。」


莉々愛自身も部屋が広すぎるという事は認識していたらしい。


「あ、コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

「俺コーヒー。アイスで。」

「紅茶で。」

「俺はコーヒー。」

「よろしくお願いしますね。あ、後椅子もお願いします。」

「かしこまりました。」


後ろから来ていたメイドさんに飲み物を頼む。本物のメイドは初めて見たが


(動作が滑らかだなあ...プロって感じ。)


感心しながら見ていると、優も同様にメイドの居た位置を見つめていた。


「(どうせ碌なこと考えて無いだろうが)優、どした?」

「なあ...。」

「ん?」

「今度メイド服買うから...着てくれ。」

「んん?んんん?いや、着ねえよ!?」

「絶対可愛いからさ~!頼むよ!」

「心汚れ過ぎだろ!?お前なら絶対他に着てくれる奴が居るだろ!?」

「最近お前と顔見知り以外の女の顔が上手く認識出来ない...。」

「うん。」

「逆ナンも最近は鬱陶しいだけでさ...。」

「うん。」

「だから俺のメイドになってくれ!義人!」

「うん。ちょっと何言ってるか分からない。」


心の汚れている会話をしていると、メイドが飲み物とお茶菓子を持ち部屋のテーブルに置き、追加で来たメイドと一緒に人数分の椅子を運んで来てくれる。


「はい、自分の飲み物取ってね。」


それぞれ自分の頼んだ飲み物を手に取り、お茶菓子のクッキーを取りやすい位置にある椅子に座る。



「いつも行ってるコンビニの店員さんに連絡先聞かれちゃってさー。」

「なんだと!?その話詳しく!!」



「今年の学園祭、メイド喫茶を提案したい!」

「欲望が透けて見えるぞ!絶対に着ねえからな!」

「私も義人君のメイド姿見たいなー、なんて...。」

「莉々愛さんまでそんな事言わないでよ!コイツすぐ調子乗るんだから!」



「優今度美味いお好み焼き屋行かね?」

「お好み焼き良いなあ。久々に食いたくなって来た。」

「だろ?今度、適当に誘うわ。」

「四人で行こうぜ。お好み焼きかー楽しみだなあ。」

「あ、ああ、分かった!今度四人でお好み焼きだ!」



「義人くんはさ。」

「んー?」

「好きな子とか、居ないの?」

「ぶはっ。」


他愛も無い会話の後、コーヒーを飲んでいた俺に莉々愛が唐突に恋バナを投げてくる。


「い、居ない居ない!」

「...本当に?」

「本当にホント!そんな事、考えたこともなかったよ。」

「...義人くんを好きな女の子も絶対居るのになー...。」

「まさかあ...。」

「俺にもチャンスはあるって事か。」

「ねぇよ!」

「あははっ、優くんも頑張れ。...あっ、もう夕方。」


窓を見ると、もう空は茜色と紫が入り混じった色をしていた。


「...運転手さんは呼んだから、エレベーターで駐車場に降りてね。」

「莉々愛さん、今日は突然だったのにありがとう。」

「俺も良い車を見れたから楽しかった。」

「久々に四人で喋りまくったな!楽しかった!」

「お友達とおしゃべりだけでこんなに過ごしたのは初めてだよ。私も楽しかった!」


俺達は莉々愛の部屋から出て、エレベーターで駐車場へと降りる。


「次はもう少しゆっくりしたいな。」

「車、他のも見れねえかなあ。」

「あの車なら帰り寝ちまうなあ...ふわあ...。」


運転手の開けてくれたドアから、リムジンに乗る。リムジンは直ぐにエンジンをかけ、屋敷の外に走って行く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


莉々愛は新しく淹れてもらった紅茶を飲みながら、自分の部屋から窓の外をみつめる。


「義人くんはやっぱり義人くんだったな...んふふ...♪」


何でもないような過ぎた幸せを噛み締めている時、ふとある人物の顔が浮かぶ。


「優くんだって、ズルいよ...。」


胸が少し締め付けられるような感じ。


とても。

とてもとても。

あの二人の自然なあの距離が。


「羨ましい、なあ...。」

次の更新も気長にお待ち頂けると幸いです。

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